表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元天才選手の俺が女子高校野球部のコーチに!  作者: 柚沙
第1章中学生時代
21/280

合同練習!!



3チームずつに分かれて各球場で合同練習しているところを30分おきくらいにグルグルと回って色んな選手を見ていた。



ちょうど二週目に入ったところで、遂に俺のお眼鏡にかなう選手を見つけることが出来た。



あれだけ野手を探していたのに、俺がいいと思った選手はまさかの投手だった。



彼女の名前と所属チームは…。



原ドリームガールズ

七瀬皐月(ななせさつき)



投手能力


最高球速 118km/h

コントロール 55〜60

平均球速 114km/h

変化球 カーブとフォーク系の2種類?

投球フォーム

かなりシンプルなオーバースローで、ここまで無個性な投球フォームも珍しいくらいの普通のフォーム。

スタミナ 不明

フィールディング 不明

クイック 不明

牽制の上手 不明




俺はスピードガンを持参している。

高性能なやつらしく、姉がスポンサーにお願いして去年くらいに家に持って帰ってきたものだ。



中学女子の平均球速は97km/h。

投手だけに絞ると103km/hらしい。


七瀬さんは中学3年になったばかりで118km/hを投げれるなら、高校生になるまでしっかりとトレーニングを積めば120km/hは余裕で越してきそうだ。




女子プロ選手で歴代最も球が速い選手は、フェアリーズの不動の抑えの白石詠選手の137km/hだ。


アマチュアを合わせるなら甲子園で姉が出した144km/hが最速だ。


ストレートのスピードはやっぱり大きな武器である。


120km/hと言われると速くはないように感じるが、平均値からすると相当高いレベルのストレートだ。


女子中学野球なら大体105km/hから早くても110km/hくらいでしかマシン打撃を行わない。



120km/hや130km/hを打てばいいと思われるが、速い球を打ちすぎるとスピードが遅い投手にタイミングが合わなくなる。



俺も160km/hの投げる投手を打つために、マシンを前に設置して体感160km/hのストレートを打つ練習をしていた。


その練習やっていた時、110km/h前後のストレートと100km/h切るくらいの変化球を使う軟投派投手に全くタイミングが合わず打てなかったということがあった。



相手が投げる平均の直球をしっかりと打つ練習をしておくことが一番大切なことになる。


だからこそ、平均を大きく超えている七瀬さんのストレートはかなり魅力的であった。



だが、投球練習を開始して30球くらいで投球練習を中断してしまった。



「こら!七瀬!ピッチング練習ちゃんとせんか!」


「今日はこれくらいでいいです。 肩とか肘とか壊したくないですし。」



「お前はもっと練習すればすごい投手になれる!だから、俺の言うことを…。」


「うちは投手じゃない!試合に勝つために練習はするけど、投手になったつもりは無い!」


合同練習の最中でもお構い無しに監督と七瀬さんは言い合いをしている。

話の内容から唯一分かることは、本当にやりたいポジションが他にあるということだった。



「えーと。去年の彼女の大会成績は…。」



去年彼女はほとんど投手としてしか出場しておらず、成績もかなり平凡だった。


普通ならそのままエースになったのだろうが、本人が希望していない以上はピッチャーとしては大成しない。


それでも監督の方針には逆らえず、投手としての出場ばかりになっていたみたいだ。


野手として出場した試合が2試合あって、そのどちらも捕手として出場していた。



彼女の希望のポジションはキャッチャーなのか?


まだ監督と言い合いを続けながらも、キャッチャーミットと防具をつけてチームメイトのボールを受けようとしている。



「なつみ!あなたがエースなんだからどんどん投げてきなさい!」



そうピッチャーに喝を入れると、なつみと呼ばれていた投手が投球練習を開始した。



なつみと呼ばれる少女の投球練習をそのまま見学していたが、とにかく球が遅い。

コントロールはかなり良さそうだが、カーブは山なりで相当遅い。



最速99km/h、変化球が70km/h。

この球をよくコントロール出来るなと思って感心していた。


エースになれるような投手ではないと思うが、七瀬さんとなつみさんの2人を試合で上手く使えば、球速差があってよさそうだなと思っていた。



「江波!もっとシャキシャキ投げんか!」



なつみと呼ばれる選手のデータを探そうとしていたが、監督に苗字で呼ばれてフルネームが分かり資料から探すことが出来た。



江波夏実(えなみなつみ)


2年時はベンチ入りしているけど、大会にほとんど出場していない。

大差がついた試合に1試合に登板するだけに留まっていた。


七瀬さんが捕手として出場した試合で投げたのが江波さんだった。

投手として登板していないときはたまに外野手として出場しているみたいだ。



「江波からも七瀬にピッチャーをやるように言ってくれないか?そうしたら江波もレギュラーで使えるんだけどな……。」


中々したたかな監督だな。

自分が思ったようにならない選手を、仲の良さそうな選手に説得させようとしている。

その見返りとしてレギュラーというご褒美をチラつかせている。


それほどこの監督は七瀬さんの投手としての能力を買っているということだ。



「───はい。頑張って説得はしてみます……。」



傍から見てても見てて気持ちいいものではなかった。


俺自身はレギュラー争いというものをした事がなく、今の江波さんの心情を分かってあげられない。


もし俺がベンチの選手だったとして、レギュラーになれるとしたら友人を説得するだろうか?


相手を騙したり、危害を加えるわけでは無いのが救いだろう。

ただ投手をやってもらうだけで、自分はレギュラーとして試合に出れるのだから。



俺は彼女たちの行く末が気になっていた。

でも今は選手達の内情を偵察する為にここにいる訳じゃない。


でもあの二人にはいい方向に転んで欲しいと思っていた。

俺では手助けできることもないので、他の球場を見に行くことにした。



昼休憩が終わって午後の練習が始まっていた。


試合形式の練習でピッチャーは全力で投げず、バッター打たせてその打球を守備が処理して、打ったバッターもしっかりと走る。


いわゆる実践的な総合練習をやっていた。


この練習ではバッターはヒットを打てばいいという訳ではなく、バッターがランナーを進めるために内野ゴロを打ったり、外野フライを打つなど目的を持ってやっている。


さっきの二人は守備に就いていて、江波さんはレフトの守備につき、キャッチャーは七瀬さんが守っている。


江波さんの守備は上手くはないが、カバーの意識も高く、一球一球真剣にプレーに取り組んでいた。


こういう選手は周りにもいい影響を与えることが多い。


自分が絡まないプレーでもしっかりと声を出して指示をしているし、チームメイトがエラーしても被害を最小限に抑えられるように毎回カバーもしっかりとやっている。


江波さんは献身的なプレーを信条とした選手なのかもしれない。

周りよりも実力で劣っていたとしても、そんなことは関係なく野球に対しての真摯さを感じさせられる。



江波さんのプレーも気にはなるけど、本命はキャッチャー?の七瀬さんだ。

彼女のキャッチャーとしての能力はどのくらいなのか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ