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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

スキル多機能カードは超便利!!

作者: 黒色の猫

新年明けましておめでとうございます。


「一輝様、今日はもうそこまでにしたらどうでしょうか?」


 時計を見ると、23時を少しまわったところだ。


「明日の予定は?」


「会社の重役や知人などを招いた聖誕祭を行う予定になっております。」


「…そうか、明日は私の誕生日だったな。わかった、もう休むとしよう。」


 そう言って、後片付けをして寝室へ戻り、ベッドに横になる。


 私の名前は、大神一輝おおかみかずき

 今は亡き父の会社、大神グループの代表取締役をしている。

 明日で私は還暦を迎えるが、子どころか妻すらいない。

 私はこれまで1人で生きてきた。別に本当に1人で生きてきたという訳ではない。分かりやすく言えば、一人ぼっちだったという意味だ。

 小さい頃から、自分でいうのもあれだが、何でもすぐに出来た。勉強やスポーツ、その他の事も…

 そのせいか、大人からは神童と言われ、同世代からは嫉妬の対象になっていた。

 だけど、あまりにも出来すぎて、大人含めそれらが、畏怖の対象に変わるのは、それほど時間はかからなかった。

 両親も、俺とは距離をとっていたので、本当に一人ぼっちだった。

 だからか、気づいたときには、心の中にどこかぽっかりと穴が開いたような感覚のまま、生きてきたのだ…

 それは、明日で還暦になる今でも変わらない。

 そんなことを考えながら私は、そのまま眠りについた。



 ◇



 なんか、変な感覚で目を覚ました。

 体を起こし、周りを見渡す。


「ここは、どこだ?」


 周りは薄暗く、ゴツゴツとした地面に私は座り込んでいた。

 私は何故、こんなところに? 記憶を遡るが、寝室のベッドで眠りについたのが最後だ。


「痛っ!!」


 唐突の頭痛に頭をおさえる。


「そうか…」


 頭痛はすぐに引き、引くと同時に、ある記憶が甦った。

 あれは、私の10歳の誕生日の日…



 ◇



 今日で、僕は、10歳になった。だけど、両親からは、祝いの品はあっても、祝いの言葉はなかった。

 その日も、僕しかいない大きな自分の部屋で、本を読んでいた。

 すると、突然天井に黒い穴が現れ、そこから何かが落ちていた。


「いった~い!!」


「!?」


 声のした方を見てみると、そこには、この世の者とは思えないほどの神々しい女性が座り込んでいた。

 本を閉じ、その女性に手をさしのべる。


「大丈夫ですか?」


「ありがと~!!」


 神々しい女性を立ち上がらせる。

 女性は、キョロキョロしながら、尋ねてくる。


「ここは、一輝君、貴方のお部屋よね?」


「はい、そうですが、すみませんが、貴方は?」


「あ!! 自己紹介がまだだったわね。私の名前は、ミーシェン、一応こことは違う世界の女神をしてます!!」


「…女神様ですか…」


「あれ? あんまり驚かないのね。」


「そうですか? とても驚いてますよ。」


「そうは見えないけど… ま、いいわ。ねぇ、一輝君、今から私とお茶しない?」


「お茶ですか?」


「そう!!」


「…今日は、予定がないので大丈夫です。」


「なら、行きましょうか!!」


 ミーシェン様が、手を差し出してくるので、少し戸惑いながら握る。すると、周りの景色が変化した。


「!?」


 そこは、周りが様々な花が咲き乱れている東屋だった。


「それじゃあ、一輝君、そこに座ってね。」 


「分かりました。」


 ミーシェン様の真向かいの椅子に腰かける。


「それじゃあ、お茶にしましょうか。」


 パチンッ


 ミーシェン様が、指をならすと机の上にソーサーつきのティーカップとポット、クッキーなどの茶請けが出てきた。


「今、入れるわね。」


 湯気をたてながら、ティーカップに注がれる。


「どうぞ!!」


「ありがとございます。」


 目で促され、ゆっくりと口に含む。


「!?」


「ふふ、味はどうかしら?」


「美味しいです!!」


「それは、良かったわ。」


 カップを置き、ミーシェン様に気になっている事を聞いてみた。


「ミーシェン様は、どうして僕の部屋に現れたんでしょうか?」


「ん~、一輝君の部屋に現れた理由? それは、貴方に会いに来たのよ。」


「僕にですか?」


「そうよ。」


「理由をお聞きしてもいいでしょうか?」


「理由は2つあるわ。1つ目は、一輝君が私のお気に入りだから会いに来たってのが1つね。」


「ぼ…僕がお気に入りですか? あ…ありがとございます。」


「いえいえ、どういたしまして。それで、もう1つは、一輝君を私の世界に招待しようかと思ってきたの。」


「ミーシェン様の世界にですか?」


「そうよ、私の世界。こことは違って魔法や剣があるわ。それに、退屈そうに生きている一輝君にとっては、あっちの世界はとても、刺激的な世界よ?」


 僕は少し考えたあと、


「ミーシェン様、大変ありがたいお話なのですが、僕はもう少し、この世界で生きてみようかと思います。」


「そっか… 分かったわ。」


「…理由は聞かないのですか?」


「ええ。貴方の意思を尊重するわ。」


「…ありがとございます。」


 僕は、机に頭をぶつけそうなほど、頭を下げた。

 その後も、少し話をしてから、元の部屋に戻ったきた。


「ミーシェン様、今日は、お茶に誘って頂き本当にありがとうございました。今までに一番思い出に残る誕生日でした。」


「気にしなくてもいいわ。喜んでくれたなら、良かったわ。それにしても、一輝君、今日誕生日だったのね?」


「…はい。」


「何か欲しいものない? 私からプレゼントするわ。」


 僕は、少し考えた末、あることをお願いする。


「では、1つお願いしてもいいですか?」


「何かしら?」


「もし、50年後も僕が退屈に生きていたら、問答無用にミーシェン様の世界に連れていってくれませんか?」


「…それは、いいけど、その時は、一輝君は、お爺ちゃんになってない?」


「…確かにその時は、60歳のお爺さんです。でも、その後も、退屈にいきるくらいなら、ミーシェン様の世界で死にたいです。」


「分かったわ。でも、条件があるわ。」


「条件ですか?」


「ええ、今日の記憶を一時的に、封印させて貰うわ。」


「…分かりました。それで、お願いします。」


 ミーシェン様は、僕の頭に手をのせる。


「それじゃあ、一輝君、またね。」


 そう言われた瞬間、目の前に靄がかかり、意識が途絶えた。



 ◇



「あの日、ミーシェン様にお願いしたんだった。」


 それにしても、今気づいたけど、体が小さくなっている。あの日の10歳の頃の私のように…

 すると、目の前に黒い靄が現れ、その中からミーシェン様が現れた。


「久しぶりね、一輝君。」


 私は、その場で姿勢を正す。


「お久しぶりです、ミーシェン様。」


「あの日の約束、果たせたかしら?」


「はい… 本当にありがとうございました。それに、体まで…」


「ふふ、いいのよ。」


 その後、ミーシェン様から、この世界の仕組みやステータスなどについて聞いた。


「それじゃあ、私はここで失礼するわね。」


「はい!! 何から何までありがとうございました。」


「ふふ、それじゃあ、またね一輝君。」


「はい!!」


 再び黒い靄が現れ、その中に消えていった。

 私は、再度ミーシェン様が、消えた方へ、深く深く頭を下げた。



 ◇



 しばらく、頭を下げた後、ミーシェン様に言われていた事を確認する事にした。


「…確か、ステータスオープンだったかな?」


 すると、目の前に、透明な画面が現れた。


 名前:カズキ・オオカミ 年齢:10 性別:男 LV:1

 HP:50/50 MP:100/100

 攻撃力:30 防御力:30 俊敏力:30

 魔法攻撃力:5 魔法防御力:5 運:100

 スキル:多機能カード 無病息災 全知全能

 称号:女神の寵愛を受けし者 異世界人


「これが、私の今の能力ということか…」


 この後は、詳細を確認するんだよな。


 多機能カード ・・・ 様々な機能を使用できるカード。「カード」と唱えると、手元に現れる。出現したカードは、念じると消える。


 無病息災 ・・・ 状態異常にかからない。また、毎分HP総数の1%回復する。


 全知全能 ・・・ あらゆる言語・知識を理解し、スキルレベルの上昇率が極大アップする。


 女神の寵愛を受けし者 ・・・ 女神ミーシェンの寵愛を受けし者に与えられる称号。ステータス上昇率極大アップ。


 異世界人 ・・・ 異世界から来た者に与えられる称号。レベルアップする際の取得経験値軽減。


 詳細を確認し終えたと同時に、ステータス画面が消え文字が現れた。


 " スキルや称号は私からの60歳のプレゼントよ。

  第2の人生と思って、一輝君の好きなように生きてみなさい。

 ミーシェンより   "



 私は、むこうの世界であらゆる書籍を読破してきた。それらの書籍でいう【チート】と言うものだろう。本当にミーシェン様には、頭が上がらない。もう一度、ミーシェン様が消えた方に頭を下げる。

 少しして、頭をあげてから、多機能カードを使ってみることにした。多機能カードの機能の使い方は、全て気づいたら頭に入っていた。

 使おうとすると…


「こ…んな…所にも…人が…」


 バタンッ


 フードつきの黒いローブを被っている人が何かを言いながら、その場に倒れた。


「!? 大丈夫ですか!!」


 私は、その人にかけよる。

 ローブはボロボロで、所々見える手足は怪我をしているのか、血が滲んでいた。

 すぐに、抱え起こすと…


「!?」


 起こしたときに、フードが落ちその人の顔があらわになる。

 そこには、幼げな顔に漆黒のような長い黒髪、そして、すぐに目についた巻き角… この子は…

 いや、今はそんなことを考えている場合じゃないな。


「カード」


 さっき試そうとしたスキルを発動する。

 しっかり、手元に真っ黒なカードが現れる。

 それを、目の前の空間に差し込む仕草をし、多機能カードの能力の1つを発動する。


「ショップ」


 カードが飲み込まれ、ステータス画面のようなものが、現れる。


 "ご利用いただき、ありがとうございます。初のご利用また初のお客様と言うことで、初回限定1品のみ無料で提供させて、頂きます。"


 丁度いいタイミングだ。私は、回復出来るアイテムを検索し、購入する。

 購入した物は、そのまま多機能カードの機能の1つである収納ストレージに収納されている。

 カードを取り出し、


収納ストレージ


 リスト画面が現れ、先程購入したエリクサーを選択すると、カードから黒い裂け目が現れる。その裂け目に、手を入れエリクサーを取り出し、慎重に飲ませる。


 コクッコクッコクッ


 しっかり、飲んでくれた。体が光、傷が塞がる。

 傷は塞がったが、起きる気配はないので、そのまま寝かせておく事にする。

 さっきは、細かい所まで確認出来なかったので、彼女が起きる間に、もう一度、ショップを確認してみる。


「ショップ」


 先程と同じ画面が現れる。

 左上に検索機能。この検索機能も、異世界と地球の2種類あった。

 その横の所持金額て書いてるものが、今の私の所持金額の事だろう。その横のポイントってのは、普通に考えて、商品を購入したときの得ることの出来る物の事かな?

 所持金額が0円に対して、ポイントは、50000ポイントもある。

 少し調べてみると、1ポイント=1円みたいだ。

 続いて下の方を見てみると、


 " 1日1回 ラッキーダイス 未実施 "


「ラッキーダイス?」


 そう呟くと、手元にサイコロが現れた。


「これが、ラッキーダイスかな? 振ればいいのか?」


 一応、降ってみる… 6が出た。

 すると、サイコロは消え、画面に文字が浮かび上がる。


 "ショップ内商品贈呈(ランダム) 贈呈済み"


 何か商品を貰えたようだ。ショップもある程度調べた為、貰えた商品を確認してみる。


収納ストレージ


 リスト画面には、経験の果実(極大)と書いていた。

 取り出してみると…


林檎りんごかな?」


 林檎なような、真っ赤な果実だった。

 丁度、お腹も空いていた為、食べてみる事にする。


 シャリ


「!? 美味しい!!」


 今まで食べてきた林檎とは比べるのも馬鹿らしくなるほどその果実は、瑞々しく、とても甘いのに味はしつこくなく、あっさりとしていて、とても美味しい。

 気づけば、丸々一つ食べ終えていた。

 食べ終えた瞬間、体に力が漲ってくるのを感じる。

 前までは、林檎一つでもかなりお腹が膨れていたのだが、今は、逆に


「うぅぅん… ここはいったい…」


 ん、どうやら起きたようだ。


「調子はどうかな?」


「!?」


 彼女は、すぐに起き、後ろに飛び退く。


「貴方は、誰ですか!!」


 どこからか取り出したのか、手には短剣を握りしめていた。

 だけど、怪我をしていたのに、あんなに突然動いたら…


「うっ…」


 案の定、彼女は、またしても倒れた。

 私は、彼女に近より抱き起こす。


「大丈夫かい? 怪我は治っても、失くした血が戻ってる訳ではないから激しく動かない方がいいよ。」


「そういえば、怪我がなくなってる… それに、貴方は?」


「怪我の方は、手持ちの回復薬を使いました。そして、私は…」


 少し考えたあと、


「カズキと言います。」


「ど…どうして、そこまで…」


「なんとなくですかね?」


「そ…そうですか… ありがとうございます…」


「いえいえ、それにしても貴方のお名前は?」


「ふ…フィリアです…」


「フィリアさんですか。いい名前ですね。」


「あ…ありがとうございます…」


 すると、


 キュルル~


 彼女の顔が真っ赤に染まる。


「何か食べ物持ってますか?」


 彼女は赤い顔のまま、首を横にふる。


「それじゃあ、私が何かを作りますので、待ってて貰ってもいいですか?」


「そ…そこまでして貰わなくても…」


 キュルル~


「今から用意するので、少し待ってて下さいね。」


「お…お願いします…」


 私は、再びショップを使う。


「ショップ」


 異世界の材料は、どれが使えるか分からないので、今回は地球のものを使用する。料理の腕もそこそこある。

 まぁ、今回は、本当に簡単なものにするつもりだ。

 それじゃあ、必要なものを買うとしますか。


 ・うどん麺✕2 ・カット済みの蒲鉾かまぼこ・卵 ・水

 ・醤油 ・みりん ・料理酒 ・塩 ・砂糖 ・だしの素

 ・カット済みのネギ ・烏龍茶(500ml)✕24

 ・カセットコンロ ・カセットボンベ 

 ・器✕2 割り箸 ・フォーク ・鍋セット(ティ○ール)


 買うのは、こんなものでいいかな。


収納ストレージ


 買ったものを取り出し、調理を始める。

 少しして、卵とじうどんが完成する。


「熱いので、気をつけて下さいね。」


 料理の際、周りでチョロチョロしていたフィリアに、器とたぶん箸が使えないと思ったので、フォークを渡す。


「あ…ありがとうございます。」


「どういたしまして。それでは、いただきます。」


「?」


「あぁ、食べる前の挨拶みたいなものですよ。」


 私は、もう一度両手をあわせて、


「いただきます。」


 すると、フィリアも手をあわせて、


「い…いただきます。」


 まずは、私が最初に食べ、安全であることをみせる。

 フィリアも恐る恐る食べ出す。


「熱っ!!」


「大丈夫ですか?」


 購入しておいた、烏龍茶のキャップを開けて渡す。


 ゴクッゴクッ


「あ…ありがとうございます。」


「味はどうでした?」


「一口しか食べていませんけど、食べたことない食感でとても美味しいです!!」


「そうですか。お口にあったようで、良かったです。」


 その後も、フィリアさんと話をしながら、卵とじうどんを食べる。


「そういえば、フィリアさんは、どうしてあんな怪我をされてたんですか?」


「そ…それは…」


「別に答えたくないなら、無理に答えなくても大丈夫ですよ?」


「いえ、カズキさんには助けて頂いたので、お話しします。」


「分かりました。」


 話し始めるまで、待つ。


「わ…私は、魔帝国・ウィケッドからある目的をもってやってきました。」


「ある目的?」


「はい… 私の妹が謎の病にかかってしまって、それを治す薬を探すために国を出てきました… その道中に… その…」


「どうかしました?」


 フィリアさんは、決心したような顔で、次の言葉をのべる。


「その道中に… 人族たちに襲われてしまいまして…」


「人族にですか?」


「はい…」


「理由なんか、分かりますか?」


「分かりません… しいて言えば、私が魔族だからかと…」


「魔族だと何か駄目なんですか?」


「…そう言えば、カズキさんは、どうしてそんなに普通に接してくださるんですか?」


「そ…それは、私は、その凄い田舎で出てきたばかりだからかと…」


 これで、大抵の事は納得させる事が出来るはず。


「そうなんですね。改めて、何かなにまで、ありがとうございました。」


「いえいえ。でも、そんな危険なのに、一人なんですか?」


「それ何ですが、少し変なんですよね。いつもなら、あの程度の人たちなら、撃退できるんですが、国を出た後くらいから、体調やスキル、魔法が使えないんですよね…」


「何か心当たりは、ありますか?」


「んー、そういえば、いつも嫌みたらしいトレイターが国を出るのに手を貸してくれました。」


 完全にその人が怪しいよな。


「その、トレイターって人はどんな人何ですか?」


「トレイターですか? トレイターは、魔帝国の宰相です。」


「宰相? かなり上の地位の方と知り合いなんですね?」


「あぁ、私これでも、魔帝国のお姫様ですもん!!」


「!?」


 私は、すぐ姿勢を正す。


「あっ、そう言う訳で言ったわけではないので、気軽に接してください。」


「わ…分かりました。でも、完全にそのトレイターって人が、怪しいですね。」


「やっぱり、そうですよね… !? そう言えば、妹を治す事の出来る薬の事を教えてくれたのも、トレイターでした…」


「決まりですね。それで、今は体調はどうですか?」


「あれ? そう言えば、今まであった、だるさがなくなってます… どうして?」


「あぁ、もしかしたら、先程飲ませた回復薬のおかげかもしれませんね。」


「回復薬ですか? あんなにあった怪我も1つも治ってますし、とても効果の高い回復薬なのですね。そんな、貴重なものまで使わせてしまい、すみません… それで、何て名前の回復薬なんですか?」


「丁度、手持ちにあったので、そこまで気にしなくて良いですよ。名前ですか? 確か、エリクサーですね。」


「………えっ? い…今なんて…」


「エリクサーですけど、それが、どうかしました?」


「え…え…え…」


「え?」


「エリクサーですか!?」


 フィリアさんが、突然大きな声を出す。


「どうしたんですか? 突然、大きな声なんか出されて?」


「エリクサーって、私が探してた回復薬のことですよ!!しかも、エリクサーは、とても高価な品だと聞いていますし…」


「そうなんですか?」


 確かに、私の読んできた作品でもエリクサーは、全てを癒す薬やとても高価な品として、書かれていたな。無料だったから、効果の一番高い回復薬を選んだだけだしな。


「そうですよ!! そ…そんなものを私なんかに…」


「たまたま持っていただけですので、先程も言いましたが、気にしなくて良いですよ。」


「わ…分かりました。それで、こんな事を言うのは、大変おこがましいと分かっているのですが…」


「どうかしました?出来る事なら、手を貸しますよ?」


「その… あの…」


「はい、何でしょうか?」


「え… エリクサーってまだ、持っていないでしょうか?もし… もし、まだ持っていたら譲って下さいませんか?」


「申し訳ないのですが、待っていないですね…」


「そ…そうですよね… 無理言ってすみません…」


「いえ、大丈夫ですよ。ですが、もしかしたら、入手出来る可能性はあります。」


「本当ですか!!」


「はい。ですが、確実ではないです。」


「少しでも、可能性があるなら、それで、大丈夫です!!」


「分かりました。では、早速むかいましょうか?」


「どこにですか?」


「妹さんのところです。早い方がいいでしょ?」


「はい!!」


 私たちは、立ち上がり、その場を後にして、フィリアさんと一緒に魔帝国へむかう。

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