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市場に行こう②

最初にやってきたのは、この世界に来た翌日にも来た、お店から徒歩10分程度の魚市場。

「この市場は、その日取れた新鮮が魚介類がたくさん仕入れられるのでおすすめですよ。今の時期におすすめなのはカキ、エビ、カニ、ブリ、タラとかですかね。」

前にこの市場に来たときはこの国の文字が読めず、その貝くださいといって会話ができていたので気付かなかったが、魚の名前はほぼ日本と同じ。どうやらこれもおばあちゃんが広めたらしい。しかも、季節も日本と同じ11月。取れる魚も似たような感じ。唯一大きさだけがどれも日本の2倍くらいあるというだけで…。

「じゃあ、少しずつ買って、いろいろ試作品作ってみよっか。ちなみに、この市場って交渉とかできるの?今日はそこに並んでるみたいなバケツ1杯ずつ買うと多すぎるから、いろんな種類を少しずつ買いたいんだけど…」

「じゃあ、交渉は私に任せてください!」とある屋台のおじさんに声をかけるアンジーちゃん。

「おじさん!こんにちは!」

『アンジーちゃん、いきなりおじさんは失礼…』と思っていると、「おう!アンジーちゃん!」魚屋のおじさん。どうやら友達のお父さんらしい。今日からお店で働くことになったことなどを話している。

「それでね、ここにある魚や貝を少しずつ全部合わせてバケツ1杯分くらい買いたいんだけど、銀貨1枚の予算でいい感じに見繕ってくれない?」

「アンジーちゃんの就職祝いだ!好きなの選びな!どれを選んでもバケツ1杯分で銀貨1枚で良いよ!」と気前の良い魚屋のおじさん。

「じゃあ、カニ1杯と、カキを5枚、この大きなエビを3尾と…あと、ブリとタラも入れて!」とアンジーちゃん。

『おいおい、友達のお父さんだとしても、遠慮なさすぎだろ、アンジーちゃん。日本で買うと1万円くらいするよね…』と思い

「本当にその量で銀貨1枚で良いんですか?」と声をかけると、「あんた、噂のマーサさんのお孫さんだろ?気に入ったのがあったらまたうちで仕入れてくれたら十分さ。そのときも安くするよ」と言ってくれた。

「本当にありがとうございます。開店した際には、ぜひまた来させてもらいますね」とお礼をいってお代の銀貨1枚を支払った。


『ここでもおばあちゃんのことを良く知る人が。実はおばあちゃんってめちゃくちゃ有名人なの!?ってかそんなに私のことも噂になってるの!?』


―――――――――――――――――――――――――――――――――

魚市場でバケツ一杯の買い物をしてしまったので、一旦お店に寄って、冷蔵庫に買った魚介類を入れて次は野菜や果物が売っているという直売所へ行くことに。この町では海側に魚の屋台が並び、山側に野菜や果物が売っている直売所があるらしい。


ちなみに、肉や卵を売っている店はこの町には存在しないそうだ。もともとこの世界では、魔物の肉が取れるため、畜産は行われておらず、養鶏も自分の家で食べる分の鶏を飼っている家がある程度。ヨハンは漁が盛んな町なので、魔物の肉の需要が少なく、ほとんど流通していないということだった。どうしても欲しい場合は、冒険者に依頼して指定の魔物を狩ってきてもらうか、鶏を飼っている家に頼んで物々交換をしてもらうという感じらしい。卵1個と30㎝程度のサイズで銅貨2枚程度で売られている魚が等価だから、週に1回卵を食べられる家庭はかなり恵まれているんだとか。


『肉はあまり食べられていなくて、卵は貴重なのか…。だから卵を使うおばあちゃんのたこ焼きやおでんが多少高くても人気だったのかな…。日本では卵は安く手に入るし、オムライスとか卵焼きとかもメニューに加えても良いかも』


そんな風に考え事をしながら15分ほど歩くと、野菜や果物の直売所に到着した。直売所の品ぞろえはお世辞にも良いとは言えなかった。田舎にある小さな道の駅のような場所で、品ぞろえが良くないのと、この町ではあまり果物や野菜を食べる習慣がないらしく、ほとんどお客さんもおらず、店員さんはどの人も暇そう。りんごやみかんなどの果物、白菜やキャベツ、ジャガイモ、ニンジンなどの野菜が並んでいる。見たところ、おでんの定番の大根はなさそうだし、キノコ類も売られていたけど、たまに毒キノコが混じっているからとアンジーちゃんに止められた。


果物はどれも1籠に10個ずつ盛られて銅貨3枚程度で売られているものが多かったが、お客さんが少ないことも重なってか、スムーズに5種類の果物×2つずつで銅貨3枚にしてもらうことができた。野菜は鍋用の大きな白菜と少量のジャガイモ、ニンジンを買って銅貨3枚のお支払い。本日の市場視察はこれで完了だ。

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