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魔法少女が夜に舞う・C

「遅くなってしまいましたね」


かなり危うい状況を救う形になったエイリ。エコーの方を向くことなく、エイリは尋ねる。


「ケガはありますか?」


「へ、あ、だいじょぶです。」


「そうですか」


それだけ返し、リーダー怪人に目を向ける。怪人は興味深そうにエイリに視線を向けており、何やら楽しげに話し始める。


「うふふ…まさか、こんな夜中にこれほど強そうな子に出会うなんてねぇ」


「強そう、に収まらないことはすぐわかりますよ」


「あら、結構な自信家なのねぇ」


残っている戦闘員怪人に指示が出され、全員がエイリの元へと差し向けられる。エイリもそれらを迎え撃つために集団へと飛び込んでいく。数が多いわけではないのだが、腕の一振りでまとめて二体の戦闘員を斬りつけ、そのまま流れで別の戦闘員に蹴りを浴びせるなど、最適化された連撃によってまたたく間に戦闘員を全滅させてしまった。


「ん、んんん。なかなかやるのね、アナタ」


「次はあなたの番です」


「…コホン。私は荒野の歌姫、これからアナタの悲鳴は歌になるの。あんまり、つけあがらないことねっ…!」


リーダー怪人、もとい荒野の歌姫が魔法を高出力でエイリに向けて放つ。それに対し、エイリも光のエネルギーを鉤爪から刃のように飛ばして迎え撃つ。ぶつかり合うエネルギーが一瞬だけ拮抗した後に、エイリの飛ばした刃が魔法を押しのけて歌姫に命中。


「私の魔法がっ…!?ありえない!」


「あなたも自信家みたいですね」


追撃をかけるエイリ。歌姫の魔法を交えた抵抗を魔法で作った斬撃の軌跡で防御、それをそのまま攻撃に転用してどんどん追い詰めていく。


『こんな強い人がいるなんて…』


「あたし聞いてねぇぞ…」


あれほど苦戦させられた歌姫が圧倒されている様を見て、唖然とする二人のヒーロー。だがそれ以上に、圧倒的な実力を誇る謎の魔法少女の存在に二人は驚愕していた。


「トドメです」


「な…っ!?」


閃光と共に、エイリは歌姫の身体を通り抜けて両断し、そのまま歌姫を爆散させてしまった。無意識のうちに、斬り抜けた先で決めポーズを取りながら。


『流石です、エイリさん。今回の怪人については少し情報をまとめてから…』


「アイズさん、この怪人はあのヒーロー達が倒したとして報告してもらえませんか?」


『あれ、いいんですか?せっかくの手柄なのに』


「口止め料として受け取ってもらいます」


「あー、さっきから誰と話してんだ?」


「わ、っ…魔法少女連盟の、幹部です」


咄嗟にフードを抑えつつ、顔を見られないように近づいてきていたレッドサンから顔を背ける。


「ふーん、てか口止め料ってどういうことだ?」


「私は目立ちたくないので。だからこうして、夜に活動しているんです」


「目立ちたくないって…ヒーローも魔法少女も、目立って人気者にならなきゃだろ」


「目立たなくても、人を守る事はできます」


エイリはそう言って、レッドサン…とその側に走ってきたエコーに背を向けて立ち去ろうとする。

レッドサンは、エイリの言葉に何も言い返せなかった。彼女にとって、ヒーローとして目立つ事を職業的な側面でしか捉えていなかったからだ。目立って、人気になって、より上の階級となることで生活費を稼ぐ。それに囚われて、自分がヒーローになった理由を忘れるところだった。


「ちょっと待ってくれ、最後に名前を教えてくれないか」


その言葉に、エイリはなんて返そうか迷って動けなくなった。彼女は、特に活動名を用意していない…というより、無頓着であったためにテンプレ的な"名乗るほどの者ではない"というのも頭になかった。


『エイリさん。この際ですから、私と考えた名前を名乗ってみては?』


「………わかりました(といっても、アイズさんが一方的に案出ししてただけ…)。」


顔を向けすぎない程度に振り返り、アイズに付けてもらった名前を告げる。


「私はカゲロウと言います。できれば、忘れてほしいものですが…」


エイリはこれ以上会話が続かないよう、言い終えてすぐに、逃げるようにその場を離れてしまった。


「カゲロウ…か」


「影の狼、なのかな?」


「わからん」


レッドサンとエコーは、謎の魔法少女が残した余韻に浸りながら、非常に疲れた身体でゆっくりと、譲られた怪人の討伐についてどういう処理がされるのか疑問に思いながら帰ることにした。

後日、魔法少女連盟によって討伐報告がヒーローズに行われて困惑されることになる。



「カゲロウ……カゲロウ…」


『これから名乗ることになるんですからね、しっかり覚えて名乗れるようにしてくださいね』


「名乗ることが今後無いことを祈ります」


そうは言いつつも、エイリにとっては憧れの魔法少女を想起するこの名前は、少し気に入っているところがあるようで、エイリは微笑みを隠せないでいた。

次回予告まで書こうと思った。

でも諦めた

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