ノリで異世界二泊三日旅行 後編
【日曜日 朝─???】
( ・∀-)「ふぁぁ~~あ、よく寝た……なんか肌寒いな」
( ・∀-)「……」
(;・∀-)「……」
(;・∀・)「はぁッ!?」
(つA-)「うるせぇよ。朝っぱらからそんなでけぇ声出したら他の宿泊客に迷惑だろうが……」
(・∀・;)「いや、でも、おい。その寝起け眼擦ってよく見てみろ」
('A`)「はぁ?何言ってんだお前……」
('A`)「……あー」
('A`)「二日酔いが酷ぇみたいだ。もう一回寝るわ」
(・∀・;)「いや、ここ雪山だから!今寝たら死ぬぞ!?」
('A`)「今まで寝てて死んでないんだから大丈夫だろ多分」
( ^ω^)「お、ようやく起きたかお前ら。おはよう」
(;・∀・)「あ、おはよう」
( ^ω^)「いやぁ、山の上って良いよね。空気が綺麗で、空が澄んでいて……」
(;・∀・)「あの。もしかして、今の状況って、お前が?」
( ^ω^)「うん」
('A`)「何がどうして雪山なんかに」
( ^ω^)「は?そんなの決まってんだろ」
( ^ω^)「ドラゴン肉食うんだよ」
□ ノリで異世界二泊三日旅行 □
時は6時間ほど遡る...
【土曜日─異世界/居酒屋】
(*^ω^)「ドラゴン肉食いてぇ~~~!!」
('A`*)「まだ言ってやがるよコイツ」
(*^ω^)「だってドラゴン肉なんて日本に帰ったら食えないし!」
(・∀・*)「そう言うのは基本的に鶏肉味って結論がでたじゃん」
(*^ω^)「『ドラゴンは鶏肉味』っていう知識と、実際に食べてみた結果としての『ドラゴンは鶏肉味』という結論は天と地ほどの差があるんだよ!分かる!?」
('A`*)「つまり童貞ってコトだろ?」
(・∀・*)「ドラゴン童貞?」
(*^ω^)「せめてドラゴン肉童貞って言え」
(*゜д゜)「お、なんだお前ら。ドラゴンの話してんのか?」
('A`*)「うん。俺達ドラゴン童貞なんすよ」
(*゜-゜)「それって、ドラゴンを倒したことが無いってこと?」
(^ω^*)「まぁ、ドラゴンは倒したこと無いけれども」
(・∀・*)「せっかくだしドラゴン肉食べたいねって話てたんですよ」
(*・ω・)「それじゃあさ。僕たちと一緒にドラゴン討伐行かない?僕たちパーティ組んでるんだけど、三人だと少し厳しいかなって思ってたんだよ」
(^ω^*)「え!?良いんすか!?あざすぅぅ!!」
(・∀・*)「ちょ、明日は城に行く予定だろ!?それに、明日の夜には帰らないと行けないんだから無理だって!」
(*゜д゜)「そんじゃあ、前乗りってことで、魔法で今からドラゴンいる場所に行って、朝早くからドラゴン狩り始めようぜ。そうすりゃ、上手くいけば昼前には終わる。多分な」
(^ω^*)「乗った!」
(・∀・*)「え、ちょ……困ったなぁ」
(*'A`)「まぁまぁ。せっかくこう言ってくれてるんだし」
(・∀・*)「いや、でも。こんな酔っ払った翌日にドラゴン討伐なんて、死出の旅じゃない?」
(*゜-゜)「じゃあ、行き先を雪山にしましょう。頭を冷やせば酔いも覚めるでしょう」
(*゜д゜)(^ω^*)('A`*)「頭良いなぁオイ!」
(・∀・*)「あー……頭痛ぇ……」
(^ω^*)「ところでアンタら誰?」
(*゜-゜)「私は『魔法使い』」
(*゜д゜)「俺は『戦士』」
(*・ω・)「僕は『勇者』と呼ばれていて……」
時間は再び現在に戻る...
【日曜日 朝─雪山山頂付近】
( ・∀・)「勇者って架空の生き物じゃなかったんだ」
('A`)「そんな全く記憶が無いんだが。魔法か?」
( ^ω^)「俺達、居酒屋でピル酒って奴ゴクゴク飲んでたじゃん?あれ味はほぼビールで飲みやすいんだけど、アルコール度数が20度近いヤベー酒だったんだよ」
('A`)「あー……なんかいつもより酔いが回るスピードが早いと思ったら」
( ・∀・)「つまり、酔っ払ったノリでドラゴン討伐クエストに来ちゃったと」
( ^ω^)「うん」
( ・∀・)「生きて帰れるのコレ?」
(´・ω・)「大丈夫さ。僕たちの実力と、君たちニホン人の持つ『チート能力』があれば、ドラゴンは十分討伐できるだろう、多分。きっと、恐らく」
('A`)「あ、自称勇者さんチィーッス」
(;・ω・)「自称じゃないよ!ちゃんと勇者認定協会のお墨付きだよ!」
( ^ω^)「勇者認定協会はちゃんと認定を受けた協会なの?」
( ・∀・)「チート能力なんて……そんなのあるの?昨日アトラクションに参加した時は揃いも揃って雑魚ステータスだったけど」
(*゜-゜)「チート能力は別にステータスが強化されるとは限らない。特殊能力のようなもの……『ステータスオール99999』なんて馬鹿みたいな能力も確認されているけど」
( ^ω^)「ふぅん。それで、俺達のチート能力ってのはどんなん?」
(*゜-゜)「今から確認する……ステータス・オープン!」
('A`)「ステータスって開けるもんなの?医者要らずじゃんスゲぇ」
(*゜-゜)「まずはそこの太っているアナタ」
( ^ω^)「そんなストレートに言わんといて傷ついちゃう」
(*゜-゜)「能力名『死ぬこと以外かすり傷』。最大HP未満のダメージを受けた時、ダメージ量が一律で1になる能力よ」
( ^ω^)「え?じゃあ即死級のダメージ受けたら?」
(*゜-゜)「即死よ」
( ^ω^)「意味ねぇじゃんそれ」
(*゜-゜)「大丈夫。死ななきゃ良いのよ」
( ^ω^)「意味ねぇじゃんそれ」
(゜-゜*)「次、そこの餓死寸前の野良犬みたいな顔のアナタ」
('A`)「普通に悪口じゃねぇか……おもしれー女」
(゜-゜*)「能力名『面白きこともなき世を面白く』。あらゆるスキル発動確率が50%になる能力よ」
('A`)「よっしゃ!今すぐ日本帰って宝くじ買うぞオラァ!」
(´・ω・)「残念だけどチート能力はこの世界でしか使えないよ。あと、この世界に宝くじは無いよ。ステータスにLUKがあるような世界だからね」
('A`)「クソが!使えねぇ!」
( ・∀・)「ところで能力名が座右の銘っぽいのは何故?」
(゜-゜*)「最後は人の良さそうな顔をしてエグい性癖を持っているアナタね」
( ・∀・)「なんのステータスをオープンしてくれてんだオイ」
(゜-゜*)「能力は無しよ」
( ・∀・)「はい?無効化系能力ってこと?」
(゜-゜*)「いや、チート能力を持っていないってこと」
( ^ω^)「ぷーっ!!無能力者だってぇー!!」
('A`)「チート能力も無しに異世界なんて何が楽しくて転生したの?」
( ・∀・)「転生してないが。え?ほんと能力ないの?」
(゜-゜*)「そういうこともある」
( ・∀・)「納得いかないなぁ。同じ新幹線乗って異世界に来たのに、どうしてチート能力を手に入れられる人とできない人が別れるんだ?」
('A`)「運が無かったんだよ」
(*゜-゜)「そうね、その通り。ニホン人が世界の壁を越えてこの世界に来る時、たまに脳がバグってしまう人がいる。そのバグの力が『チート能力』」
('A`)「えっ」
( ^ω^)「俺達の脳バグっちゃったの?」
( ・∀・)「運が無かったな」
(*゜-゜)「まぁ動作環境が違うことが原因のバグだから、ニホンに戻れば脳も元通りになるんじゃない?」
( ・∀・)「元々バグだらけの思考回路してたんだし、今更バグが一つ増えた程度どうってことないだろ」
( ^ω^)「……それもそうだな!死ぬこと以外かすり傷じゃい!」
('A`)「俺の人生、面白くなってきたぜ……っ!」
(´・ω・)「納得するんだ」
( ・∀・)「頭のネジぶっ飛んだなぁ~~」
( ゜д゜)「おーい。お前ら、ちょっと来てくれ」
(・ω・`)「あ、戦士。何してたの?準備?」
( ゜д゜)「そんなところだ。一人じゃ厳しいから手伝ってくれ」
(^ω^ )「よっしゃ!俺のチート能力の出番だ!」
(・∀・ )「どう使うんだよ」
('A`)「それで?手伝うって何を?」
( ゜д゜)「ドラゴンさん連れてきたから。討伐手伝ってくれ」
( ΦωΦ)「おう、お前らか。俺を討伐しに来たっつー人間は」
(・ω・;)「は?」
(^ω^;)「ん?」
(・∀・;)「え?」
('A`)「ドラゴンって喋れるんだな」
(*゜-゜)「いや。普通のドラゴンは喋る知性を持っていない。人語を解するドラゴンというのは、かなり高位か、もしくは長い年月を生きているドラゴンということ」
(;゜д゜)「な!?そんな偉いドラゴンだったんですか?」
( ΦωΦ)「いや、通信講座で覚えた。食物連鎖の頂点って暇なのよ」
('A`)「へー、おもしれードラゴン」
(*゜-゜)「ファイア!」
(;ΦωΦ)「熱っ。ちょ、いきなり攻撃してくんなって」
(;゜д゜)「きっ……効いていない……だと!?」
(*゜-゜)「全ての攻撃を跳ね返すというドラゴンの鱗……流石の防御力ね」
('A`)「『熱っ』つってたぞ」
( ΦωΦ)「流石に体に火を当てられたら普通に熱いし痛い」
(;゜д゜)「な、なら何が効かないというんだ……っ!」
( ΦωΦ)「虫刺されとか……」
('A`)「結構羨ましいな」
(・∀・ )「あの、君達。ちょっといい?」
( ゜д゜)「なんだ?」
(・∀・ )「なんでドラゴンと普通に喋ってんの?」
( ΦωΦ)「さっき説明しただろ。通信講座だよ」
(^ω^ )「喋れる理由じゃなくて……」
(^ω^ )「……通信講座ってなんだよ」
('A`)「確かに。よく考えたら異世界に通信講座って変じゃね?電波あるの?」
( ΦωΦ)「魔法で通信すんのよ」
(^ω^ )「まぁそうなんだろうけど答えだけ聞くと電波っぽいな」
( ・∀・)「おい話を変な方向に持っていくな。進まないだろ。俺が聞きたいのは、なんで討伐するドラゴンと喋ってんのってこと」
( ゜д゜)「これから殺すんだし挨拶しとかないとと思ってな」
(^ω^ )「蛮族かな?」
( ゜д゜)「いや、ちゃんと菓子折り持ってったぞ。芋ようかん」
( ΦωΦ)「貰ったのは恐怖以外の何物でも無かったよ」
('A`)「最後の晩餐が芋ようかんって、なんか……やだな」
(´・ω・)「というよりドラゴンって芋ようかん食うの?」
( ΦωΦ)「なかなか美味しかった」
(゜-゜*)「ファイア!」
(;ΦωΦ)「熱っ!だぁーもう!お前やってること根性焼きと同じだからな!」
(゜-゜*)「だって私達アナタを殺しに来たんだし。これも普通の人間だったら消し炭になる威力よ」
( ^ω^)「ちょ、消し炭にされたら困るんだけど。肉食えないじゃん」
(;ΦωΦ)「は?食う?お前ら、俺殺して食う気なの?」
('A`)「あ、うん最初はそのつもりだったけど……」
(・∀・ )「アンタが喋った瞬間に食欲がゼロになったよ」
( ^ω^)「えー?俺はまだ食ってみたいんだけど」
( ΦωΦ)「もしかしてお前ら……ドラゴン肉加工業者か?」
(´・ω・)「違うけど」
(゜-゜*)「あっちの三人はドラゴン肉が目的だけど、私達の目的はアナタの討伐。人間のエゴと言われても仕方ないけれど……アナタは重要な討伐対象なのよ」
(;ΦωΦ)「え~俺は別に街とか襲ってないけど。なんで?」
(´・ω・)「いや、勇者認定協会の勇者実力測定クエストで決まっているんだ。君を討伐することで僕の勇者ランクがBからAに上がるんだ」
( ゜д゜)「勇者ランクは強さの証。協会から支払われるクエスト報酬に直結するからな。BからAに上がれば報酬も倍以上だ」
( ・∀・)「エゴが強すぎる」
(゜-゜*)「という訳でお命ちょうだい?ファイア!」
( ΦωΦ)「普通に嫌だし、もうファイアは効かないって分かれよ」
(´・ω・)「君の命で僕達の生活が潤うんだ!飛ぶ斬撃を喰らえ!」
( ΦωΦ)「ん?蚊にでも刺されたかな?」
('A`)「虫に刺されるんじゃねぇか。鱗は?」
斬撃をきっかけに、ドラゴンの猛攻が勇者たちを襲う。
(´・ω・)「くっ……やはり強い!」
( ゜д゜)「どうすれば倒せるんだ、ドラゴン!」
( ΦωΦ)「人間ごときに倒されてたまるかよ!口からフレイム!」
( ゜д゜)「ぐぁぁぁッ!」
(^ω^ )「あぁ!戦士さんが特に戦うこともなく逝ったぁ!!消し炭になったぁ!!」
(゜-゜*)「大丈夫!蘇生魔法で何度でも蘇るわ!」
( ゜д゜)「っは!今向こう岸でお婆ちゃんが手を振っていた!」
( ・∀・)「異世界にも彼岸此岸の概念が」
( ΦωΦ)「ふん。だが、蘇ったところで死ぬ回数が増えるだけだ!フレイム!」
( ゜д゜)「ぐぁぁぁッ!!」
(^ω^ )「あぁ!戦士さんがまた逝ったぁ!!コイツ一向に戦ってねぇ!!」
(゜-゜*)「蘇生魔法ッ!」
( ゜д゜)「っは!今お婆ちゃんに芋ようかん渡せるところだったのに!」
( ・∀・)「君、芋ようかんに全幅の信頼を置いているね」
( ΦωΦ)「フレイム!」
( ゜д゜)「ぐぁぁぁッ!!お婆ちゃん!今、逝くからね!」
(^ω^ )「あぁ、戦士さん!!もはや祖母に会いに行けると死を前向きに捉えてやがる!」
('A`)「結構お婆ちゃん子なんだな」
(゜-゜*)「蘇生魔法ッ!」
( ゜д゜)「っは!ここはどこじゃ?孫は!?」
(^ω^ )「裏返ったァッッ」
(;ΦωΦ)「くッ……老婆は、殺せん!」
(´・ω・)「よし、魔法使い!隙が見えた。戦士の祖母を盾に攻撃を続けるんだ!」
(゜-゜*)「了解!」
( ・∀・)「ドラゴンの方が人道的ってどうよ」
('A`)「多分ドラゴンより前にコイツらを先に討伐したほうが良い気がする」
(;ΦωΦ)「ちょ、待て!分かった!俺に良い案がある!俺に老人を殺させるな!」
(´・ω・)「良い案だと?僕たちが欲しいのはお前の死体だけだ!勇者認定協会のお望みのままに!」
(゜-゜*)「ドラゴンの死体って高値で売れるから協会が転売用に欲しがっているの」
(^ω^ )「俺知ってる。たぶん勇者認定協会ってのが巨悪なんだと思う」
('A`)「最終クエストは『勇者認定協会長を倒せ!』だな」
( ΦωΦ)「俺の尻尾を切ってあげるから、それを戦利品に持って帰れば?」
(´・ω・)「なに?いいのか?」
( ΦωΦ)「うん。別にまた生えてくるし」
(゜-゜*)「でも、尻尾だけでは協会側が満足しない。恐らく首を要求してくるはず」
( ΦωΦ)「そこはほら、君たちの交渉術でなんとかして」
(´・ω・)「うーん。どうする?」
(^ω^ )「あ、俺達はドラゴン肉食えればそれでいいんで」
( ゜д゜)「あの……ワシはそろそろ彼岸に戻りたいんじゃけど」
( ・∀・)「あ!そうじゃん、新幹線の時間!俺達も今日、日本に帰らないと行けないから、戦いが長引くと困るんですけど!」
(;・ω・)「えぇ?結局、君たちチート能力使ってないじゃん。使えば倒せるかもしれないじゃん」
(^ω^ )「使った所でドラゴン倒せるような能力じゃなかっただろ」
(゜-゜*)「ほら、こういう時って誰も思いつかないような能力の組み合わせがあって、それで倒すっていうのが王道じゃない?」
('A`)「残念だが、俺達にそんな頭脳はない」
(^ω^ )「というか、早くドラゴン肉食いたい」
( ゜д゜)「あ、なんか孫が向こう側で呼んでる気がする……」
(;・ω・)「く……たしかに、今の僕たちじゃあ、このまま続けていても倒せない可能性が高い。だとしたら、なんの成果も無しに帰るよりは……!」
( ΦωΦ)「さぁ、答えを聞こうか」
(・ω・;)「わかったよ。今回は君の尻尾で手を打とう。だがしかし、次は必ず倒してやるからな」
( ΦωΦ)「ふん。今度は洋菓子でも手土産に持ってくるんだな。紫芋のモンブランが好みだ」
そう言うと、ドラゴンは自分の尻尾を切り落とし、去っていった。
(;゜д゜)「お爺ちゃんそこは……俺はお婆ちゃんじゃない……はッ!」
(;゜д゜)「こ、ここは……?戦いは、どうなったんだ?」
(^ω^ )「終わったよ……全部」
('A`)「話すと長い。とりあえず都に帰るぞ」
(´・ω・)「なんでお前らが終わらせた感出してんだよ。何もしてねぇだろ」
( ^ω^)「何もせず……か、何もせずに終わらせられたのなら、それが最善では?」
(´・ω・)「はっ倒すぞ」
こうして、俺達の異世界旅行は幕を閉じたのだった……
【新幹線車内】
( ^ω^)「あー……うん。これこれ」
( ・∀・)「どうだ?ドラゴン肉童貞を捨てた感想は」
( ^ω^)「想像どーりの味だわドラゴン肉。鶏っぽい」
('A`)「意外性は無かったか」
( ^ω^)「うん。まぁ俺はドラゴン肉を食べた実績さえあればいいから、別に味は重要視してないけどね」
( ・∀・)「いやしかし、まさかドラゴンと戦う羽目になるとはねぇ」
('A`)「実際、戦って無いけどな」
( ・∀・)「いいじゃん、俺達の証言のおかげで、勇者が本当にドラゴンを倒したことになったんだから。あそこが俺達の戦場だったんだよ」
('A`)「お前が最後にした、土下座しながらの号泣……アレが効いたな」
( ^ω^)「いつも取引先にやってからな。容易いモンよ」
( ^ω^)「あ、取引先……そうか、もう異世界旅も終わりか……」
( ・∀・)「異世界はどうだった?満足したか?」
( ^ω^)「……そうだな」
( ^ω^)「俺が求めていたモノとは、少し違ったかな」
('A`)「あれ、そうなん?」
( ・∀・)「違うというと?」
( ^ω^)「異世界に行きたいっていう感情はさ、多分、単純に異世界を訪れたいとか、異世界の文化に触れたいってことじゃないんだよ。自分の抱えているもの全てを放り出して、ここじゃないどこか遠くに行ってしまいたいっていう感情なんだ」
( ^ω^)「つーか二泊三日の異世界とか普通に海外旅行と感覚変わらん」
('A`)「まぁそうだな」
( ^ω^)「でも、それはそれとしたら普通に楽しい旅行だったわ。異世界の食べ物もいっぱい食べれたし、ドラゴンも間近で見れたし。それに……」
('A`)「それに?」
( ^ω^)「俺このあと自宅に帰って風呂入ってベッドに体放り投げた後の『あ~やっぱり自分の家が一番だわ』って感覚が好きなんだよね」
( ・∀・)「分かり過ぎる」
('A`)「日本国民の8割はそれを感じる為に旅行してるからな」
( ^ω^)「はぁ……しっかし……」
( ^ω^)「仕事辞めてぇ~~~!!」




