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今日はいつもより遅めに目が覚めた。
昨日の夜、2人がリベンジ成功したせいか盛り上がり過ぎて、何回戦したか覚えていない。
いつも通り一糸纏わぬ状態で寝ている。パジャマを着てる時間がほぼない。
朝からすると止まらなくなる為、仕方なく起きる事にした。
「おはよう」
2人は俺より早く起きていて、その理由が俺の寝顔を見たいらしい。まぁ寝るのは俺より早いけどな。だから、おはようは俺から言うし、すぐに「おはよう」と返してくれる。
起きた後はいつものルーティンを終わらせて、準備万端にした。
「今日はキングとクイーンを倒しに行くんだよね?」
風羽花が首を傾げながら確認してきた。
「おう。キングとクイーンを殺りに行く。報酬にスキル、魔法のチケットがあるから、3回は倒さないとな」
キングゴブリンとクイーンゴブリンの討伐報酬は5万ポイントと鍵とスキル、魔法のチケットだった。鍵はたぶん次のエリアに行く為のアイテムだろう。キングとクイーンがどんな奴か楽しみだ。
「そうだね」
雪祈音はふふっと笑いつつ同意してくれた。
「よしっ、行こうか」
2人が返事をしてくれ、ツリーハウスから降り、いつも通り【六感の覚醒】を頼りに歩いていく。
歩くこと1時間。
【六感の覚醒】が危険信号を発した。
近くに居ると2人に伝えようとした時、肌がヒリヒリする気配を感じた。2人もそれは感じたようで、少し冷や汗が出ていた。
「安心しろ。俺が殺る」
2人の事も心配だったが、これほどの強者と戦える悦びも大きかった。
「ううん! 私も頑張るよ! 雷雨の楽しそうな顔を見てると落ち着くしね!」
「うん。雷くんの楽しそうな顔を見ると、大丈夫だって思えて安心する」
2人は冷や汗が止まっていて、いつもと変わらぬ笑顔で言ってきた。
「俺、楽しそうな顔してたか?」
「うん」と2人が言った後、顔を見合わせ楽しそうに笑っていた。まぁ2人の強ばりが取れ、いい緊張感になったから、よしとするか。
キングゴブリンとクイーンゴブリンの気配がする方に慌てずにゆっくりと気配を消して近づいて行く、と。ついに視界に捉えた。ソードゴブリンが10体、ゴブリンが5体、そして――キングゴブリンとクイーンゴブリンが居た。
キングゴブリンはジェネラルゴブリンよりも高く2メートル2、30センチはあり、盾を左手に装備して、2メートルをゆうに越えているであろうロングソードをゴブリン5体に担がせていた。
クイーンゴブリンはソードゴブリンよりも高く170センチほどの身長で、水晶が付いた身長と同じぐらいの長さをした木の棒を持っていた。
2人に作戦を伝えようと思った時、キングゴブリンと目が合い、その瞬間――雄叫びを上げ、俺達の方に指をさしてソードゴブリンに何かを指示した。すると、ソードゴブリン10体がバラバラになって走り始めた。
だがそんなのは関係ない。俺も〈むげんの庭園〉に来てから〈死獄〉と〈生天〉と共に強くなったんだ。それぐらい簡単に撃ち抜いてやる。
「俺に任せろ!」
〈死獄〉と〈生天〉を【武器の格納】全体を見るように集中し、木の木の隙間を通すように狙ってソードゴブリン10体を10秒もかからずに撃ち抜いた。キングゴブリンもさすがに驚いたようで、少し焦った顔をしていた。だが、それも一瞬だけで表情が戻った直後、また雄叫びを上げた。さっきの雄叫びとは違い嬉しそうな感情が感じ取れた。
キングとクイーンは慌てる様子もなく、歩いて俺達の方に近づいてきた。
「キングは俺が殺る。クイーンとゴブリンは2人に任せた」
あれ程の強者と戦える悦びで、武者震いが止まらい。
「うん! 任せてよ!」
「わたしも頑張る」
2人もやる気に満ちていた。
俺達もキングとクイーンの方に向かって歩き始めた。接触するまであと5メートルとなった時、キングがゴブリン達からロングソードを引き抜き、上段に構え、残り2メートルとなった時に振り下ろしてきた。右足を軸に左足を引き半身になって避けつつ、〈死獄〉で顔、首、胸と速射したが全て盾で防がれ、振り下ろしたロングソードをそのまま斬り上げてきたので〈死獄〉と〈生天〉で受け止めながら後ろに跳び衝撃を逃がした。
いいね、いいね、このヒリヒリ感。楽しい、楽しいな! キングもそう思うだろ?
その間に風羽花がクイーンに斬りかかり仕留めることは出来なかったが分断する事ができ、雪祈音が【氷結の弩砲】でゴブリン5体を撃ち抜いた。2人とも本当に強くなった。
キングと5分ほど魔法を使わずに戦っていると、先にキングが魔法を発動した。
最初は分からなかったが、瞑想で魔力を操る特訓のおかげでスキル、魔法を使用してるのが察知出来るようになった。
まぁ察知出来るようになっただけで、完全に見えるわけではないんだけどな。雪祈音は見えるらしくスキル、魔法を発動させた時オーラが出るみたいだ。例えば剣の斬れ味を上昇させた時は剣にオーラが纏い、雪祈音の【氷結の弩砲】などの魔法の時は、出てくる場所に一瞬だがオーラが出るらしい。俺も早く見れるようになりたい。というか、見れないとこの先大変になるからな。
雪祈音曰く俺のオーラは黒と緑、雪祈音が黒と青、風羽花が黒と黄が交じった色をしているみたいだ。
そんな事考えてる場合じゃなかった。戦いに集中しないとな。
キングが発動した魔法はロングソードに付与しているようだ。俺の後ろには木があるのに気にする事無くロングソードを横に振ってきたから、しゃがんで避けると木が綺麗に斬れた。やっばぁー!
能力はさっき例えに出した斬れ味上昇の魔法だろう。魔法を発動してる間は受け止めずに避けないといけないな。
キングの攻撃を避けながら、撃って撃ちまくったが決定打にかけた。仕方ない、俺も魔法を使うか。
〈死獄〉と〈生天〉に1割ほどの魔力を込めた【磁場の雷砲】を発動し、両足に撃つと見せかけて撃ったのは〈生天〉で右足だけで、〈死獄〉は顔を狙って撃った、が……足は魔法を付与した盾でガードされ、顔は避けられ左耳を抉るほどだった。仕留める事は出来なかったが、それでも魔力鎧を破壊する事が出来たから良いとしよう。普通の攻撃で削った甲斐があったな。
キングは魔法鎧を張り直す魔力が残ってないのだろう。新しく張られた感じがしない。あとはこのまま油断せずにやれば殺れるな。
あれから五分ほど殺り合って、俺もキングも体力が低下し、かすり傷が増えてきた。
そろそろとどめを刺すか。攻撃を避けながら〈生天〉でゴブリンキングの顔に速射して盾でガードさせ視界を防いだ瞬間に〈死獄〉に3割ほどの魔力を込めた【磁場の雷砲】を発動し放った。放った【磁場の雷砲】は盾ごと頭をぶち抜いて絶命させた。
キングとの殺し合いは楽しかった。満足満足。
「悪い、待たせたな」
雪祈音と風羽花は俺より早く倒していた。キングとの戦闘中に2人の戦いを視界に入れて見ていたが、危なげなく戦いを進めていたから安心して戦えた。
「全然いいよ! 雷雨のカッコイイ姿見れたしね!」
風羽花がにひひと笑いながら左腕に抱きついてきた。
「大丈夫だよ。雷くんが戦ってる時に魅せる笑顔が見れたから」
雪祈雪が少し照れたような表情をしながら、右腕に抱きついてきた。
「ありがとう。じゃあ俺達の家に帰ろうか」
2人が屈託のない笑顔で「うん」と返事をしてくれたので、ゆっくりとした足取りで帰路についた。




