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ノリで異世界二泊三日旅行 前編

【金曜日─東京/居酒屋】



( ^ω^)「仕事辞めてぇ~~~!!」



  ('A`)「またその話か」



( ^ω^)「だってこの三連休まで26連勤よ?バカじゃねぇの?」



( ・∀・)「なら辞めたらいいじゃん、そんな職場」



( ^ω^)「でも生活とか将来とかあるじゃん。今もそれなりに給料は貰ってるしさぁ……」



  ('A`)「はぁ。結局お前はどうしたいんだよ」



( ^ω^)「あ~~……」



( ^ω^)「もう異世界に行きてぇ」



( ・∀・)「ん、じゃあ今から行く?」



( ^ω^)「え?異世界って行けんの?」



  ('A`)「まだ22時前だろ?新幹線ならまだ何本かあるんじゃないか?」



( ^ω^)「え?新幹線って異世界に接続してんの?」



( ・∀・)「やっぱ新幹線ってこういう時に便利だよなぁ」



  ('A`)「スマートexなら窓口に並ぶ必要も無いしな」



(;^ω^)「……ねぇ、ちょっと」



( ・∀・)「なに?」



(;^ω^)「俺そのexとかいうアプリ入れてないんだけど。窓口行かないと無理?今から新幹線の切符って買えるの?」



  ('A`)「大丈夫だ。suica持ってんだろ?なら、俺のアプリにお前のsuicaを登録して、そんで二人分買えばお前もチケットなしで乗れる」



( ^ω^)「へぇ~。あんまり新幹線に乗らないから知らない事がいっぱいだぁ」



( ・∀・)「あ、俺の分も一緒に予約しといて。ホテル予約しとくわ。俺が決めて良いよね?」



  ('A`)「おう、了解」



( ^ω^)「じゃあ俺、ここの飲み代出すわ」



(^ω^ )「店員さーん。お会計お願いしますぅ~」



(・∀・ )('A`)「ごちそうさまでーす」




【22時28分 東京駅:発 ⇒ 23時52分 王都駅:着】



( ^ω^)「異世界って大阪よりも近いんだな」



( ・∀・)「直線距離で言えば大阪の方が短いけど、次元の壁ぶっちぎってるから早いんだよ」



  ('A`)「リニアできたら1時間切るらしいぞ」



( ^ω^)「技術の進歩ってすげぇや」



( ^ω^)「つーか、お前ら慣れてるっぽいけど、異世界来たことある感じ?」



  ('A`)「ない」



( ・∀・)「俺も初めてだけど、雑誌とかで読んでさ。行こうかな~って思ってたんだよね。そこでお前が丁度良く言ってくれたからさ」



( ^ω^)「ナイスアシスト俺」



( ・∀・)「ちなみに予約したホテルもその雑誌に乗ってたところね」



  ('A`)「しっかし、王都って言うから発展してると思ってたけど、なんか暗いな。全然店も開いてないし、街灯も松明だし……おまけに石畳が荒くて歩きにくい」



( ^ω^)「まぁ夜も遅いし、見たところ中世の城郭都市って感じだから、もう皆寝てるんじゃない?」



( ・∀・)「日本だって山奥に行きゃこんなもんでしょ。いいじゃん、非日常感あって……あ、あそこが今日のホテルね」



( ^ω^)「わぁ。こんなんゲームで見たことある」



  ('A`)「ホテルっつーか『宿屋』だな。こりゃまたコテコテな……」



( ・∀・)「そういうのが良いんだよ」



 宿屋に入ると、恰幅のいい女将(おかみ)が三人を出迎えた。



(宿゜-゜)「いらっしゃい。アンタ達がさっき急に予約してきたニホン人かい?」



( ・∀・)「あ、そうです。三人一部屋で二泊三日」



(宿゜-゜)「夜飯も朝飯も無いけど良いかい?あと割引も無いよ」



( ・∀・)「大丈夫、大丈夫」



(宿゜-゜)「それじゃ、二階の奥の部屋ね。トイレは一階にしかないからね。はいこれ、鍵と燭台。倒して火事にするんじゃないよ」



  ('A`)「うっす」



( ^ω^)「……つーか二泊?明日も泊まるの?」



( ・∀・)「三連休暇って言ってたじゃん。異世界なんて一日じゃ足りないって」



( ^ω^)「そうだけどさ」



  ('A`)「まぁまぁ、今は旅行を楽しもうぜ。ほら、ここが俺たちの部屋だ!」



( ^ω^)「おぉ!」



( ^ω^)「……おぉ?」



( ・∀・)「これは……」



  ('A`)「木製のベッドが二つに……床に毛布が敷かれてんだけど」



( ^ω^)「一人は床で寝ろと?」



  ('A`)「まぁ、顧客満足度なんてクソ喰らえってことだな」



( ・∀・)「このベッドも硬いな。畳といい勝負してる。木の床よりはマシだけど」



( ^ω^)「……」



  ('A`)「……」



( ・∀・)「……」



( ^ω^)('A`)(・∀・ )「じゃーんけーん……っ!!」




【土曜日 朝─王都/宿屋】



  ('A`)「身体が固ぇ……二日酔いも相まって筋肉ガッチガチだよもう」



( ・∀・)「今日の夜はじゃんけん免除してやるから」



  ('A`)「頼むわ……つーか、コイツまだ起きねぇのか。よく環境激変してんのに熟睡できるな」



( -ω-)「フゴゴゴゴ……っ!フゴゴゴゴ……っ!……zzz」



( ・∀・)「ようやく連休を勝ち取ったって言ってたし、単に寝不足なんでしょ」



  ('A`)「オラッ!起きろ!朝だ朝!」



( -ω-)「zzブゴ……っ」



( ^ω-)「……あれ?ここは?」



( ・∀・)「異世界だよ」



(;^ω^)「んなっ!?遂に俺……!」



(;^ω^)「……あ、そうか。昨日の夜酔っ払ってノリで新幹線乗ったんだった」



( ^ω^)「…………」



(#^ω^)「なんで新幹線で異世界来れるんだよ!!」



  ('A`)「今更かよ」



( ・∀・)「んなことより朝ごはん食いに行こうぜ」



( ^ω^)「飯!どこで食うの?」



( ・∀・)「大広場って所で毎日バザールがやってるんだってさ」



 そんな訳で三人は宿屋を出ると、王都の中心にある大広場へと向かった。



  ('A`)「へぁ~~夜だと全然分かんなかったけど、こんな街並みしてんだ。ひしめき合ったテント屋台って異国情緒だな」



( ・∀・)「たしかに。都なだけあって人も多いな」



( ^ω^)「んで、何食うの?つーか異世界の人って何食ってんの?」



  ('A`)「なんか……パンとかシチューとか、ヨーロッパっぽいのじゃね?」



( ・∀・)「極論言うと街によって違うけどね、ここ王都は内陸の街だから魚はあんまり食べる習慣がなくて、代わりに肉料理が多様らしい」



( ^ω^)「肉!いいねお肉。食べたいよお肉」



  ('A`)「じゃあ肉系の何か食うか」



( ゜д゜)「らっしゃーい、らっしゃーい!美味しい料理あるよ!」



( ・∀・)「おじさん。肉系でオススメの料理ってあります?」



( ゜д゜)「ハンバーガーとか」



  ('A`)「既に文化流入が起こっている」



( ・∀・)「違うんだよなぁ、そういうのじゃなくて」



( ゜д゜)「ならカツカレー。旨いよ!」



  ('A`)「朝から重いんだよなぁ……」



( ゜д゜)「スシ!」



( ^ω^)「肉料理じゃ無いんだよなぁ……」



 十数分後......



( ・∀・)「いやぁーまさか異世界ライズされたスシがあんなに美味いとは」



( ^ω^)「ヅェコとかいう牛の上位互換お肉。口に含んだ瞬間に脂が弾けたね」



  ('A`)「米も日本のじゃなかったよな。甘みがより強いというか。しっかりしてるというか」



( ・∀・)「そうそう。でもヅェコも旨味が強いから、それが丁度良いんだよ。マリアージュってやつ?」



( ^ω^)「あの醤油じゃないソース何だったんだろ。なんかねっとりしてて、旨いんだけど独特な匂いだったよな?」



  ('A`)「食用のスライムだって」



(;^ω^)「え、マジ?あれスライムだったの?」



( ・∀・)「スライム醤ってところか」



  ('A`)「最初は異世界に来て日本食かよと思ったけど、こうしてみると一食の価値はあったな」



( ^ω^)「……さて、朝飯食ったけど、これからどうする?」



  ('A`)「なんか観光名所あるだろ」



( ・∀・)「よし、とりあえず城行こう城」



( ^ω^)「日本人、観光でとりあえず城に行きがち説」



  ('A`)「観光地によるだろ」



( ・∀・)「いや、日本とは違ってちゃんと王様居るから。しかも運が良ければ王様も見れるから」



( ^ω^)「え、それ大丈夫なの?平民のくせに頭が高いとか言われて処刑されない?」



( ・∀・)「王様をなんだと思っているんだ」



【城に来ました】



( ^ω^)「うわっ、でっけぇ……ちゃんと堀に水はってある~」



( ・∀・)「迫力があるなぁ」



  ('A`)「全部石造りの城なんて日本じゃ見られねぇし、素直に感動するな」



(衛゜д゜)「おーい、そこ門の前、馬車とか通って危ないからこっち寄って」



(・∀・ )「あ、すいません」



(衛゜д゜)「その格好、ニホン人?観光?」



(・∀・ )「そうですそうです。城の中って入れるんでしたよね?入り口ってどこになりますか?」



(衛゜д゜)「あー、今日は一般開放してないから駄目。他の国の王族が来てるから。明日なら開放されているけどね」



(・∀・ )「あ、そうなんですか、残念」



  ('A`)「じゃあ、どっか代わりに観光できる場所ってあります?」



(衛゜д゜)「さぁ……あ、ニホン人に人気のアトラクション一つあるよ!」



( ^ω^)「アトラクション?」



(衛゜д゜)「うん。『ダンジョン・クエスト』」



  ('A`;)「ダンジョン・クエスト?」



(・∀・;)「ってことはまさか……」




【土曜日 昼前─ヘーヤ平原 第一階層】



( ^ω^)「という訳で、革の防具と銅の剣を持たされて原っぱに放り出された訳だが」《職業:戦士 Lv:ザコ 武器:銅の剣 特徴:防御が高い》



  ('A`)「ひのきの棒じゃなかっただけありがたく思おうぜ」

《職業:盗賊 Lv:カス 武器:ナイフ 特徴:素早い》



( ・∀・)「魔法なんて上手く使えるかな……」

《職業:魔法使い Lv:ゴミ 武器:杖 特徴:賢い》



(僧゜д゜)「ハハハ、安心して下サーイ!ガイドの私が居マス。それニ死ンデモ、スグ蘇生してやりマス!」

《職業:僧侶 Lv:94 武器:モーニングスター 特徴:筋肉ダルマ》



( ^ω^)「もう全部ガイドさんが戦ったらいいじゃないですか」



(僧゜д゜)「それでは面白くありまセーン。自分で戦うからスリルがあって楽しいデース」



  ('A`)「ハンティングみたいなもんだと思えば、面白いのか?」



( ・∀・)「そうだね、ゲームでしかできなかった事ができるのも貴重な体験だよ」



(僧゜д゜)「皆サン初心者なので、今日ハこの平原の奥地マデ試しに行ってみまショウ。もしかしたら、レアなモンスターに出会えたり、装備を拾えたり出来マス」



(僧゜д゜)「獲得したアイテムや素材は皆サンの物デス。売ってもヨシ、持ち帰ってもヨシ!」



( ^ω^)「ほう、それは趣深いシステム。ちなみに平原のレア素材というと?」



(僧゜д゜)「不老長寿の薬効があるというガポボポポスという花が高く売れマス」



  ('A`)「草かぁ。モンスター素材は?」



(僧゜д゜)「ニホン人これ言うと驚くけど、スライムがレアモンスターネ。スライムの粘液は珍味。そこそこ高値で取引されマス」



( ^ω^)「あぁ、あれか」



( ・∀・)「たしかによく考えればスライムって珍獣枠だよな」



  ('A`)「ちなみに一番良く出るモンスターってなに?」



(僧゜д゜)「野犬」



【ヘーヤ平原 第三階層】



(;^ω^)「ちょ、待って。休憩しよ休憩」



  ('A`)「おいおい。もうへばってんのか、体力ないな」



(;^ω^)「いや、普段デスクワークの男に前衛職はキツいって」



(;・∀・)「俺も……休憩ほしい休憩」



  ('A`)「お前も?魔法使いって体動かしてないじゃん」



(;・∀・)「いや、頭が……入試のテスト帰り並に疲れてる」



(僧゜д゜)「魔法ハ頭を使うシ、慣れない内は特に消耗が激しいネ。なんなら、彼がこの中で一番疲れてると思うネ」



  ('A`)「へぇ~、俺にゃあ無理そうだな」



(僧゜д゜)「疲れてる時には回復薬を飲むといいヨ」



(;^ω^)「あ、回復薬ってそういう……モンスターにHP削られた時以外にも使えるんだ」



(;・∀・)「まぁ、確実に体力は削れてるからな」



  ('A`)「ガイドさん、僧侶なら回復魔法とか使わないんすか?」



(僧゜д゜)「回復薬を取り出す暇がない戦闘時ならともかく、休憩時にわざわざ使わナイヨ。それに、魔法使うと私が疲れる」



(僧゜д゜)「という訳でハイ、回復薬。皆さんの分沢山あるから遠慮なく使って下サイ」



(;^ω^)「回復薬ってライフガードみたいな色してんだな」ゴクゴク



(;・∀・)「ん……これは……」ゴクゴク



  ('A`)「どう?回復しそう?回復薬ってどんな味すんの?」



( ^ω^)「味はまぁ8割ソルティライチ」



( ・∀・)「2割ポカリ」



  ('A`)「説得力のある味だぁ」




【ヘーヤ平原 第五階層】



(;ω; )「プギィィっ!!」



(;^ω^)「はぁ……なんか戦いには慣れてきたけど、命を殺めている感触がね。あんまり」



  ('A`)「仕方ねぇだろ。これも生きる為だ、覚悟しろ」



( ^ω^)「観光で来てんだよこっちは。覚悟なんてしてねぇよ」



  ('A`)「魔法使いはどうだ?結構ド派手にやってたけど」



( ・∀・)「いや……魔法って呪文唱えるだけでモンスターを殺せてしまうから……これ使い続けるとヤバいぞ。命を奪うのに抵抗がなっていく」



(僧゜д゜)「オーウ。ニホン人難しく考えすぎヨ。モンスターは畑を荒すし、人を襲う。数が増えると厄介ネ。こうやって間引くのも必要なのヨ」



( ^ω^)「僧侶さん、喋りながらオーク捌いていくのすごいっすね」



( ・∀・)「死体がみるみる食肉になっていく」



(僧゜д゜)「ハハハ、魔法じゃ肉は捌けないからネ。冒険者にとって獲物を解体するスキルは必須ヨ」



( ^ω^)「今までどんなモンスターを狩ったことあるんですか?」



(僧゜д゜)「んー、オーク、サイクロプス、オーガ、クラーケン……ドラゴンも捌いた事あるヨ」



  ('A`)「ドラゴン居んの!?」



( ^ω^)「居るだろ。異世界だぞ」



(僧゜д゜)「居るヨー、火吹いたり、氷吐いたり、忙しい奴だったネ」



( ^ω^)「ドラゴンってどんな味なんだろ」



(・∀・ )「なんか食べ物ばっかだな」



( ^ω^)「気になるじゃん日本人としては」



(僧゜д゜)「鶏っぽい味」



  ('A`)「出た。大体の牛豚羊以外の肉って大体鶏っぽい味呼ばわりされるよな。大体想像つくわ」



( ・∀・)「まぁ、鳥の先祖が恐竜って聞いたことあるし、そんなんじゃないの」



( ^ω^)「ちょっと、今日の夜ご飯でドラゴン肉食べてみない?」



(・∀・ )「そんな簡単に食えるの?」



(僧゜д゜)「ドラゴン肉は貴重だからネー、運が良ければ高級レストランで食べれるかもしれないけど……高いヨ?」



  ('A`)「ちなみにおいくら?日本円で」



(僧゜д゜)「だいたいコースで10万円くらい」



(;・∀・)「高っ!無理だって、そんなお金ないって」



(;^ω^)「んー……でもなぁ」



  ('A`)「狩ればいいんじゃね?」



( ^ω^)「それだ!狩猟すればタダじゃん!」



(;・∀・)「いやいやいやいや狩れないって!ねぇガイドさん!?」



(僧゜д゜)「うーん……そもそも、この平原にドラゴンは来ないヨ?彼らは人里離れた奥地に住んでるから」



(・∀・;)「ほら、やっぱり!明日は素直に王城見学してお土産買って、夕方には日本帰れるようにしよう!」



( ^ω^)「じゃあドラゴンが出るダンジョンまで行こうぜ!」



  ('A`)「いいなそれ、楽しそう。ドラゴンってどこに住んでるんすか?」



(僧゜д゜)「イテーツク山脈かネッ火山。もしくは樹海の奥地だネ」



(;・∀・)「ちょっと待って。本気で行く気?一日でそんなところ行ける訳無くない?」



(僧゜д゜)「大丈夫。私転送魔法使える。その三箇所なら一瞬で行けるネ」



( ^ω^)「じゃあ樹海に行こう。山は滑落して死ぬかもしれないから」



  ('A`)「死体が見つからなかったらガイドさんに蘇生してもらえないからな」



( ・∀・)「俺はそもそも死にたくないんだけど」



(僧゜д゜)「んー……でも、樹海まで遠征するなると特別料金になるけど良いノ?」



( ^ω^)「は?特別料金?」



(僧゜д゜)「『ダンジョン・クエスト』アトラクションは王都周辺の平原・遺跡・洞窟が基本料金で楽しめマス。それ以外の場所に行くとなると、私達ガイドもそれ相応の準備が必要デスし、追加料金がかかりマスネ」



(僧゜д゜)「さらに、ドラゴン討伐体験をお望みデスが、ドラゴンはとても強いモンスター、皆サマのレベルではドラゴンに近づく前に消し炭になりマス。なので、私以外に護衛パーティと、討伐パーティを組まないといけませんネ。最低でも熟練の冒険者10人は必要デス」



(僧゜д゜)「私達スタッフだけでは、これに対応する事は不可能デス。なので外部の冒険者……斡旋酒場から志願者を募る必要がありますが、緊急の討伐依頼ということで、冒険者に払う報酬にも色を付けねばなりまセン」



(僧゜д゜)「勿論、酒場に依頼を出したところで、志願者が集まるとは限りません。皆サマの都合で、依頼を破棄することになるかもしれませんが……酒場に依頼を出すだけでも掲載料が必要デス」



(僧゜д゜)「つまるところ、結構お金かかりマス」



  ('A`)「ちなみにおいくら?日本円で」



(僧゜д゜)「頭金で10万円、クエスト出発で100万。あ、失敗しても返金ないデス」



( ^ω^)「うっし!帰るか!」



  ('A`)「今日は狩ったモンスターの肉でバーベキューしようぜ!」



(;・∀・)「助かった……ん?」



(;・∀・)「ちょっと待って!お前らの足元にある青い花……ガガポポスじゃない!?」



( ^ω^)「なんだっけそれ」



( ・∀・)「ほら、平原のレアアイテムの……」



(僧゜д゜)「確かに、それがガポボポポスデス!」



  ('A`)「これがガガポボポポスデスか……綺麗な花だな」



( ・∀・)「もしかして、これってドラゴン肉食べられるくらい高く売れるんじゃない!?」



( ^ω^)「うおおおおっ!それだぁっ!!」



  ('A`)「コレが主人公補正かっ!」



【土曜日 夜─王都】



( ^ω^)「まさか売価8000円だとは……」



  ('A`)「さらに手数料と税金引かれて実質7200円だとは……」



( ・∀・)「なんなら回復薬が別料金だったが為に、基本料金と合わせて差し引きゼロだとは……」



( ^ω^)「これアトラクションっていうか、働かされただけじゃ……街の付近に住むモンスター討伐っていう」



  ('A`)「なるほど、お金を払ってボランティア活動したということか」



( ・∀・)「賢いな」



( ^ω^)「夜ご飯どうする?オーク肉はもらったけど……」



  ('A`)「酒場とかに持ってったら料理にしてくれっかな?」



( ・∀・)「じゃあ、そこの先にある酒場で聞いてみるか」



(宿゜-゜)「いらっしゃい。ピル酒、ダポカ酒かウメ酒。どれ頼むかい?」



( ^ω^)「炭酸系で冷えてるのは?」



(宿゜-゜)「ピル酒。3つでいい?」



  ('A`)「おばちゃん、この店って持ち込んだ食材を料理してくれたりする?」



(宿゜-゜)「何?」



  ('A`)「オーク肉」



(宿゜-゜)「素焼きなら代金は要らない。調理するならお肉代割引ね」



( ・∀・)「食べたこと無い肉だし、素材の味が分かるような料理がいいな」



( ^ω^)「オーク肉って素焼きで食えるの?」



(宿゜-゜)「臭みが強いね。香草焼きにする?」



  ('A`)「いいじゃん。あとポテトフライとエダ豆」



(宿゜-゜)「はいよ」



 数分後...



(宿゜-゜)「はい、ピル酒とポテトフライ、エダ豆ね」



  ('A`)「はーい」



  ('A`)「……なんかポテトフライじゃなくてふかし芋が来たんだけど」



( ・∀・)「誤翻訳的なアレだよ、多分」



( ^ω^)「エダ豆もなんか毒々しい紫色なんだけど。なにこれ毒属性?」



( ・∀・)「……まぁ、豆味だな」パク



  ('A`)「よく躊躇わずに口に入れられるな」



( ・∀・)「塩ゆでされてるし、まずくは無いよ。けど、なんか食感がねっちょりしてる」



  ('A`)「腐ってんのか?」



( ^ω^)「そういう豆なんじゃない?じゃあ俺はポテトフライを……」パク



( ^ω^)モサ、モサ



( ^ω^)モサ



( ^ω^)ゴクン



( ^ω^)「あー……日本のジャガイモって美味しかったんだな」



( ・∀・)「芋がまずいなんてある?」パク



( ・∀・)サモサモ



( ・∀・)「ため息が出る味」



  ('A`)「なにがそんな評価低いの?」お酒ゴクゴク



( ・∀・)「なんか、舌触りがカッスカスのスポンジみたいな」お酒ゴクゴク



( ^ω^)「んで、地獄みたいに口内の水分を持ってくんだよ。そんで無味。油すら無味」お酒ゴクゴク



  ('A`)「なんでそんなモノ食ってんの?」



(#^ω^)「おめぇが頼んだからだろうが!!」



( ・∀・)「あれだな。多分異世界は野菜の品種改良なんて進んでいないし、味よりも収穫量が増える種を育てるだろうし」お芋サモサモ



( ・∀・)「なにより調味が薄いなんだよ。俺達の世界に比べて物流が未発達だ。塩や胡椒なんかのスパイスだって高級品だろうし……」お酒ゴクゴク



  ('A`)「ボロクソ言いながら芋は食うんだな」



( ・∀・)「これはこれで酒が進むというか。酒の旨味を再発見できるというか」



( ^ω^)「ポジティブ~~」



  ('A`)「あれ、じゃあ香草焼きも、もしかして……?」



(宿゜-゜)「はい、おまたせ。オーク肉の香草焼きね」



( ^ω^)「うわっめっちゃいい匂い」



  ('A`)「おばちゃん、この香草焼きってどんなスパイス使ってんの?」



(宿゜-゜)「GABAN」



( ^ω^)「日本から直輸入じゃねぇか」



( ・∀・)「あれぇ~~?」



  ('A`)「そもそも俺達が新幹線で来てんだから物流が未発達な訳ねぇだろ」



(宿゜-゜)「あれ、アンタ達のポテトフライ……あぁ!ゴメンナサイね調味料かけるの忘れてたわ!」



( ・∀・)「え?」



(宿゜-゜)「ちょっと待ってね……はいケチャップとマスタード」



  ('A`)「わぁ、ハインツのだぁ」



( ^ω^)「アメリカからも直輸入でしたよ。大層な物流網だ」



( ・∀・)「じゃあいっそのことジャガイモも輸入すればいいのに」



  ('A`)「それはまぁアレだろ。自国産業の保護とか」



( ^ω^)「俺達みたいな一般人が考察できるより複雑怪奇なんだよ。異世界事情ってのは」



( ・∀・)「なんだお前ら知った顔ぶりやがって……ムカついたので俺が最初に香草焼き頂きます」



( ・∀・)ガブリ



( ・∀・)「あ~……うん、旨い。普通に旨いよコレ」



  ('A`)「どんな味?」



( ^ω^)「オークだしやっぱ豚肉じゃない?」



( ・∀・)「鶏っぽい」



(;^ω^)('A`;)「マジで!?」


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