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「怪我はしてませんか?」
2人の女の子に出来る限り優しく問いかけた。そうしなければ顔を見て怖がられるからだ。まぁそれでも怖がられるんだけどな。怖がられたとしても、声をかけずに放って置く事なんか出来ねぇしな。
「はい、大丈夫です! 助けてくれてありがとうございます!」
「ありがとうございます」
活発そうな女の子が答え、お礼を言ってくれた後に内気な感じの女の子もお礼を言ってくれた。2人とも俺を怖がってる様子はないようで良かった。
「間に合ったようで良かったです。2人とも立てますか?」
「腰抜かして立てないです」
「わたしもまだ立てそうにありません。ごめんなさい」
「気にしないで下さい。じゃあ立てるようになるまで話し相手になってくれませんか?」
2人が歩けるようになるまでは一緒に居ようと思い、相手が出来るだけ気にしないように声をかけた。
「ぜひ、お願いします!」
「はい、お願いします」
「良かったです。今まで1人で過ごして、9日ぶりに人に会ったので会話したいなと思ってたんですよ。自己紹介しますね。俺の名前は東雲雷雨、歳は17です。雷雨でも雷でも呼びやすいように呼んでください。よろしくお願いします」
楽しい9日間だったが、誰とも話すことなく過ごすのは正直寂しかったしな。話せる事がこんなにも嬉しく感じるとはな。
「今まで1人だったんですか?! 私なら寂しくて死んじゃいますよ! 私の名前は西渕風羽花って言います! 17歳です! 雷雨って呼びますね、私の事は風羽花って気軽に呼んでくださいね! よろしくお願いします!」
「わたしも1人は無理です。毎日泣いて動けないと思います。1人で頑張ってきたの凄いです。わたしの名前は北波雪祈音と言います。17歳です。雷くんって呼ばさせてもらいます。わたしの事もよければ気軽に雪祈音って呼んでください。よろしくお願いします」
「ありがとうございます。可愛い子に褒められると頑張ってきた甲斐がありますね。同い年ですかね? 俺は今年18になります」
頭防具で髪型までは分からないが、2人とも顔が凄く整っていて、めっちゃ可愛いのが分かる。
「へへっ照れますねー! 雷雨もカッコイイです! 私達も今年18です! ねー!」
「ふうちゃんは可愛いですけど、わたしは可愛くないですよ。雷くんはカッコイイです。うん、同い年です」
「風羽花も雪祈音も可愛いですよ。よければ同い年ですしタメ口で話しませんか?」
確かに知らん奴に可愛いって言われても信じないか。チャラ男に見られるだけだわな。ミスってしまったか! 女の子と会話なんかここ数年してないから分からん。
「うん! おっけー!」
「うん、わたしもいいよ」
「ありがとう、敬語苦手だから助かるわ」
そこから2人が立てるようになるまで少しの間、他愛もない会話をした。
2人が立てるようになったので去ろうとした時、風羽花に少し待って欲しいと言われたから「いいよ」と答えると、2人は少し離れた場所で聞こえないが話し合ったのだろう。俺にお願いをしてきた。
「雷雨、お願いがあるの、私達も一緒に付いて行っていい?」
「迷惑かけるのは分かっているんだけど、お願いしたいです」
「そんな事か、全然いいよ。でも、いいのか? 俺は男だぞ? エロい目で見るぞ?」
一緒に行動するのは構わないが、俺はたわわに育ったおっぱいが好きだ。大好きと言っても過言ではない。2人とも防具で締め付けられてるからサイズまでは分からないが、爆乳なのは分かっている。そんなのガン見してまうわ。だから正直に打ち明けることにした。
「さっき話し合ったし、大丈夫だよ! ありがとう! 改めてよろしくお願いします」
「うん、わたしのでもいいなら全然大丈夫だよ。ありがとう、改めてよろしくお願いします」
まじかよ! 2人の爆乳を見ていいのか?! よっしゃあぁぁ!! なんか分からないけど、ハーディスさんありがとう!!
「分かった。こちらこそよろしくだ、じゃあ一緒に行こうか! 荷物は全部持ってるのか? それとも拠点に置いてる?」
拠点に置いてあったなら取りに行かないといけないしな。
「全部持ってるから、大丈夫だよ!」
「うん、わたし達は拠点を作ってないから」
「そうなのか。俺は拠点を作ってるから、このまま向かおうか」
「うん!」
「うん」
俺の……いや、俺達の拠点に向かって歩き出した――
◇◇◇
side 雪祈音、風羽花
「雪祈音、やっと逢えたね!」
「うん、それにまた助けてくれたね」
2人は頬を赤らめ、泣きそうな顔をしながら喜び合っていた。
「私達の事は覚えてなさそうだけどね!」
風羽花は少し拗ねたような表情で言った。
「仕方ないよ。わたし達の方は見ずに去って行ったから」
雪祈音は宥めるように風羽花に伝えた。
「分かってるけど、乙女心ってやつだよー! でも、嬉しいね! もう逢えないと思ってたのに」
「そうだね。わたしももう逢えないと思ってたよ」
「こうやって逢えたのも、霧亜のおかげだね! 霧亜、無事で居るかな」
「うん。霧ちゃんが誘ってくれなかったら本当に逢うこともなかっただろうしね。霧ちゃんの事、雷くんに聞いたら分かるかな?」
2人は恋のキューピットであろう人物の事を思い出し、心配していた。
「うん、そうだね! 雷雨に1度聞いてみよう!」
「無事な事を祈るしかできないけど」
「会って感謝を伝えないとね! だって霧亜が教えてくれた通り、雷雨は……大きいおっぱいが好きだもんね! 見ないように努力はしてたみたいだけど、何度か見てきてたし!」
「うん。今まで嫌な思い出しかないけど、初めて大きくて良かったと思ってる」
2人は照れながらも、嬉しそうな表情をしていた。
「私も! それにもう後悔したくないから気持ちを伝えたい!」
風羽花の目がやる気に燃えていた。
「霧ちゃんが背中を押してくれたし、わたしも思いを伝える」
不安に満ちた目をしていた雪祈音も覇気に満ちた目に変わっていた。
「2人とも恋人にしてもらえるように頑張ろう!」
「自信はないけど、わたしも頑張る」
「じゃあ、とりあえず一緒に連れて行ってもらえるようにお願いしに行こ!」
「うん。迷惑かけるけど、何もせずに終わるの嫌だから」
「雷雨、お願いが――」