プレオープン④
17時。ディナー営業が始まった。
平均月収金貨6枚(6万円相当)の世界で食べ飲み放題とはいえ銀貨2枚(2千円相当)と安くない価格設定なので、ランチよりは人が少ないはずと思っていたら、昼も来てくれた常連さんたち20人ほどが開店前から待ってくれていて、開店とほぼ同時に満席になった。
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ディナーメニュー(2時間食べ飲み放題)
・たこ焼き
・おでん
・カレー
・煮物
・天ぷら
・ごはん
・炊き込みご飯
・ピラフ
・味噌汁
・ソフトドリンク(りんご、オレンジ、コーラ、ジンジャエール、ウーロン茶)
・アルコール(日本酒、ビール、酎ハイ、ハイボール、ワイン)
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来店した客層は、おばあちゃんの食堂の常連さんが中心ということもあり、ほとんどが30~50代。ただし、小さな子ども連れが何組かいたので、急遽子ども料金(8歳未満銀貨1枚、15歳未満銀貨1枚と銅貨5枚)を設定した。
最初はおばあちゃんの食堂の名物だったというおでんとたこ焼き、そして日本酒、生ビールの注文が多く入った。次に注文が多かったのは天ぷらとピラフ。それとは逆でカレーと炊き込みご飯はしばらく全く注文が入らなかった。どうやら、この国では米を食べる習慣はあるものの、カレーや炊き込みご飯などはなく(塩味のピラフのような見た目のものは存在する)、写真を見てもどちらも茶色く見栄えが悪いという理由で避けられていたらしい。
見た目で敬遠されているだけなら味見してもらおうと、食べ放題なのを良いことに、少しずつを配ってみたらそれが大当たり!特にカレーは大量の注文が入り、閉店前1時間前に大鍋のカレーが全部なくなった。お酒を飲んでいる人に赤だしの味噌汁をおすすめしたらこちらも好評。カレーも味噌汁も定番の一品になりそうだ。
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こうして、プレオープンの1日は終わった。
夜の売り上げは、約金貨14枚(14万円相当)。お酒が大量に出たので原価の方が少し高くなってしまった。昼と合わせるとトントンくらいかな。
最後まで手伝ってくれたビルさんたちには、炊き込みご飯のおにぎりと好きなお酒1本をお土産に持って帰ってもらった。飲み放題用の安いやつじゃなくて、私の晩酌用に買っていた高めやつね。
ビルさんは日本酒。山口県産で数々の賞を受賞している純米大吟醸。
ステラさんは赤ワイン。当たり年といわれる2010年のボルドー産で重厚感のあるのものを。
お孫さんのケビンさんは、ウイスキー。最近は品薄でなかなか手に入らない12年物のジャパニーズウイスキー。
その奥さんのスージーさんはシャンパン。キャバクラやホストクラブで飲むとウン十万~ウン百万するというあのお酒。これはネット通販で買ったものだから15,000円位だったかな。
そのお子さん(ビルさんのひ孫)のアンジーちゃんは16歳なのでノンアルコール。この国では15歳~飲酒OKらしいけど、アンジーちゃんは苦手なんだって。皿洗い担当として頑張ってくれたので、青森産のりんごジュースと山梨産のぶどうジュースをプレゼント。どちらも1本2,000~3,000円位のちょっと良いやつ。
ちゃんとしたお疲れ様会はまた後日やりましょうということで、ビルさんたちは帰っていった。
『めちゃくちゃ忙しくて、急な対応も多かったけど、久しぶりに充実した1日だったなぁ』
日本に帰り、お風呂に入って、風呂上りのビールを堪能する。晩酌用のストックが充実していることからもわかる通り、かなりの酒好き。ただ、かなり酒に弱いのでビール1本で出来上がってしまう小春だった。