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【10話】入学式

よろしくお願いします。


〜入学式当日〜



大講堂前にて


「ここで、入学式行うんだよな」


僕は星峰の制服を着用して、待っている状態だ。扉の前には機械のようなものが置いてある。おそらく、あそこで学生証が引換券にて交付される。


ちなみに、親は来ない。というより来れない。なんでも、以前トラブルがあったらしく、せっかくの入学式が後日に延期されるという事態が発生してしまったらしい。 


そのため、翌年以降オンラインで生配信という形になったそうだ。また、全国から集まるため、地方から来る生徒の保護者も見れるという利点もあった。


どうせ金持ちだらけのこの学校に、僕みたいな一般から来る生徒の方が圧倒的に少ないだろう。



しばらく待っていると、時間が回ってきたようだ。大講堂の扉が開いていく。




「お待たせしました。こちらで学生証の引き換えを行いますので、各自並んでください」


受付の人が呼びかけ、何列かに分かれて僕もその中の一列に並ぶ。見る限りどうやら、引換券に添付されているQRコードを機械でスキャンすると学生証が出てくるようだ。随分と現代にしては進んだ技術である。これも、こういう学校の特権なのだろう。


その後、僕も学生証と席の案内図、そして新入生に配布される袋をもらい、大講堂に入った。案内図で席の確認をすると、


「ここか…」


席はどうやら一番前のようだ。階段を降りて行き、指定された席に座る。そして、袋の中に入っていた便覧を見ていると、


「松下さん!」

「あっ」


そこに現れたのは蓬莱院さんだった。しかも、席がまさかの隣だった。


「やっぱり、同じクラスだったんですね」


笑顔で聞いてくる。それに対して…


「あっ、そうですね」


なんとなくそっけない感じで返す。


僕たちはSクラスだった。ただ、このクラスには違和感があった。


「僕たちのクラス、人数少なすぎませんか?」

「やはり、そう思いますか?」


案内図を見る限り、Sクラスに書かれている番号は五つだけだ。つまり、これが正しいならこのクラスは五人だけということになる。僕と蓬莱院さん、あと三人。


一宮いちのみやさんは?」

「理奈はAクラスです。それに、あの噂の新しいクラスというのが、このSクラスのことだと思います」

「それは僕も思いました」 


そう、他のクラスであるA〜Eクラスはおよそ四十人だ。だから、明らかにこのSクラスだけおかしすぎる。おそらく、このSクラスは僕と蓬莱院さんを含め五人が、いわゆる特待生合格で入学した者ということなのだろう。


蓬莱院さんと話していると、残りの三人と思われる同級生が来た。男子二人、女子一人だ。それと同時に、入学式が始まった。


副校長が壇上に上がり、開式を宣言する。その後は国歌斉唱や校長の入学式の式辞などが続き…


「続いて、在校生挨拶。在校生代表、王道院 雅仁まさと。」

「はい。」


その王道院という名を聞いて、やはりここはとんでもない学校だと改めて実感する。王道院家は、蓬莱院家と同様世界有数の大財閥だ。日本では、この二つの家が二大財閥として君臨している。


「新入生のみなさん、ご入学誠におめでとうございます。我が校はエリート校として見られ、真面目な雰囲気を持たれがちですが、決してそんなことはありません。先輩たちは皆、楽しい生活を送っています。そして、とても積極的で活動的な先輩がとても多いです。みなさんも、これからは星峰の生徒として、積極的に活躍していってほしいと思います」


こんな感じで進んでいき、挨拶は終了した。そして次は…


「続いて、新入生挨拶。今年度首席入学、蓬莱院梓!」

「はい!」


まさかの首席が蓬莱院さんだった。彼女は立ち上がり、教師や来賓に一礼し、壇上へと上がる。


「この桜舞う春の季節、この私立星峰高等学校に入学出来たことをとても喜ばしく思います。私たち新入生は、今日からこの高校で生活していくこととなります。授業や部活動、それ以外の活動も、より一層積極的に活動していかなければならならないと思います。それだけ期待があると入学試験時に見入られたからこそ、私たちはその期待に応えていかなければなりません。これからはこの学校の生徒として誇りを持ち、一人一人が何をするべきかということを考えて、行動していきたいと思います。新入生代表、蓬莱院梓」


一礼し、壇上を降りていく。この時、僕は本当にこの学校の生徒になったんだと、何回目かわからないが自覚したのだった。


そして、最後に校歌斉唱をし、副校長の閉式の宣言があり、終了となった。その時間は、正午を回っていた。


終了後、一人の教師から連絡があり、明日からのガイダンスをしっかり確認しておくように、ということだった。



「松下さん、この後一緒にご昼食でもいかがでしょうか」

「まあ、別に僕でもいいなら…」

「ありがとうございます!」


すると、そこはAクラスになった一宮さんも来て、三人で食べることとなった。






向かったのは、和食のレストラン。今日は入学式ということもあり、他の生徒が多く来ていた。また、今日は新入生に限り無料だったので、学生証を店員さんに提示して無料で食べられた。随分と太っ腹な学校だ。


僕は生姜焼き定食を食べたが、あまりにも美味すぎた。明らかにランクが付いてもおかしくないものだった。店員さんに聞くと、決してそんなことはないらしいが。









〜昼食後〜



僕たちは、図書館に来ていた。図書館はとても広く、一万冊以上あるのだとか。そこの空いている席に座り、対面形式になる。これは、明日以降のことなど、いろいろと確認をするためである。


「まずは、明日以降のガイダンスですね」


流れを見ていくと、明日は教室でいろいろ説明とやらがあり、明後日からは授業選択が始まるらしい。そして、来週から授業開始という流れである。明らかに大学でやるような感じだ。とても普通の高校でやるようなやり方ではない。


「その明日のことは、おそらく自己紹介とか学校でのルールとかそういう類いでしょうね」


蓬莱院さんが僕らに尋ねる。


「その通りだと思います、お嬢様」

「僕もそう思います。寧ろそれ以外に何かあるんでしょうか?」


僕が逆に質問する。


「わかりません。それに一番気になるのは、今回急にできたSクラスについてです」

「本来は、教育委員会などで手続きをとった上で発足が可能のはずです。いつその手続きを行ったのでしょうか」

「それも謎ですよね」


パンフレットとか調査では、Sクラスが発足するなんてことは書いてなかった。


「残りの三人もなんか気になります」

「松下さんの隣にはいましたよね?」

「ええ、まあ。なんか異様な雰囲気は感じましたけど。とてもじゃないですけど、心配しかありません」


そう、僕は入学式の最中、適度に三人を確認していた。一人はメガネをかけた知的な感じの男子、もう一人が明らかに体育会系でガタイのいい男子、そして見た目は完全に小学生の女子。


名前はどうせ明日わかるだろう。


「そうですね。私もなんか変な違和感は覚えました。本当に彼らと仲良くなれるのでしょうか」


蓬莱院さんが心配そうに聞いてくる。


「僕は、ある程度見極めてから仲良くするか決めようと思ってます。ただし、本当に信頼できるなら、の話ですが…」

「それは、裏切りとかもあるということですか?」

「あくまでも可能性の話です。まあ、クラスメイトにそこまでするとは思えませんけど」


僕は最初から信じずに見極め、本当に信頼できると思ったら仲良くしようと思った。これは、今までの経験が積み重なってできたものだからだ。


「そうですね。あと、Sクラスのことも」

「わかってますよ」

「理奈、あなたも調べてもらえる?名前は明日教えるから」

「かしこまりました」


これで、とりあえず終了した。図書館から出て行く。



「では、また明日!」


蓬莱院さんたちと別れた僕は、そのまま帰宅した。






〜とある場所にて〜


とある生徒が、誰かと連絡をとっていた。


『あのお嬢様の様子はどうだ?』

「体調面に問題はないかと。それに、知り合いと思われる男と女がいましたが、そこまで強くはないと思われます」

『そうか、わかった。だが、もう少し時期を見よう。必ずその時はくる。それまで、しっかり監視しておけ』

「了解!」


その連絡相手は、復讐に駆られていた。


「待ってろよ!蓬莱院梓!」




果たして、その目的とは…








読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほのぼの系の学園かと思ったら結構裏がありそうで好き!
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