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天才と追試と召喚士

「三題噺かいてみたい」「じゃあこのお題でやってみ」

そんな感じの初投稿どころか初小説です。

それゆえ文法、構成ともにボロッボロですが、お暇でしたらどうぞ。

断言できる。

僕は天才だ。


チャイムの音が鳴る。

「はい、今から五十分。始め!」


テスト用紙をめくって、一通り目を通す。

問題は社会。

暗記が多いから、この教科は得意だ。

大丈夫。今日のコンディションはなかなか。

よし、始めよう。



……カンニングを。


監督の先生は居るが、

五十分間ずっと目を見張らせているわけではない。

特に今の監督は何かパソコンを出して作業を始めている。


社会なら右斜め前方の香坂が得意で、カンニングに対する警戒も薄い。


まあ当然かもしれない。

もう僕らは中学三年になるが、一度もカンニングが発覚したことはない。

僕がカンニングしなかったことも一度もないのに、だが。


僕の席は中央の列やや後ろ。

なかなかのポジションだ。


(記号問題はア・エ・ウ・イの順番、問三は足利尊氏……ね。げ、こいつも問5わかんねぇのかよ)


今度は左横の野村さんの回答を見る。

勿論極力目立たないように横目で。

こちらはちゃんと書けている。

1603年……と。


あー、どっかでわざと間違えとくべきか。

目付けられたくないし。

んじゃま、次はアで。

正解はウのようだけど。


記述問題は一部やや当てずっぽうに書くもののなるたけスルーして、社会は終了。


次の時間で今日は終わり、なのだが、最大の難関。

記述問題が多く、カンニング自体も、その後も回答の似通い具合でバレやすい、

そう。国語だ。

しかも監督が教室の後ろで目を光らす沼田なので気配が読みづらい。


ではどうするか?

簡単だ。


自分で解く。


カンニングはリスクとリターンが釣り合っていない。

だからこそ慎重にならなければならない。

自分で解くぶん、どうしても点数は下がるが、国語がちょっと苦手な子ということで通せるレベルなのであまり気にしていない。


漢字は適当にとばしつつ、空欄を埋めて、テスト、終わり!

高校になるとテストで一週間がつぶれるらしいが、中学校では一日で終わらせてしまうので疲れた。

放課後、パフェでも食いに行こう。


掃除をして、帰りのHRのあとに、恩田に声をかける。

「パフェ食いにいこうぜ」

「またか!?お前テスト終わるたびにそれだよな」

恩田が呆れ顔で答える。

「習慣ってのは続けるから習慣なのさ。パフェ食べないとテスト終わった気がしない」

まあ、僕の場合はずっと気を張ってるせいで他人より消費カロリーが多い……気がする、という事情もあるわけだが。


「はあ……今月ちょいきびしいんだよな……新しいゲーム出るし……」

ため息まじりでそう呟く。

こいつはゲームばかりしている印象だ。飽きないのだろうか。

「嫌ならいいや。外村誘うか、最悪一人でも別に視線は痛くないし」

「……いく」

「金持ってきてる?」

「あるけど制服で店入る勇気はない」

「気にすることないのに……まあいいや、一時間後にそこの公園で」

「わかった。遅れんなよ」

「絶対とは言いかねるな。未来予知はできないから」

「約束すっぽかして本読んでるとかもうやめろよ」

「僕にとって読書は君との約束より大切なものなのさ」


という無駄なやりとりをしつつ、集合場所へ。

今日は五分しか遅れなかった。褒めて欲しい。


「おせえよ」

「五分しか遅れてないじゃないか。早いほうだ」

「遅れた時間、イコール待った時間じゃねぇからな」

「え? わざわざ早く来たのか?」

「遅れるよりいいだろ」

「お前が制服でも気にしなければ待つ必要もなかったんだがな」

「うっせえ!」

「ま、行きますか」


パフェ屋……というか、まあパフェがメインの喫茶店は公園から自転車で十分くらいだ。

恩田が買う予定のゲームとか、最近のお気に入りの歌手なんかの話をしながらペダルを漕いだ。


別段広くもないが、お菓子好きのおばちゃんがやってる風の来慣れた喫茶店に着く。

「今日は何食うかなー」

「そんなキミは特盛☆チョコパフェ〜三十分で食い切れば無料〜に挑戦だ!」

失敗したら二千円だがな!

「今の気分はケーキかな。あんま甘くないやつ」

「……僕は普通のフルーツパフェで」

からんからん、と聞き慣れた音を鳴らしながらドアを押し、ここに来る度に座るカウンター席の方を見ると、見慣れない、しかし同年代の少年が居た。

まだ席は空いているので、その隣にでも座ろうかと近づくと、

「お姉さんきれいですねー! こっちに来て初めて話したのがお姉さんなんて嬉しいなあ」

バイトの女子大生がナンパされていた。


「そう言ってくれるのは嬉しいけどねー。ナンパのつもりなら歳の差を考えなさいね? あ、久しぶり。テスト終わったんだ?」

「こんちわー。二つの意味で終わりましたよ。」

「なんだ、いつも通りじゃん。今日は何にするの?」

くっくと笑って彼女、バイト店員の守田さんは注文を取る。

「あー、俺、モカロールで」

「フルーツパフェお願いします」

「はいな。……あ、この子、きみらの中学に転校して来たらしいよ。まあ雑談でもして待っててねい」

そう言って守田さんは奥に引っ込んでいき、ここらの子とは違う、垢抜けた雰囲気の少年と取り残された。

「へぇ、うちに来るんだ。何年?」

「二年だけど」

「同じか。クラスわかる? もしかしたら一緒かも」

「それはまだわからないな。ま、一緒だったらよろしく」

など、部活や前居たところなど、一通りの雑談をしている間に、注文したものが来た。

因みに転校生――杉山というらしい――は、既に食べ終わって、守田さんを口説いて(?)いるときに僕らが来たらしい。

「ポッキーちょっとサービスしといたよ」

「いつもどうもです」

「いえいえ。それにどうせ、余った分は私が貰っちゃってるしね。おすそ分けさおすそ分け」

そう言ってまたけらけら笑う。

「で、杉山くんはなんで引っ越してきたのさ?中二の終わりなんて中途半端な時期に」

「まあ、ありきたりなあれですよ。親の転勤。母親が家族は一緒に主義の人なんで。友達できてすぐにクラス変えとかないといいんですけど」

「あぁ、それは大丈夫。うちは三年始めはクラス変えないから」

「そうなんだ? じゃあ良かった。向こうでは成績順、年度ごとにクラス変えだったから」

「因みに何組?」

「A組」

「頭良いのかよ!俺なんか成績悪すぎてゲーム没収とかされんのに!」

「あははは! 流石恩田くん。……っと、いらっしゃいませー! ……ごめんね、他のお客さん来たから仕事しなきゃ。また今度ね!」

入口を見ると、二人組のおばちゃんが雑談しながら入ってきている一方、杉山は

「それじゃ、ぼくもそろそろ帰るよ。明日、学校でもよろしくね」

……そう言い残して去って行った。


「……街の子って感じだったな。お洒落の仕方を知ってる感じの」

「君は背伸びしても微笑ましいだけだと思うよ。もっとも、彼にもそんな時期があったんだろうけど」

「誰もお洒落したいなんて言っとらんわ!」

「この前、『ワックスつけてる子って、どう思う?』とか真顔で聞いてきたくせに」

「……忘れろ!」

そんなこんなで恩田に変身願望があると明らかにしたりしながらパフェをぱくつき、追加注文もなしに長居するのは気が引けたので食べ終わるとすぐに店を出た。

「ーっ! あれだね、こういう明確なご褒美があるとテストに耐えた甲斐があるってもんだね!」

「この一杯のために毎日頑張ってる。……てか?」

「そういうことだね。よし、帰って寝よう」

「太るぞ」

「こんなんで太ってたら既に僕はメタボリアンだよ」

「そーかい。……どうせ暇ならどっか行かないか?買い物くらいなら付き合うし……なんだその目は?」

「……いや、珍しいなと思って。お前もどっちかと言えば外に出ない子供だろ?」

「……ついでだよついで。で?どうする?また本屋か?」

「またとはなんだ。……別に欲しいものもないんだが、そうだな。折角だし、最近お気に入りの作者の新刊探しに行くか」

そう言って自転車に跨がる。

ここからなら学校近くのあそこだろうか。

「結局本屋でいいのな? あ、そろそろあの漫画も出てるころだ」

「漫画以外の本は読まないのか? 別に漫画を見下してるわけじゃないが」

「読まないわけじゃないぜ?ただ、『あ、面白い。この人の他のも読んでみよう』ってのに出会わないだけだ」

「なるほどね、それはわかる。何か貸してやろうか……と思ったが、お前と趣味が合わない自信しかない」

「いや、貸してくれよ。自分じゃ買わないような本を他人に薦められて読むのもいいもんだ」

「そうか? なら、あれかな。最近売れ出してきたミステリ」

「ミステリかー。人は死ぬ?」

「んー、死んだり死ななかったり。作品間パロが多いから、面白かったら他のも貸すよ」

「おう、よろしく」

そうしているうちに本屋に着いたが、僕も恩田も欲しい本は見つからなかったので明日貸す本を持ってくる約束をして、今日は解散した。

あと恩田に「本探すのになんでそんな時間かかるんだよ」って呆れられた。


帰り道、街の子こと、杉山のことをふと思い出した。

軽そうに見えるだとか、でも頭はいいらしいとか、話を聞いたりはしたものの。

……一見チャラそうだけど、実はシャイ……いや、チキンで、まだキスもしたことありません。っていう印象だな。

杉山が恩田と仲良くなったら恩田がカッコつけるようになるのだろうか。

まあナンパとか恥ずかしい真似するんじゃないならいいや。

と、勝手に恩田の今後を思い、家に着いてからは宿題もないので読みかけの文庫本を百ページほど読み進め、鞄に貸す約束をした本を入れ、みたいテレビもなかったので早めに布団に入って目を閉じた。


次の日の朝。

嫌な夢を見た。

カンニングがバレて退学まで追い詰められる夢。

校長室に呼び出され、部屋の外にはほとんど同じ顔の野次馬が人だかりをつくっていた。

個性があったのは校長、担任と恩田くらい。

恩田は僕の潔白を信じている顔をしていた。

少し心苦しかった。

実際、退学までいくことはそうそうないと思うが……

今まで一度もまともにテストを受けていないことがバレれば有り得るかもしれない。

……縁起の悪い夢だ。

そして壁掛け時計を見ると、案の定遅刻ぎりぎり。

うちは母が仕事で朝にはもうでているうえ、父は仕事でほぼ朝帰りのため、この時間は寝ている。

だからいつもは携帯の目覚ましなのだが……。

電池が切れている。

そういえば本読んだあと充電忘れてたな……。

まず全速力で制服に着替え、教科書は……今日はテスト後だからテスト返却のはず。

あとは一通り身支度を整えて、買い置きの菓子パンをひとつ掴んで外に出た。

今八時五分で始業は八時から……だが、うちの学校は朝自習なる制度でHRは二十分から。

普段は学校まで十五分だが、走れば十分! いける!



結果から言うと、ほぼアウトだった。

こういう時に限っての信号遭遇率は異常だと思う。

チャイムが鳴り終わった瞬間くらいだったから、一応セーフにしてもらえた。

あと入口の脇に杉山がいた。結局うちのクラスか。

遅刻したのを察したようで、軽く笑って手を振ってきた。

視線だけ向けてスルーしたけど。

すいません、寝坊しました、と息を切らしながら教室に入ると、クラスのみんなに少し驚かれた。

基本冷めたキャラだからなぁ……。

あと恩田はニヤニヤしてた。後で蹴り確定。


とりあえず席についてふーっと息をつく。あっつー。

「で、転校生を紹介する。古枝はいま会ったと思うが、男だ」

初対面は昨日だけどね。

「杉山くん、入っておいで」

そうして杉山が教室に入ってくると、女子が少しどよめいた。

悔しいことにそこそこかっこいいからなあ。

昨日の失礼な考察が合っているのか気になるところだ。


それじゃあ軽く自己紹介を、と促され、話し出す。

「東京から引っ越して来ました。杉山(すぎやま) (しゅう)といいます。こんな中途半端な時期の転校で、皆さん戸惑っているかもしれませんが、僕はそれ以上です。どうぞよろしく」

くすりとするやつも居て、早速クラスに馴染めそうな雰囲気。

やっぱ街の子はコミュ力が違うね、と謎の感慨にふけった。


恩田が視線で会話してきた。

(あいつこのクラスだったんだな)

こちらも視線で返す。

(みたいだな。くっそ爆発すればいいのに)

(ここで爆発したら間違いなくこのクラスの半分は精神障害を負うからやめといたほうがいい)

(じゃあ時限爆弾飲ませようぜ。内臓が焼ける程度の火力でいいから)

(まあまあ。そんなことよりここに3つの完全犯罪プランがあるんだが)


「HR終わるぞー。起立!」

ここでHR終了。今日からテスト返却があるけど騒ぎすぎんなって話をしていたようだ。


早速恩田の所へ行く。

杉山は今クラスのみんなに囲まれてる。

「で、その完全犯罪プランとやらをお聞かせ願おうか」

「いつ僕がそんな話をした」

「え? だってさっき……」

「……視線からそこまで妄想した妄想能力には敬意を評する」

「でも杉山にちょっといらっとはしてるだろ?」

「……まぁね!」

だって、あいつが教室に入った瞬間、なんか空気違うんだもん。主に女子の。

『杉山くんはかっこいいし面白いんだけど恋人としては見れないよ……』

とかそういうの希望!


それから騒ぎすぎんなと言われたことも忘れて二回ほど注意されて。

給食のさばみその美味しさに疑問を抱いて、インザ昼休み。

結果発表をしよう。

あ、アイツのモテ具合じゃないよ。テストだよ。

一時間目 数学 七十六点

二時間目 音楽 テストなし


問題は、三時間目だったんだ。

三時間目 国語

因みに担当はうちの担任。森崎。


点数は、 四十五点

確かによくはない。他の教科と比べれば大分落ちる。

だがそれだけじゃ済まなかった。

黒板の隅にプリントがはってある。

問題はこのプリントだ。

『国語中間テスト、五十点以下、追試。』


嫌だよ……めんどくさいよ……。

いや、めんどくさいよりも嫌なのは、馬鹿の仲間入りした感があるからだ。

恩田と同じ…それだけで屈辱……っ!

恩田にもまだ点数は聞いてないが、まあいつも通りだろう。

四時間目?  社会で七十八点。写した所も間違えてた。香坂め。


「古枝ー」

馬鹿がきた。

「最低何点?」

最低から聞くのか。

「……お前の最高よりは下だよ」

「マジで?今回超調子悪いな。三十八点台?」

「ごめん。四十五」

「だよなー! 流石に四十二以下は……ん、それ国語?」

「うん」

「ーっは! ざまあ!」

「うっざ! 調子悪い時くらいあるわ!」

「それにしても! 追っ試!」

「お前なんか良くて三十点台後半のくせに!」

「なめんな! 今回は国語が四十二点さ!」

「結局追試かよ!」

「だとしてもだ、道連れだぜ!」


ひとしきり二人で罵り続けたがさすがに息が切れた。


「……疲れたな」

「ああ、何やってんだろうな」


それにしても……初めての追試か。

うっわー、こんなところで初めてを捨てたくなかった!


そうして二人で負のオーラを発していると転校生が近づいてきた。

「えっと、昨日ぶり。どうかしたの?」

「察しろ」

「……そんなにひどかったの?」

「ゲームを没収されるほどにはな」

「あぁ、そんなことも言ってたね。あー、……」


そう言って、恩田の方を向いたまま言葉を探しているようにする杉山。

……あぁそっか。

「おい、恩田。まだ自己紹介してない」

「そっか。忘れてたな。恩田おんだ 文哉ふみやだ。よろしくな」

古枝ふるえだ りん。まぁよろしく」

その場の会話だけなら『きみ』『あなた』で事足りるけど、クラスメイトとなるとそういうわけにもいかなししね。

「んじゃ、改めて、杉山 修です。よろしく文哉、凛。あ、ごめんね、名字ってなんか苦手で」

一瞬、「いきなり呼び捨てかこの野郎」と思いかけた。

「まぁ、かまわねえけども。で、何言おうとしてたんだ?」

「んーとね、『文哉は馬鹿なの?』って聞こうと思ったんだけど失礼だから取り消すよ」

「これ以上ないくらい言ってるよ!」

なかなか取っつきやすい奴だな。早くも恩田の扱いを理解してるようだし、気が合いそうな気もする。

「あと、さっきの様子から察するに凛も馬、あ、調子が悪かったのかな?」

うぐ、痛いところをつかれた。

あと、小声で恩田が「その気遣いをこっちにもくれよ……」とか言ってた。

「……追試になるくらいには」

前言撤回したくなってきた。いや、言ってないけども。察しがいい奴は苦手かも知れない。

「追試って今日の放課後だったよね? よかったら一緒に帰らない?待ってるからさ」

一瞬怪訝な顔になる。

転校初日で待ってまで一緒に帰りたい、というのは引っかかる。

「僕はかまわないけど……恩田もいいよね?」

「そりゃな。家の方向は大丈夫なのか?」

「忘れてた。烏丸からすま町二丁目だけど、大丈夫かな?」

え、マジで?

「超近所だ……」

因みに僕は一丁目。

つーことは、あそこの新しいマンションに引っ越してきたのかな?

「そんな近いんだ? 奇遇だね」

そう言って微笑む杉山。なんか白々しいのは気のせいだろうか。

「ふーん。俺だけつぐみ通りだから仲間はずれだな」

なに拗ねてんの、こいつ。

「住所ぐらいで仲間外れとか言われても……」

杉山の微笑みが苦笑に変わっていた。

「へ? いや気にしてなんかねぇよ。言葉の綾」

そういう事にしておこうか。あ、でも帰りにこのネタでからかおう。

「んじゃ、帰りは図書室で待ってればいいかな? 忘れて二人で帰ったりしないでね?」

「善処します」


そう答えるとあははと笑って杉山は席に帰って行った。

話しかけたそうにしている女子が何人かいるから手持ちぶさたになることはないだろう。

「なかなか積極的だな」

「中途半端な時期の転校だから友達作りに躍起になってるのさ」

「んな元も子もない……あいつの性格なら友達には苦労しないように見えるんだがなあ」

すると、教室の反対側で笑い声が聞こえた。杉山のほうだ。


『あははっ、杉山くんって面白いんだねー!』

『それにちょっとかっこいいし!』

爆発しろ。

「うん、僕もそう思うよ。あ、そうだ」

「ん?」

昨日貸すって言ってた本をまだ渡してなかった。

「ほら、昨日言ってたミステリ」

「あぁ、ありがとう。……なんか病んでそうな表紙だな」

「文体に慣れるとそれこそ病みつきになるよ」

「この表紙で殺人……最低限、事件が起こらなかったらそれこそ詐欺って感じだな。ヒロインっぽい子が包丁持ってるし」

「んー、まぁネタバレは控えるよ。あえて一つ言うなら……」

「言うなら?」

「犯人はヤス」

「最大級のネタバレだ!」

コイツはリアクション芸人になれる素質を秘めていると思う。


すると背後に気配。

「ずいぶん楽しそうだなー?」

声で誰かはわかるけど、振り向いて挨拶する。

「……こんにちは、森崎先生。昼休みに教室にいらっしゃるとは珍しいですね」

「廊下を歩いてたら数少ない国語追試者の楽しそうな声が聞こえたもんでな」

そう言ってニヤッとする我らが担任。悪い先生ではないんだけど、時折、ウザい。

「先生! 読書ならかろうじて国語の勉強とも言えます!」

恩田が謎の抵抗を始めた。

「そんなに読書が好きなら先生の夏目漱石コレクションを貸してやろう。感想文も書くとより勉強になるぞ?」

「ごめんなさい」

何故無駄な抵抗をするのか。それが疑問だ。

「素直でよろしい。問題こそ変わってるが簡単になってるからさっさと合格しろよ」

そう言い残して職員室に帰っていった。


「簡単になってるってさ」

「つーことは三回目には突破できるかな」

だめだこいつ。

そこに耳慣れたチャイムが響く。次は体育だから着替えて移動しないと。

年中自由選択……ずっと昼休みみたい、と言えばいいだろうか。になってるので、バドで恩田を走り回らせつつ、杉山に感じる違和感について考えを巡らせた。

昨日会ったから話しかけやすいのはわかるけど、そこそこ可愛い女子達に話しかけられれば、そっちを優先しそうな性格だと思うのだが。

それに一緒に帰る約束をしたときも、家が近くであるのを確信しているように見えた。

……気のせいかなあ。

もうすぐ鐘が鳴りそうだったのでシャトルをネット際に落として恩田をつんのめらせて片づけを始めた。


今日は五時間授業なのでこの後は掃除をして、帰りのHRをして、

……追試を受けて、終わりだ。


変に屈むのは嫌いなので自在ボウキをキープし、床を雑巾で拭いている恩田にガシガシぶつけながら床を掃く。

HRは、宿題の連絡と、担任の慰めとも激励ともとれる微妙な説教で終わった。


追試は国語教師が担任をする教室、つまりここ、二年四組で行われる。

たぶんクラスごとに集めるよう指示されると思ったので、窓際の席に恩田と隣あわせで座る。

四組からの追試者は他に眼鏡をかけた気弱な女子、栗栖さんしかいなかった。

学年でも十五人もいないだろう。

カンニングする相手も居ないが、どうせ国語は普通にやってるし、簡単になってるなら大丈夫だと思う。

「よし、そろったな。問題配るぞー」

手元に渡った問題を見ると、分量は本番の半分程度。

長文問題一つに小問集合。長文も記述問題が減っている。

このぐらいなら大丈夫かな。

隣の恩田の顔をふと見ると苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。

……恩田だからしょうがない。


分量が減った分、時間も三十分に短縮される。

「はい、そこまで。クラスごとに回答用紙集めてー」

別に決めたわけではないが、各クラス本番同様に一番後ろの生徒が集めている。

うちのクラスは恩田と僕が後なのでとりあえず僕が集めることにした。

「どうだった?」

恩田の解答用紙を受け取りながら訊いてみる。

「……足切りが五十なら……」

「もう一回だろうな。頑張れ」

やっぱりそうだよなぁ…と項垂れる恩田を尻目に栗須さんの回答を受け取り、先生に渡しに行く。

「はい、ご苦労」

そう言って先生は四組分の回答をまとめる。

足切り、訊いてみるか。

「先生。追追試は何点からですか?」

僕自身は七十くらいとれたかな、と思っている。

問題が減った分配点も上がっているはずだから、書けなかった記述問題がどのくらいの配点かによるのだが。

「この平均を見て決めるが……予定は七十だ。簡単だったろ?」

顔が引きつる。

……うっわ、微妙ー!


席に戻って、筆箱を鞄に入れる。

「足切り、七十だってさ」

そう言ってやると恩田は明らかに落ち込んで、

「まじかー……後何回でいけるかなぁ……」

他の追試者らもそれぞれ帰るなり部活に行くなりしている。

そのまま帰ろうとしたが、杉山のことを思い出した。

図書室は一階下、二階にある。

鞄を持って、杉山呼びに行くぞ、と言って階段を下りる。

普段は図書委員しかいないであろう静まりかえった部屋に入ると、杉山が隅っこの席に座って唯一置いてある漫画を読んでいた。

因みにブラック・ジャック。

本に没頭してるかと思ったが、この静かな空間では扉の開く音は意外と気になるのか、杉山はこちらを向いて、既に本を閉じていた。

本をもとあった場所に返し、鞄(指定の鞄ではない。なんかシックな感じの手提げ鞄だ)を取ってこっちに歩いてきた。

「忘れないでいてくれたね。行こうか」


昇降口で靴を履き替え、校門へ歩きながら杉山に問いかける。

「なんでわざわざ僕らと?ぶっちゃけ女子からお誘いあったんじゃないの?」

というか無かったはずがない。

「いやいや、教室では構ってもらってるけど、転校生だからって珍しがられてるだけだよ? 一緒に帰るだなんてそんな」

「嘘つけー。あれだけもってもてだったじゃねえか」

そう、恩田の言うとおり、嘘だ。不良のなり損ねみたいなやかましい女子に誘われていたのを、僕は見た。

登下校時にたまに見かけるから、家も同じ方向のはずだ。

「まぁ、いいじゃん。僕は彼女よりも友達の方が欲しい……って言うとなんか変だけどね。文哉や凛と居た方が楽しいんだよ」

……確かに、あれ系の女子と居て楽しいだろうとは思えないけど。

「そうか? ……それならいいけどよ。……そういや、お前、いや修はどのくらいできるんだ? 追試なんて関係ないみたいな顔しやがって。昨日の感じだと大分余裕はありそうだが」

お、呼び方を変えてる。僕は杉山で通すつもりだけれど。

そもそも杉山とは逆に名前が苦手なのだ。

僕のことはともかく、どれだけ勉強が出来るのか訊かれた杉山は

「クラスで……10番くらいですかね?」

昨日の話からすると、つまり学年で10番ということだ。

「……やるな。下から数えて五指に入る俺には敵いそうも無い」

想像以上に大きい差に悔しがっているようだ。

向こうのレベルがどれほどのものかはわからないが、こっちより低いと言うことは無いだろう。

「それから僕からも質問。前は東京に住んでたらしいけど、こっちの印象ってどう?」

「そうだね、こっちの方が人も車が少ないしなによりご飯がおいしいから好きだな。学生も切羽詰まってないし」

切羽詰まるって言い方に引っかかる。

「……もしかして前の学校ってバリバリの進学校だったり?」

もしそうならクラスで10番っていうのはかなりのハイランクであることになる。

杉山は一瞬、明らかに言葉を詰まらせて、

「……いやいや、そんなことは」

と取り繕うように言った。明らかに嘘だろうな。

「顔が良くて勉強も出来るのかよ……スポーツは?」

なんか躍起になってるなあ、こいつ。

人は皆オンリーワンなんて妄言を口するつもりは無いけど、すぐ目に見える要素で負けてるからといって悔しがること無いのに。

「えっと……体育祭でバスケ部のエースと張り合うくらいは……流石に負けちゃいましたが」

ちょっと照れながら過去の栄光を語る杉山は好青年に見えた。見えるだけ。

「……うがー!! じゃあな! そして爆発しろ!」

いつの間にか家の近くまで来ていたので、負け惜しみを残して恩田は走り去っていった。

「爆発……?」

「気にしなくていいぞ。あいつはいつもああだ。ここまで完敗してるのははじめて見たけどな」

そう、あいつは勉強は出来ないが運動はできる。バドなどの対人競技では素直すぎるきらいがあるが、小手先の技術を必要としない百メートル走やマラソンなどは大半の運動部に引けを取らない。

陸上部に入れば活躍できるだろうに、と勿体無さを感じるほどだ。

「体育はバドだから機会はないかもしれないが、単純な身体能力ならあいつもなかなかだ。来年の体力テストでは張り合ってくると思うから相手してやってくれ」

軽くフォローをしておく。流石にあそこまで惨めだとかわいそうなんでな。

「凛は文哉の保護者みたいだね」

「……そんな気分にはなっている」

なんかね。猪突猛進系の馬鹿はね。

「それでね、一つ聞いて欲しいことがあるんだけど」

訊きたいことじゃなくてか。

出会って二日で?

「聞くだけでいいのか?」

「まぁ……とりあえず」

引っかかる言い方をするな。なんでだ。

「聞くだけな。そこから何か出来るかどうかは内容次第だ」

「それでは」


こほん、と一息入れて畏まる。



「好きです。付き合ってください」


え?


ちょ待、てかまだ会って二日だし、え?

寄ってきた子は他に、なんで僕?


落ち着け! 十四年の人生経験はどうした!

ここでその経験を生かさないでどうする!


「なにゃ、にゃんで僕?」

だめだ、呂律が回らないっ。多分顔も赤い……!

「一目惚れ?」

なんで疑問系なんだよ!

「それに凛、可愛いじゃない。僕っ娘もいいと思うよ」

いいと思われたくてやってねーよ!

「そ、それにしても性急すぎると言いますか」

口調まで変わってきた。

「ぼく、恋愛ってのは恋に落ちるものじゃなくて愛を育むものだと思ってるんだよね」

やめてよ!ここで自作ポエムかよ!


……こいつの人格評価、完全に間違えてた。


百歩譲ってもチキンなんかじゃねぇ!


「じゃあ、譲歩案」

指を立てて、杉山が提案してくる。

……ちょっとだけ落ち着いてきた。

あ、杉山も耳が赤らんでる。

こっちは多分首までまっかっかだろうけど。

ふぅと一息吐いていつもの自分に戻ろうとする。

「何?」

不機嫌そうに訊き返す、つもりだったのだが多分うまくいってない。

「勝負しよう。で、君が勝ったら付き合ってってのは取り消す」 

勝負?

「勝負というと?」

「そうだね、僕も追試を受ける。でどうかな?」

こいつ馬鹿か。

「転校生が追試受けても意味無いだろう。そもそもテストを受けてないんだから。

 それにさっき言ったとおりお前は成績がいいんだろう?だったら勉強での勝負は不公平じゃないか」

焦りまくってた頭も少し落ち着き、こいつと事を構えないよう、全力で逃げることに手を貸してくれている。手と言うより、知恵か。

だが、この程度の理論武装じゃ杉山には通じなかった。

「次のテストのために、問題の傾向を知っておきたいとか言えばどうとでもなるよ。ハンデについては、僕はその問題を知らない。それどころかこの学校での授業も受けてない。それじゃだめかな?」

僕が理論武装ならこいつは理論装甲だ。

まだいくつか突っ込み所はあるが、どうとでも言えるものばかりだ。

……ひとつを除いて。

「僕がその話を断って困ることがあるのかな?」

そもそも相手にしない。

仮に杉山がクラスで僕にフラれたと触れ回ったところで僕は少しも困らない。

すると杉山はにこりと笑って

「カンニングのこと、バラされたい?」


頭が真っ白になった。

――嫌な夢を見た。

――カンニングがバレて退学まで追いつめられる夢。


赤くなっていた顔が一気に青ざめたのが分かる。

……何者だ。こいつ。

せめてもの反抗を、とにらみ付けるが、取って付けたような微笑は崩れない。

「そんな怖い顔しないで欲しいな。だって、そうでもしなきゃ、まともに取り合ってくれないじゃないか。バラさない条件にこれを持ってこないぶん、充分紳士的な手法だと思うけどね。あと、怒った顔も可愛いね」


うにゃああああ!

本気で死ねって思ったのは初めてだ!

肩に少し届かないくらいの髪を掻きむしりたい衝動に襲われたが、一刻も早くこいつから離れる方が重要だと判断した。

「か、考えておく! じゃあな!」

とだけ言い残し、走り出す。

恩田でもないが、捨てゼリフでしかないよな、これ。

「うん、また明日ね」

変態紳士杉山は手を振っていた。


家に帰ると、父は夕食の買い物に出かけていたようだった。(仕事の時間上、食事は朝は母、昼は各自、晩は父がという分担になっている。)

玄関のドアを閉め、まさか追いかけては来ていないだろうが、後ろ手に鍵をかけてから、やっと深呼吸をした。

……ここまで強力な精神攻撃は、初めてだ。

やり口がプロだった……。

女の子を落とすというより、脅迫の。

目を閉じてまた二、三回深呼吸をし、部屋に向かう。


さて、どうするか。

制服も着替えないまま布団にうつぶせになった。

杉山は見た目はそこそこ良いのだが、苦手だ。

あの手練手管を見れば、彼氏なんてとんでもない、と思う。

「やっぱり、勝つしかないか……」

いくら頭が良いとはいえ、初めて見る問題で満点を取れるとは思えない。

ならばこちらが満点、とまではいかなくても九十五くらい取れれば勝てる可能性は高い。

追追試の問題が追試の時と同じかどうかは……。

聞いてないな。

追試の問題をメインに覚えつつ、本番のテストや漢字も押さえていけばいいだろうか。

自慢ではないが、僕は暗記が苦手だ。

わかる人にとってはこの程度かもしれないが、この分量の問題を覚えるだけでもう大分きつい。

時間は一晩じゃ不安が残るが、やれるだけやらないと、残りの中学校生活が灰色に染まる。

一瞬想像しかけてしまったが、頭を振って詰め込みを開始した。


今日の追試で既に受かっている可能性にさっきやっと気付いたが、記述で間違っている所が発覚し、追追試はほぼ確定となった。

晩ご飯を即行で済ませて、部屋に引きこもる。

……この時王はどう思っていたか、なんて作者にしか分からないのになあ。

推測できるなんて言っても、その答えは読者一人一人で違ってしかるべきだ。

セリヌンティウスも災難だったなあ。

そして王は散々強権を振るってきたくせに仲間に入れて! なんて虫が良すぎだろう。

物語を読み込むと各所に突っ込みをいれたくなってしまうし、読むだけじゃ点数に繋がらないので、設問を覚え込むことにした。

夜更かししてでも勉強するか、睡眠を多く取った方がいいのかは知らなかったけれど、早めに寝ることにした。

早めに寝ても、早く起きれば朝詰め込める。


今日の夢では、杉山が王様の格好をして、玉座に座り、片肘ついてこちらを見下していた。

杉山が臣下らしきオッサンに一言命令しただけで僕は捕まった。

残念ながら恩田が身代わりになってくれるなんてことは無かった。

不幸中の幸いか、処刑される前に目は覚めた。

どれだけ杉山に悪印象を持ってるんだ、僕の深層心理。


昨日とはうってかわって朝早く教室につき、テスト用紙を広げる。

……大丈夫だ。記述問題は自信がある。

いらないプリントを広げ、漢字の書き取りを中心にスパートをかけた。


朝のHRが終わると、不審に思ったのか恩田が声をかけてきた。

「なんかすごい勉強してるけどどうかしたのか?」

「んー……」

言ってしまっていいものか。どこまでなら大丈夫かな。

「杉山と、勝負をしていてだね……」

だめだ。うまく説明できる気がしない。

「追追試の結果次第で凛と付き合うんだよ」

「付きっ!?」

いつの間にか近くまで寄ってきた杉山が実に簡潔にまとめてくれた。

「昨日、文哉と別れたあと、告白したら『僕は頭のいい人が好みなんだよ。テストで僕に勝てたら付き合ってあげる』とか言われてね」

待て待て待て! 言ってない!

言ってないから!

恩田は鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている。

恩田以外にも周りで聞き耳を立てている女子もいるし、誤解を解かなくては……!

そう思ったのだが、杉山が小声で囁きかけてきた。

「本当のこと言った方がいいの?」

つまり。

カンニングのことをバラしてもいいのか、と言っているわけか。

なにこいつ悪魔!

「本当なのか……?」

恩田がすがるように訊いてくる。

どうしろっつーんだよ!

「……そうだよ」

そう答えるしかないじゃないか。

「こいつが彼氏になるなんて嫌だから猛勉強してんだよ!」

若干キレ気味になってしまった。

一方杉山はやっぱりニコ……いや、ニヤニヤしている。

「……だよな」

恩田がちょっとだけ救われたような顔をしているのは気のせいだろうか。

「それじゃ、僕も勉強しようかな。せっかくのチャンス、ものにしたいからね」

勝負に負けても友達ではいてほしいけどね。そう言い残して席に帰って行く。

おい、この恩田と嫉妬にとりつかれた女子群置いてくな。

「それじゃあさ」

恩田が他の女子なんて眼中にないとばかりに何か言い出した。

「俺も、その勝負参加して良い? 一人より二人のほうが勝率は高いだろう?」

いや変わらないんじゃないか?

「僕は一向にかまわないけどね。手を貸してくれるならありがたい……」

杉山を通さず勝手に許可していいのかとも思ったが、どうせ恩田だから杉山も気にしないだろう。

「……よし」

恩田は自分の席へついて早速昨日の追試の問題を広げ始めた。

やっぱり女子達のささやき声は聞こえるけど、もう気にしていられない。僕も勉強を再開する。


午前中の授業は完全に無視してひたすら漢字の書き取り、手が疲れたら国語のノートの見直し、というルーチンワークを繰り返した。

さすがに美術の間は休んだが、数学の時間は内職してるのがバレたのか問題答えさせられた。

僕はどうにか答えたが、同じような状況だった恩田はどもってしまって、内職してんなよー。と叱られていた。ばかめ。

昼休みはいわしハンバーグを牛乳で流し込み、もう数十回は見た、昨日の問題をもう一回見直すか、というところで恩田が来た。

恩田も一生分勉強したような顔で、現状確認に来た。

「……自信のほどは?」

「百二十点取れる気がする」

あくまで気がするだけどな。もう疲れた。

するとやっぱり杉山が寄ってきた。

「文哉も勉強してるけど、勝負に参加したいのかな?」

恩田の勉強のできなさを昨日聞いたからだろう。余裕たっぷりの表情をしている。

「ああ。いいだろ? 修は勉強しなくて大丈夫なのか?」

「僕は昨日の追試を受けてないからね。問題用紙が無いんだよ。転校したばかりで君たち以外に貸してと言えるような友達も居ないし?」

一瞬、それなら勝てるかも、と思ったがすぐに気を引き締めた。

こいつのことだ。勝機のない勝負なんて仕掛けない。

それにカンニングを知ってたことといい、行動の端々に何か隠してる気配がする。

恩田はそんなこと気付いていないようで明らかにほっとしている。

こいつはやはりアテにならない。

勉強を始めたのが朝って時点でハンデだしな。

「まぁそんなわけで余裕こいてるように見えるだろうけど。内心ドキドキだから。そっちに余裕があるなら昨日の問題用紙を貸して欲しいくらいだよ」

白々しい。

「それこそあり得ないな。敵に塩を送るなんて武士道精神は持っていない」

「だよね。厳しいなぁ。それじゃ、放課後にまた。どちらが勝っても恨みっこなしね?」

いや恨むわ。

それだけ言い残して席に戻ると、やっぱり杉山は女子に囲まれた。

何話してるんだろう。

『古枝さんなんかのどこがいいの!?』

『口数も少ないし、私たちと居たほうが絶対楽しいのに!』

『ぼくはおとなしい子を弄ぶのが好きなんだよ』

……とかだろうか。

もう杉山が鬼畜にしか見えない。


六時間目が国語で、授業の始めに追試が返ってきたのだが、六十八点。

足切りはやはり七十点で、追追試が確定。

いい加減疲れてきたなとも思ったが、やはり国語の授業も聞き流して追追試の勉強をしていた。


授業終わりのチャイムが鳴り、掃除。

いよいよ勝負の時間が近づいてきた。

「……大丈夫そうか?」

例のごとく恩田が話しかけてくるのだが、今回ばかりはいつもみたいな返しができない。

「正直、わからない。当たって砕けろな気分。絶対砕けたくないけど」

「勉強してないみたいだからいけるといいんだけどな」

でもやっぱり学年十番は伊達じゃないのかな、とか不安がっている。

同じ気持ちは僕にもあるが、今そんなことは悩んでいられない。

このテストに全力を尽くす。それしかできない。



「……連絡はこれくらいだな。あと国語の追追試者は放課後逃げないように」

きりーつ、さようならー。

今日の日直が間延びした号令をする。

やっべえ。超ドキドキしてきた。

栗栖さんもいなくて、うちのクラスからは僕と恩田、杉山だけ。

席順は昨日の栗栖さんの席に杉山が座った。つまり、

窓際の前から三列目に僕と恩田が座り、恩田の前に杉山。

もう先生に話はつけたようで、何も突っ込みを受けずに問題が配られた。


……やはり設問は変わっている。

が、問題ない!

散々問題を読み込んだおかげですらすらと答えが出てくる。

大問一、二を速攻で解き終えて、三に入る前にふと杉山の回答を覗き見る。

もちろん、先生にも杉山本人にもわからないように。

……見覚えがある。

僕と同じ答え……?

不審に思って大問三の問一の選択問題をあえて間違えてみた。

少しのタイムラグはあったものの、杉山の回答に書き込まれたのは僕と同じ答え。

不審が確信に変わり始める。

問二は記述問題。理由を問うものだ。

普通なら『〜ため』と文尾を結ぶが、あえて『〜から』と書いてみた。

だがそれにも関わらず一言一句同じ回答。

間違いない。

どうやってか、はわからない。

こちらのほうは少しも向いていない。

だが、疑いようがない。

――コイツも、カンニングをしている!

……いや、でもそれだとおかしい。引き分けにしか持ち込めない……。

そんな詰めの甘い事を杉山がするわけない。

そう考えて昨日言われた条件を記憶の引き出しから探し当てる。


――君が勝ったら、付き合ってってのは取り消す。


あの時は焦りまくっていたが今やっと気付いた。

コイツは始めから勝つつもりなんてない!

告白された瞬間くらいに焦り、脳が限界ギリギリで稼働しながら対策を編み出す。

――あえて間違えた問題を回収直前に書き直してはどうか?

――いや、アイツのほうが前に座っている。それでは直す時間を与えてしまう。

さっきみた所、タイムラグはあったものの、せいぜい一、二秒。

この程度のラグでは武器にならない。

――答えを書いた後、手で答えを隠し続けてはどうか?

――これもだめだ。さっきと同じ理由で、集めるときに手を離せば写されてしまう。

他にもいくつもの案を考えては却下していく。

焦りは増すばかり。

後ろからでは杉山の表情は見えないが、ほくそ笑んでいるのが手に取るように分かる。

……時間は?

はっと時計を見るともう十分も残っていない。

ざっと問題を見たところ、わからない問題はないようだったが、答えがわかるからといって一瞬で解答用紙に書き込めるわけではない。

かと言ってすべて書いてしまえば後で策を講じても手遅れになる可能性がある。

そういった二律背反に苦しみながら、一つ、また一つと答えを書き込んでいく。

もう三分もない……!

結局使えそうな策と言えば、最初に思いついた

『回収直前で答えを書き換える』か、

『漢字をわざと曖昧に書いて写し間違えるのを期待する』くらいだ。

どちらも一応やっては見るが期待はできない。

後者に至ってはこっちが間違ってあっちが正解という事態さえ考えられる。

そうして悩んでいるうちにも時間は進む。

空欄は埋めざるを得ない。

何か出来ないかと記述問題を一つ残して、策を考え続ける。

だが何も思いつかない。

他に何か無いか……他に……!

「はい、そこまで!クラス毎に集めてきてー」

そんな願いも空しく、テスト終了が告げられる。

最後に残した記述……は間に合わない。

わずかな時間でわざと間違えていた記号問題を直したが、杉山もテスト終了で気が抜けた、なんてことはなくしっかり直していた。


……終わった……。

今日は恩田が率先して集めてくれた。

が、よほど僕は絶望に染まった顔をしていたのだろう。

恩田は声をかけようと一瞬立ち止まったが何も言わないまま杉山の回答用紙を受け取り、先生に出しに行った。

そして戻ってきて一言、

「元気出せ」

とだけ。

正直、一人で走って帰りたかったが、不自然だし恩田が

「帰ろうぜ」

と声をかけてくれたのでやめた。

もちろん、当然という顔で杉山も立ち上がって隣に立つ。


「テスト、どうだった?」

お前がそれを聞くか。どうせ同点だとわかっているくせに。

いや、こいつ以外が言い出すはずもないか。

流石に恩田でもそれくらいは空気が読める。

「……どうだかね。また引っかかる気配はないが」

「……」

恩田が控えめながらも返事をしたのに対し、僕は沈黙を守ったまま。

なにも喋りたくはなかったが、二人とも僕の言葉を待っていたので仕方なく口を開く。

「ベストは尽くしたよ」

ちょっと涙声になっていたかもしれない。

「そっか。それなら負けちゃったかもしれないな」

「……だと、いいけどな」

その後は誰も口を開かずに重々しい帰路が続いた。


「んじゃ、俺はここで。また、明日な」

恩田が昨日と同じ交差点で立ち止まる。

「また、明日な」

「またね」

昨日と同じ交差点で、昨日とはまったく違った一連のやりとり。

重苦しい帰路は続く。

僕の家まであと少しという所で思い切って口を開いた。

「……杉山」

「何だい?」

「お前、何者だ?」

昨日心の中に浮かんだ問いを今日は唇に乗せる。

「まるで、超能力か魔法か……少なくとも、常識ではあり得ない力を持ってるだろう」

どうやってカンニングのことを知ったかはわからないが、テスト中の動きを見る限りでは千里眼のような力に思えた。

「んー……まぁ、いいか。これから彼女になる相手だしね」

決めてかかりやがって。いや、実際、決まっているのか。

今からこいつとの同点は覆しようがない。

「ただのしがない召喚師です、はい」

召喚?

「つまりお前は召喚獣を使えると?」

「召還獣、使い魔、式神……言い方はいろいろあるけどね。召喚獣が一番近いと思う」

「……それを信じろと?」

言い出したのは確かに私だが、そうそう信じられる話ではない。

「信じなかったところで他に説明のしようがないんだけど」

召喚獣と言っても、他の人には見えない、第三の目みたいなものだけどね。

杉山はそう言うのだが、やはり信じられない。

「……やっぱり、信じられないか」

「当たり前だ」

「仕方ないな……。まぁお互いに弱みを持ってる方がいい関係を築けそうだったから言っただけだしね。因みに君の下着の色は……」

ちょっと見直しかけたのに出たよ変態紳士!

杉山を睨み付けながら制服のスカートを抑える。

「大丈夫だよ、見えてない。だって短パン穿いてるし」

見えてるじゃねーか!

これで校内のプライバシーは無くなった!

……ていうか犯罪し放題じゃね?データに残せないのがせめてもの幸いとはいえ…

「大丈夫だよ。この召喚獣にはロックがかけられている。代々蓄積されてきたノウハウによって、『見ちゃいけないもの』は見れないように。ね。」

携帯のチャイルドプロテクションみたいなものかな、と。

それが本当なら安心……?

でも僕の短パンは見てもいいものなのか……。

そしてパンツは見ちゃいけないもの、らしい。基準が分からん。

「僕が示せる誠意はこれだけ。明日の結果発表が終わったらまたよろしくね」

杉山はまた昨日のように手を振って道を左折していく。

……なんか急に疲れた。

んーっと伸びをしてまた家へ歩き始める。

好きとは似ても似つかないが、少し杉山を信用し始めている自分がいるのを感じる。

もちろん、さきほどの召還獣の話は『そんなのウソだ!』と思う自分がいる。

だが一方でそれなら全てに説明がつくと思っている自分も居る。

性格が悪いところ、ややサディスティックなところはあるが、信頼に値する人間性も感じている。

有り体に言えば、なんとかなる、悪くないかなーと思っているというか。

どっちにしろ、もうどう行動を起こしてもテストの結果は変えられない。

どんな結果になっても後悔だけはすまい、と心に決めた。


今日は疲れた。

勉強し通しというのもあるし、杉山が僕の周りの人間を引っかき回しまくった結果のストレスもある。

部屋着に着替えたが、疲れたからと目を瞑ったら寝てしまいそうだと思ったので、流しで冷たい水をガラスのコップに一杯飲んで、これからどうなるかに考えをめぐらせて見た。

……付き合うとなって、杉山が何を要求してくるか。

デート?こっちに来たばかりで遊ぶところが分かるのだろうか。僕は分からない。

家に呼ばれることもあるかもな。結局あいつの家はどこなのだろう。僕の家に呼ぶつもりは微塵も無い。

手を繋ぐならまだしもとかそれ以上を要求されたら顎にアッパー極めて逃げ出そう。

……呼び名?

下の名前で呼ぶとか要求されたらどうしよう。

恩田どころか女子相手でも名前で呼ぶとかしたことないぞ……少なくとも小学校からは。

あいつの下の名前なんだっけ。……そうだ。修だ。

『悪い、待った?』

『んー? まだ約束の時間前だし』

『待ってないとは言わないのな……』

『だって凛相手にそんなん気にしてもね。……さ、行こうか』

『……うん、修』

死ねる! これは死ねる!

想像だけで顔が赤くなるとか末期だから!

冷水で手を冷やしてぺたーっと顔を覆う。

あー、きもちー。

呼び名は気にしない気もするんだが、僕が嫌がると分かれば敢えてやらせにくる。きっとそんな奴だ、あいつは。

こういうのって起こったときに備えて脳内シミュレーションしとくべきなのかな。

でもそれも確実に重症だしな……。

悩みが多すぎて処理能力超えてきた。


そんな悩みもあら不思議、一晩寝ればだいぶ落ち着くもので、気持ちに整理をつけて登校した。

あ、やっべぇ宿題やってない。

教室でクラスメイトが話しているのを聞いて気づいた。

昨日授業聞いてなかったからだ。国語のワークに手をつける。

まぁ二ページならなんとかなるな。

一ページ半くらいの所で恩田が来た。

もっと落ち込んでいると思っていたのだろう。

拍子抜けした顔で近づいて来た。こいつは表情で考えている事が読みやすい。

「なんだ、元気そうじゃないか」

「五月蝿い、宿題の邪魔だ!」

「心配してやったのにそれかよ!」

あ、でも俺もやってねぇや、と素直に退く。

……もうちょっと構ってやっても良かったのに。

明日以降は構ってやれる時間が減るかもしれないし……。

とりあえず顔を下に向けて残りの問題を解く。

丸付けをしようとシャーペンを赤ペンに持ち替えたところで教室の扉が開く音に目を向けると、恩田と目が合った。

挨拶代わりに右手に赤ペンを握ったまま、立てた親指を下に、して杉山へ向けてやった。

杉山はまた苦笑していた。前から思ってたけどこいつスルースキル高いよなあ。

ぱっぱと丸付けを済ませてHR。

一時間目は国語なので森崎先生はそのまま教室に居る。

先生がみんな宿題は忘れてないよなー?と聞いた途端に教室の一部が焦りだした

恩田……もまだ終わってないな。超急いでる。

列ごとにワークを集め、授業に入る。

もうこの教科書もほとんど終わりだ。

昨日のように内職するわけでなくとも授業を聞き流していると、授業の終わりに追追試の結果が返ってきた。

「杉山ー」

杉山が立ち上がってテストを受け取る。特に点数に興味を示している風もない。

「古枝ー」

僕がテストを受け取ると杉山が視線を向けてきた。

点数は、92点。ミスは記述が1問だけ。

もちろん、杉山も同じ点数だろう。

「恩田ー」

恩田の時だけ先生の様子が違い、テストを持ったまま眉をひそめている。

そんなに悪かったのだろうか。勉強はしてたみたいだが、まぁ恩田だしな。

案の定受け取った恩田は困ったような顔をしていた。

チャイムが鳴ると二人は案の定僕の席に集まってきた。

「凛、何点だった?」

完全に形式上だが、杉山がテストを見せながら尋ねてきた。

確認するまでもなく九十二点だったので、僕はテストをひらひらと振ることで返事とした。

杉山はにっこりと笑ってこれからよろしく、と手を差し出してきた。

しゃーねーか、と僕も手を出した。の、だが。


「俺は?」

恩田仲間外れは嫌だからって空気読めよと……。

視線だけ恩田に向けると、さっきの困った顔にに半笑いが混ざって胸の前にテストを掲げている。


九十八点。


ちょっと意味わかんなかった。

一秒ゆっくり考えて、あぁ、なるほど、と納得する。

理解できた瞬間思い切り立ち上がって杉山にひとさし指を突きつけて、言ってやったね。言ってやったとも。


「ざまあ!」


あれ、なんでよりによってこの言葉?

「あと恩田グッジョブ!」

すっきりした。

杉山は九割終わった夏休みの宿題の範囲を間違えてたような顔をしている。

戦場で背後から撃ち抜かれた顔でも可。

「そう……か。恋人にはなれなかったけど、友達では居てくれると嬉しいかな。まだ他に友達居ないし」

その気になればすぐ出来るだろうに。

「それと一つ、二人に訊きたい事が」

ん?

「俺にも?」

杉山がこほん、と咳払いをする。またか。嫌な予感しかしない。

「二人は付き合うの?」

吹き出した。

「いや、恩田は僕が杉山と付き合いたくないからって言ったら連合を組んだだけだろう?」

だと思ってたんだが、違うのか?

「でも恩田くんのほうが点数上だったんだし、その権利はあるんじゃない?」

それはお前が言い出した条件であってだな……。

でも、恩田も『勝負に参加する』としか言ってないものな。

「どうなんだ?ちゃんとルール決めしたわけじゃないからなんとも言えないんだが」

結局恩田に話を振るしかない。

が、本人すごいうろたえてんだけど?

「え、あ、うぅ……」

ちょっと耳赤いんだけど。

やっぱこいつ僕のこと好きなの?

案の定杉山はまたニヤニヤしている。何のつもりだ。

「あ、あの」

恩田が噛みながらも言葉を紡ぐ。

「お、お友達からお願ひ、お願いします」

……今まで友達だと思ってたのは僕だけだったのかな?




その放課後。

「確かに手段はちょっと選ばなかったですけどね?結構本気だったんですよ……どう思います?守田さん」

例の喫茶店。杉山はHR後直行だろう。他に客の姿は見えない。

「そりゃ君、あの子はきっついでしょ。難易度AAくらいあるんじゃない?」

おかげで守田さんを独り占め(?)している。他に相談できる人も居なかったのだろうが、ここに来たのは良い選択だったと言えるだろう。

「いやあ、でも一歩手前だったんですよ?だけど最後文哉にしてやられましたね」

守田さんはまたけらけらと笑いながら、

「難易度AAってのは恩田くんが半分くらいだっての。あの子は良い男になるよー?」

ちょっと単純だけどね、やるときゃやるんだ。と最後に付け足すあたり、二人のことをよくわかってるなあ、と杉山は思う。

「で?どうだったの?ようやく恩田くん告白した?」

興味津々ですね、と前置きして杉山は語り始めた。

「いや、『お友達から』だそうですよ。でも凛の方は絶対気づいてますね」

なんだそりゃ、と守田さんは一層笑い出す。

「悪女だ悪女!」

「まったくですね。あ、それと」

杉山は姿勢を延ばし咳をひとつ。

守田さんを真っ直ぐに見つめる。

「よかったら、僕と付き合いませんか?」

守田さんは一瞬きょとんとしたが、突然堰を切ったように爆笑しだした。

「ちょっ君!節操なさすぎでしょ!『それで』って話つながってないし! 引っ越して一日で凛ちゃんに目をつけるから人を見る目はあると思ったのに!」

あーくるし、と言いながらくくく、とこぼし笑いを続ける。

一方杉山は憮然とした顔で言い訳染みた釈明を始める。

「そんなに笑わなくても良いじゃないですか……それに凛はほぼ一目惚れだったんですよね。なんかこう、ピンときたと言うか。それで、返事聞いてませんよ?」

「あ、二人から聞いてない? 私彼氏いるのよ」

「やっぱりですか? 確かに守田さん、いい女ですもんね」

「言うねぇ。ま、代わりに特盛☆チョコパフェおごったげるよ! 大丈夫。原価は200円くらいだから。他に若い女店員はいないけど、これからも話しに来なね?」

ちょっと待ってて、と言って守田さんはパフェを作りに厨房に引っ込む。

「……甘いもの、苦手なんだけどなぁ……」

背後でからんからん、と入り口についているベルが鳴った。




申し訳ございませんでした。反省はしてます。

「どうせ反省するなら俺の意見を参考意にしろ!」

そんな後進育成意欲にあふれた方、居ましたらよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 学生らしさが出ていたところです。  付き合う付き合わない、テストの点数、カンニングの方法に悪知恵を働かせる。    学校という世界の試練を表現できていたと思います。 [気になる点] 召還…
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