↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/70

第2話:本物のモンスターと初のレベルアップ!〜ステータスは迷わず【運】に全振りします〜

大海原は、冒険小説にあるようなロマンチックなものではなかった。

容赦なく、暑く、そして恐ろしいほどに空っぽだった。


四日間、レオンはただひたすらに目も眩むような太陽の下でオールを漕ぎ続けた。

ヤシの実の果汁で渇きを癒し、一向に変わらない平坦な水平線を睨みつける。頑丈で毛皮に覆われた犬人の腕も、さすがに疲労を感じ始めていた。


五日目、猛烈な飢えが襲ってきた。

バナナの残りは少なく、これ以上備蓄を減らしたくない。彼は船底からモリを掴み、きしむ木製の縁から身を乗り出して、銀色の閃きを待ちながら青い深淵を覗き込んだ。


水面が波立った。

レオンは電光石火の反射神経でモリを突き刺す。


手応えはあった。しかし、通常の魚が引くような感触ではなく、怪物のような力で木の柄が手から引っこ抜かれそうになった。

船が危険なほど激しく揺れる。

レオンは船体に足を踏ん張り、唸り声を上げながら武器を引き寄せた。


グロテスクな生物が水面を割って現れた。

体長は1メートル近くあり、岩のように分厚い灰色の鱗と、剃刀のような歯が並ぶ不釣り合いに巨大な顎を持っていた。


しかし、レオンの目を丸くさせたのは、その異形な外見ではなかった。

その頭上の数十センチの空中に、青く光るシステムの文字が浮かんでいたからだ。


【 アーマード・バラクーダ - レベル1 】


「名前と……レベル……」


驚きに息を漏らす。島での半年間、こんなものは一度も見たことがなかった。

この世界のルールが、突如として明確になった。今まで狩ってきた普通の動物には、浮かび上がるテキストもステータスもなかった。ただの肉だ。


本物の「モンスター」だけが、名前とレベルを持っているのだ。


深く考えている暇はなかった。

バラクーダは空中で暴れ、彼の腕に噛みつこうとしてきた。


レオンは本能で反応した。

モリから手を離し、インベントリから「平凡な鉄の剣」を青い光と共に引き抜くと、鮮やかな一閃で獣の首を完全に斬り落とした。


【 アーマード・バラクーダ(Lv. 1)を討伐しました。経験値を獲得。 】


心臓は激しく鼓動していたが、その鼻面には獰猛な笑みが浮かんでいた。

ついに見つけた。本物の獲物だ。


それからの二日間、レオンは戦略を変えた。

闇雲に船を漕ぐのをやめ、最初のモンスターの死骸を餌にして、他の獲物を船の周りにおびき寄せたのだ。


それは粗暴で過酷な狩りだった。

彼はさらに6匹のアーマード・バラクーダを仕留めた。致命的な噛みつきを躱し、狭い船上でも正確な一撃を放つため、『野生の疾走(フェラル・ダッシュ)』の使い方を学んでいった。


7匹目のモンスターの首が木の床板に転がった時、待ち望んでいたシステム音が脳内に響き渡った。


【 レベルアップ! 】

レベル3に到達しました。

自動ステータス上昇:すべての物理ステータス (ATK, DEF, SPD) に+5。


レオンは葦の日よけに寄りかかり、疲労困憊しながらも満足げに息をついた。

変化を確認するためにハブを開く。


予想通り、システムはレベルが上がるごとに基礎的な物理成長を自動的に与えてくれる。だが、10ポイントの追加ポイントでどのように特化させるかは彼の選択に委ねられていた。

当然ながら、「運」は自動では成長しない。


【 ステータス 】

名前: レオン

クラス: 海賊 (パイレーツ)

レベル: 3

HP: 120/120

攻撃力 (ATK): 30

防御力 (DEF): 25

素早さ (SPD): 35

運 (LUCK): 10

残りステータスポイント: 10


10の残りポイントを見つめる。

そして、水平線に目を向けた。海はまだ空っぽだった。何日も航海したというのに、大陸らしきものは何一つ見当たらない。


「勝っているチームを変えるな、だな」


レオンは低く唸り、迷いのないスワイプで、10ポイントすべてを前回と全く同じ場所に注ぎ込んだ。


運 (LUCK):20


インターフェースを閉じ、夜の湿気をしのぐために腐りかけた帆布の切れ端にくるまると、システムが再び自分の願いを聞き入れてくれることを祈りながら眠りについた。


◇ ◇ ◇


鈍い衝撃音と、木が石を擦る不快な音で目を覚ました。

レオンは飛び起き、すでに手は剣の柄にかかっていた。モンスターの襲撃ではない。船が緩やかに砂利の岸に乗り上げていたのだ。


青白い夜明けの光に包まれた目の前には、小さな小島があった。

トロピカルな島などではない。波の間から腐った歯のように突き出た、黒い岩の巨大な海食柱だ。植物は一切ない。


ただ一つだけ、岩の根元に、暗い石に直接くり抜かれた洞窟の入り口がポッカリと口を開けていた。


レオンは浅瀬に足を踏み入れ、潮に流されないように船を砂利の上に引き上げ、入り口のすぐそばに固定した。

その穴を見つめる。彼の「運」が、彼を正確にここへと導いたのだ。


剣を抜き、塩と古い血の悪臭が漂う暗闇の中へと足を踏み入れた。

裸足がぬめり気のある岩肌に触れた瞬間、澄んだ音と共にシステム・ハブが開いた。


【 システム通知:Fランク・ダンジョンの入り口を検知しました。 】


その通知を読む暇さえなかった。

洞窟の奥から、喉を鳴らすような低い声が響いた。

暗闇から3つの影が現れる。身長は150センチにも満たず、病的な緑色の肌を持ち、水かきのある手には欠けた珊瑚の短剣が握られていた。


【 シーゴブリン - レベル2 】

【 シーゴブリン - レベル2 】

【 シーゴブリン - レベル2 】


ただの愚かなモンスターではなかった。彼らは致命的な連携で動いてきた。

中央の一匹が武器を突き出して飛びかかり、残りの二匹がレオンの逃げ道を塞ぐように両側面に回り込む。


レオンは中央からの攻撃を剣で弾いた。

モンスターの力は予想以上で、彼は一歩後退させられた。反撃する間もなく、側面のゴブリンが彼の脇腹を切り裂いた。


鋭く焼け付くような痛みが息を奪う。

(防戦一方になれば、バラバラに引き裂かれる!)


獣の本能が支配した。


「フェラル・ダッシュ!」


両脚に一瞬でエネルギーが満ちる。人間離れした爆発的なスピードでサイドステップを踏み、二度目の攻撃を躱した。

瞬きする間に右側のゴブリンの懐に飛び込み、全身の力を込めて剣を振り下ろし、その頭蓋骨を叩き割った。


止まることなく、スキルの最後の1秒を利用して回転し、その死体を二匹目のゴブリンに蹴り飛ばして体勢を崩させる。

三匹目が金切り声を上げて飛びかかってきたが、レオンは刃でその一撃をそらし、空いた手でぬめる喉を掴むと、爪を食い込ませて首の骨をへし折った。


最後に地面で倒れているゴブリンの胸に剣を突き立て、トドメを刺した。

レオンは膝をつき、血の流れる脇腹を押さえながら荒い息を吐いた。残酷な戦いだった。


【 シーゴブリン(Lv. 2)×3 を討伐しました。経験値を獲得。 】

【 レベルアップ! 】

レベル4に到達しました。

自動ステータス上昇:すべての物理ステータス (ATK, DEF, SPD) に+5。


レベルアップのエネルギーが筋肉を強化し、脇腹の痛みが和らいでいくのを感じた。

画面に浮かぶ10のステータスポイントを見たが、今は使わないことにした。この場所がどう機能しているのかをもっと理解するまでは、再びギャンブルをするのは危険だ。


画面を閉じようとしたその時、ハブが強烈な金色の光を放って点滅した。


【 条件達成:レベル4に到達しました 】

【 海賊(パイレーツ)クラスの固有システム『船員(クルー)』が解放されました。 】


金色の光が収まると、ステータス画面が自動的に更新された。興味津々で、レオンは自分のステータス画面を開いた。


【 ステータス 】

名前: レオン

クラス: 海賊 (パイレーツ)

レベル: 4

HP: 165/165

攻撃力 (ATK): 40

防御力 (DEF): 35

素早さ (SPD): 45

運 (LUCK): 20

残りステータスポイント: 10

船員 (Crew): 0/3


レオンは眉をひそめた。船員:0/3。

無人島を脱出した時に【海賊】クラスを選んではいたが、この項目を見るのは初めてだった。

最大3人の部下を雇えるということか? しかし、どうやって? ゴブリンのようなモンスターを従属させるのか、それとも他に生存者がいるのか? まだ答えの出ない疑問だ。


彼は剣の柄を握り直し、刃についた敵の血を振り払うと、ダンジョンの暗闇の奥へとゆっくり歩みを進めた。

ここからは極限の警戒が必要だ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


もし少しでも「面白かった」「続きが読みたい」「犬人船長がんばれ!」と思っていただけましたら、ページ下部からの【評価】と【ブックマークの追加】をしていただけると、執筆の何よりの励みになります。


皆様の応援がシステムをハックする(?)原動力です!

次回もよろしくお願いいたします。


━━━━━━━━━━━━━━━


■ あわせて読みたい!同作者のランキング受賞&おすすめ完結作品 ■


現役イタリア人シェフである著者の知識を詰め込んだ異世界グルメ・ファンタジー・サバイバル作品が各部門のランキング上位に入っております!すべて完結済み(または1話完結)ですぐに一気読みできますので、ぜひ続けてご覧ください!


▼ 【一番人気!ローファンタジー&異世界転移ランキング急上昇!(全8話+特別番外編2話完結)】

485℃の薪窯と魔物の廃棄部位で最強パーティを進化させる、本場のナポリピッツァ無双!

『最凶迷宮に転移したナポリのピッツァ職人、レベルはないが『絶対無敵の店舗と485℃の薪窯』で引きこもる~魔物の廃棄部位と極上ピッツァで最強パーティを進化させ救国の英雄に~』

https://ncode.syosetu.com/n1476mx/


▼ 【パニック〔SF〕日間・週間・月間すべて第1位(三冠達成)!(1話完結)】

魔法もステータスもない、100%リアルな無人島開拓&料理サバイバル!

『『カテゴリーD(廃棄物)』と切り捨てられたコンビニ店員のリアル・ゾンビサバイバル ~ゲーム脳を捨てて無人島を開拓したら、俺を見捨てた『カテゴリーA』の上級国民たちが食料を乞いに来たけれど、もう遅い~』

https://ncode.syosetu.com/n8187mw/


▼ 【ローファンタジー短編ランキング上位!(1話完結)】

犬人船長の物語がお好きな方にイチオシ!盲目の老鍛冶師と最弱ゴブリンの熱き絆と進化の物語!

『『名無しのゴミ』と蔑まれた最弱ゴブリン、盲目の老鍛冶師に『ルズ』と名付けられ自慢の孫になる~じいちゃんを守るため十二人分の剛力を持つ鋼の鬼神へ進化し、全種族大連盟の盟主になるまで~』

https://ncode.syosetu.com/n1380mx/


▼ 【こちらも各部門ランキング上位!すぐ読める完結・短編シリーズ】

・宇宙〔SF〕グルメ無双:『エリア51のぽっちゃり【料理人】、猛毒エイリアンを極上グルメに解体調理して人類を救う!』

https://ncode.syosetu.com/n0796mx/

・コメディー完結済(全6話):『豪華客船がゾンビパニックに陥ったので、重度ゲーマーの34歳シェフは厨房に引きこもる』

https://ncode.syosetu.com/n0295mx/

・純文学ヒューマンドラマ:『厨房にゴミはない ~高級店を辞めた『残飯シェフ』と、カウンター十席の奇跡~』

https://ncode.syosetu.com/n8593mw/

・イタリアン×ホラー短編:『冬季限定ホテルの『神々の秘酒』』

https://ncode.syosetu.com/n1782mx/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。