前置き 競馬小説を書いてみて
競馬を小説として書くというのは、未知の領域へ踏み入ろうとしているような行為でした。
まずある程度の知識を身に着け、そこから登場人物を構成していき、競走馬に関わらせドラマを紡いでいく……。
初めて書いてみての感触としては、「ああ、競馬ってこんなに奥深かったんだ」という驚愕でしたね。
人馬のドラマを描いていくうちに、いつしか競馬という水底にどっぷりと浸っていたぐらいですから。
危うく溺れるところでした。競馬の情報量もそうですが、なによりその魅力に。
人馬のドラマという点もありますが、競走馬のひたむきな走り、ホースマンの勝利を引き寄せようとする努力、馬に想いを乗せる競馬ファン……。
調べていって、書いていってを繰り返すたび、僕の胸は熱くなるばかりでした。
そんな競馬を小説に落とし込んでいるさなか、ふと思いついたのです。
「そういえば、競馬小説に関するエッセイがない」
思い立ったが吉日、こうして筆を執らせてもらっているわけですが。
このエッセイは競馬小説の書き方について、僕の意見を述べさせていただくものとなっております。
いわゆる布教のようなものです。そう、「お前も競馬小説を書かないか?」という。
某ゲームなどでブームが広がりつつあるなか、そこから競馬に興味を抱いている物書きさんもいらっしゃるはず。
そんな方々に、競馬小説を少しでもアピールできたら、という想いで書かせていただきます。