第十一話
やっと第二章突入…
「あの青年志願兵半端じゃないな。機械で剣士壱級とか出たって聞いたが、参段くらいじゃないか?」
横の男は、双眼鏡をしきりに動かしながら言った。
「弐級のアンタに分かるもんか。どれ、見せろ」
横の男のさらに横にいた男が双眼鏡を覗く。
「六段以上は師範の資格が手に入るんだ。七段の俺なら判る」
しばらくその男は双眼鏡を覗いたままだったが、やがて眼を放しつぶやいた。
「あいつ… 五段レベルだ」
「えっ?」
私が出せた言葉はそれだけだった。八段であってもこの反応。なぜならその五段レベルの奴は、青年志願兵だからだ。その上、スキルの組み合わせも剣士にばっちりだ。成長が怖い。
「彼の名前は何と?」
私は七段の男に尋ねた。
「知らないんですか?宰相閣下?今この軍で最も話題の、真田涼です」
「真田涼か… 覚えておこう」
私たちを乗せた要人飛行車はこの後も彼を追い続けた。
「すごいよ!最高記録だよ!最高記録!」
画面の中の少女はとっても嬉しそうだが、食糧接種後の俺は軽度の罪悪感を抱えていた。無理もないだろう。実際の戦闘だとしたら、250人近くを殺したことになる。
「ハ隊再出撃!」
隊長から合図が入る。俺たちはまた人殺しに走るのだった。
そして夜が来て、塹壕に戻ると、陣地の方から伝達が入った。
「上官が、“真田は至急俺のテントに来い”だそうです」
俺は「では」とだけ言って上官のテントに向かった。
上官は重く切り出した。
「真田、宰相閣下と陸軍大将閣下から伝言だ」
「なんですか?」
「“至急東京の『武剛館』に行って剣術の達人、蘇我黒燕剣聖に剣術を教わってこい”だそうだ」
「は、はい」
「これ。紹介状だ。さあ行って来い」
「行ってきます」
テントを出ようとしたその時。
「ああ、荷物は刀以外宿舎において行けよぅ」
という声がした。
東京までは上官の手配したタクシー(飛行車。車体が地面から50㎝ほど浮いている)に乗った。
さて、宿舎についた。
「30分ほど待っててください」
「あいよ。分かってるさ」
行くときはなかった大荷物(装備品類)を置いて持っている物は財布と刀だけとなった。
「じゃ、お願いします」
「あいよ。分かってるさ」
軍人なのかなんなのか解らなくなってきた。
剣術道場である武剛館は葛飾にあった。とてもこぢんまりとした建物だった。
「料金は上官が会社の口座に入れるということです」
「あいよ。分かってるさ」
早速ドアを叩いてみる。
「どなたでしょうか?」
中からドアを開けたのは、15歳くらいの少女だった。
「えーと、都宮軍の者なんですが」
「あ、電話で聞いています。呼んで来ますね」
少女はドアの横の階段の上を見上げ「おじいちゃーん!例の軍人さーん!」と叫んだ。
「おお、やっと来たか。待ち遠しかった」
そして俺を見て言った。
「君か。真田涼君だったね?」
「はい。紹介状を持たされて来ました」
そして俺の目を3秒ほど見て言い放った。
「間違いない。世紀末最強軍人となる者の目をしている」




