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元天才選手の俺が女子高校野球部のコーチに!  作者: 柚沙
第1章中学生時代
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襲来!



「東奈くん!なんか大人しそうな子が校門で待ってるよ!」




クラスメイトの女子がわざわざ俺のところまで教えてきてくれた。



俺は何となく心当たりがあった。

江波さんが1番の有力候補だが、江波さんじゃない気がする。


いい人そうな皮を被った小悪魔という可能性も…。




校門に行くとあんまり見なれない制服の女の子が青色の傘をさして後ろを向いていた。



背格好からして江波さんだった。


最近はよく連絡は取り合ってた。

うちの室内練習場で高校に入るまでに基礎をしっかりとして固めてもらう為に、俺の住んでいる地域に来れる時に来てと連絡は前にしておいた。



予報が雨だから練習も休みでスカウトも出来ないと踏んで来たのだろう。


流石は周りがよく見てる俺のスカウト第1号選手だと、自分のことも江波さんのことも心の中で褒めちぎった。




「江波さん!こんにちは!」




「あ!こんにちはっ!」




いつものように元気よく挨拶してくれた。

会うのは3週間ぶりだった。

いや、もう4週間ぶりかな?





「ししょーーー!!!」




ん?ししょー?



「かのちゃんがなんでここに…。」




まさかの待っているのはかのちゃんだった…?

本当に心の底から何故こんな所にいるのかと思ってしまった。


ん?何かおかしいぞ?



「ししょーーーー!!!」



目の前には俺のスカウト第1号の江波夏実がいる。


確かにかのちゃんらしい声が聞こえたはずだけど─────


よくよく聞くとその声は後ろから聞こえた。



「江波さんとかのちゃんがいるやん………。」


真後ろから傘をさしている俺になんの躊躇もなく飛びついてきた。



「あ、あの…。東奈くん。後ろに抱きついてるのは彼女さんですか?」


ピュアなのか江波さんは後ろにくっついているかのちゃんに動揺していた。


というよりもショックを受けているようにも見える。



「ん?あなたは誰ー?かのんはかのん!ししょーはししょー!」



江波さんは必死に頭を回転させているけど、訳が分からなくなっている。


冷静な分析をしている俺も今どうなってるかよく分からなかった。



「江波さんが思ってるような関係じゃないよ。だから、とりあえず落ち着こう。俺もよく分かってないし。」



俺は笑ってそう答えた。


江波さんも釣られて笑って少しは落ち着いたようだ。


そんなことより俺の後ろに爆弾が引っ付いている。



「かのちゃん…ちょっと一旦降りてくれないかな?」


「はーいっ!」



元気よくそのまま飛ぶように降りた。



「その傘と帽子はなに!?」



どこから持ってか分からないが和傘をさして、頭に麦わら帽子を被っている。


驚くことに私服じゃなくて、制服なのはヤバいくないか?



俺は思ってもいないような事がどんどん起きたので、この30分くらいで一日で使う脳の機能が終わった気がした。



俺は何も考えずに2人の女の子を連れていくことにした。


周りの目が少し痛かったが、いち早く家に帰ってかのちゃんが何故ここにいるか聞かないといけない。



間違いなく桔梗と同じ学校というのを聞いてたはずだ。


普通ならまず桔梗に挨拶するんだろうけど、桔梗がいないってことは目的は最初から俺だったんだろう。



家から学校まで近いはずなのに、今日に限ってはかのちゃんの質問攻めなどで家までがやたら遠く感じた。



「とりあえず2人とも家に上がって。」


「はい。お邪魔します。」

「お邪魔しますー!」



かのちゃんは靴を脱ぎ捨てて家の中に入るかと思ったら、靴を丁寧な所作で整えてから家に入った。



「あの東奈くん。彼女は一体…。」



「俺も説明したいんだけど、まじでよく分からないんだよね。分かってることはおてんば娘で滅茶苦茶足が早いってことくらい。」



「ねぇ、ししょー?野球しようよー。桔梗が言ってたんだ。ししょーの家なら雨でもたくさん練習出来るって。」



「桔梗ちゃんの入れ知恵かよ……。いや、桔梗ちゃんのせいではないか。」



かのちゃんの話をまとめると最近雨で練習できず、昨日も練習の途中で雨が降って練習が中止になったらしい。


それで桔梗が俺のところなら練習出来るという話を聞いて飛んできたみたいだ。



「江波さんも来るの早かったけど、学校は?」



「今日中間テストだったんだ。いつもよりも終わるのが早かったからちょっと驚かせようと学校まで来てみたんだ!」



なんていい子なんだ。


せっかく来てくれたんだから丁寧に指導をしてあげないと。

早くもコーチとして江波さんを立派な選手にすると意気込んでいた。



「それで、かのちゃんは学校は……?」




「え?途中で帰った!野球したかったし!」


「まぁ、そうだよね…。」



かのちゃんなら学校を急に早退するなんて日常茶飯事かもしれない。



「2人とも練習場に行くけど、ちゃんと着替えは持ってきたよね?」



「「はーい!」」



俺は室内練習場に案内し、着替えをそこでしてもらうことにした。

俺も自分の着替えのために部屋まで戻った。



着替えの途中で乱入しないように、結構時間を空けて室内練習に行くことにした。



流石に15分くらい経っていけば大丈夫だろう。


室内練習場に入ると仲良さそうに二人一組のストレッチをやっていた。


「し、ししょー!なつみちゃんね、お胸がね…。」


「あー!!そんなことを言っちゃダメ!」



何かいいことを聞けそうだったが、江波さんの鉄壁の守備で阻止することに成功していた。


思ったよりも2人は仲良くしていた。

お互いにタイプが違う明るさなのがよかったのもかもしれない。


最初は困惑していた江波さんも、変わった子ではあるが決して悪い子ではないかのちゃんのことを受け入れていた。


俺は少しだけかのちゃんに期待をしていた。


俺は走塁、盗塁を得意にしていたタイプでないので、江波に教えてもらえたらいいんだが…。




「江波さん、ちょっと来て。」



「はーい!どうしたの?」




「かのちゃんのプレーはよく見ておいた方がいいよ。彼女この前の大会のMVP選手で実力は確かで、盗塁と走塁技術は凄いから、今日は走塁、盗塁練習出来るかどうか分からないけど教えて貰えるなら教えてもらった方がいいよ。」




「うん!わかった!」




そういうとかのちゃんの元に戻り、談笑しながらストレッチを続けていた。



そして、その後2人はキャッチボールをしていた。


横でその姿を見ていたが、一応投手である江波さんよりも速い球をかのちゃんが投げていて少し悲しい気持ちになった。




「江波さんちょっと投げ方教えるから、こっちにきて! かのちゃんはバッティングマシンセットしておいたからちょっとそれで打撃練習しててー!」




江波さんは投球フォームは結構大きなフォームで躍動感のあるフォームに見えるし、下半身の使い方も悪くなかった。



「んー。どうしよう。」



俺はちょっとした葛藤と戦っていた。




「ん?どうしたの?難しい顔して。」



「ちょっとだけ身体触らせて貰えない?セクハラとかじゃなくてちょっとどれくらい身体かどうか確認したくて。」




どれくらいの身体が確認したくてって言い方がもう普通にアウトだろう。


それ以外になんて言えばよかったかも分からなかったので誠意を見せれば大丈夫だろう。




「え?エッチなことするんじゃないよね…?」



俺の事を信じてくれてるためか、嫌がらないところがなぜか逆にエロさを感じる。



「そんな事ないない!これも一流選手になる為に必要なんだ!」




そういうと身体を触らせてくれたが、ガチガチに緊張してるのか全然何も分からない。




「流石に緊張しすぎでこれじゃ何も分からないよ…。」




「流石に恥ずかしい!どうにかならないの!?」




「困っているようだねぇ。ここでかのん様が助けてあげましょー!」




俺は素直に力を借りることにした。

1回1回指示を出してあらゆる角度から身体を押して可動域を見たり、身体の柔軟など全身くまなく調べあげた。



「次は、ここにある筋トレの器具を使ってどれくらいどこの筋力があるのかを調べるね。」




かのちゃんは体を調べるといつの間にかいなくなっていて、バッティングマシンで快音を室内練習に響かせていた。


相変わらず綺麗な1本足のフォームだ。




「うーん…。江波さんちゃんと筋トレしたりしてる?」




「えっーと…。筋トレ凄く苦手で全然やってない…。」




筋力測定しようとしたが、あまりにも筋力が足りておらず測定どころじゃなかったので質問してみた。



唯一まともなのは走り込みで鍛えた下半身はしっかりとしていた。




「とりあえず、今から教える筋トレ方法8つ位あるからそれを決まった日にやろうか。これは小学生でも出来る体に負担がかかりづらくて、筋力量が少ない人でも出来るように作ってあるからそれをまず覚えよう。」




「わかった!頑張る!」




俺は江波さんをマンツーマンで指導していた。

普通にかのちゃんのことを忘れていた。





「ししょーーー!!野球やろーよー!」




おてんば娘を放置するには流石に時間の限界だった。

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