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元天才選手の俺が女子高校野球部のコーチに!  作者: 柚沙
第4章 高校1年秋
181/280

三者面談②!



「失礼します。お疲れ様です。予定よりも早く順番が回ってきて焦って来ました。」



「聖ごめんね。橘と四条だったからか思ったよりも早く終わっちゃってね。」



「まぁ、あの二人なら時間いっぱい使うことなさそうですしね。」



入室してから緊張感なく、監督と大湊先輩が和やかな雰囲気で雑談をしていた。


それよりも監督は聖と呼んでいただろうか?


基本的には全員苗字で呼ぶようにしたと言っていたが、もしかしてプライベートの時は下の名前で呼ぶんだろうか?



監督からすれば自分が就任して1年目の時の1年生で、初めてスカウトした選手たちなので可愛いんだろう。



俺も桔梗達に近い感情があるので、監督も間違いなくそうだと思う。




「それじゃ面談始めようか。」



「はい。よろしくお願いします。」




大湊聖

11月30日生まれ

右投左打

身長164.2cm

体重55.8kg

趣味 猫と遊ぶこと

特技 泳ぐこと




公式戦成績


出場試合数6

打率.375

出塁率.500

得点圏打率.500

打席数20

打数16

安打6

本塁打0

打点1

得点5

四死球4

盗塁1

犠打&犠飛0

失策1



スイングスピードA

50M走A

一塁到達スピードA

ベースランB

遠投B

ゴロ捕球能力&判断能力S

フライ捕球能力&判断能力B


投手適性1

捕手適正1

一塁手適正7

二塁手適正9

遊撃手適正10

三塁手適正9

左翼手適正5

中堅手適正6

右翼手適正5



白星キャプテンで精神的支柱でもあり、センターラインの要でもあるショートを守り、中軸を打つ大湊先輩はテストでも全体的に好成績を叩き出している。



公式戦の打点1はあんまり褒められた数字ではないが、得点圏打率は5割あるのでチャンスに弱いという訳ではない。



巡り合わせが良くないのか、そこまでチャンスで回ってきていない。


かのん、氷が前を打つことが多いけど、あまりチャンスで回せていない?


練習試合の結果とかも加味すると、もっと納得出来る成績になるけど、練習試合は相手の強弱があまりにもあって、結果を見るのは公式戦だけに絞った方がいいという話になった。




「Sって全選手で1番ってことですか?」



「そういうことになるね。ゴロ処理は聖が1番上手いって判断になったね。」



「評価されると嬉しいですね。これってかのんも踏まえての評価ですか?」



「四条は怪我でテスト受けられてないから、全て除外してあるね。」



そう聞くと少しだけ残念そうな顔をしていたが、俺と監督の評価が高いことに喜んでいるみたいだった。




「かのんも内野守備上手いですからねー。私とどっちが上手いんだろ。」



「どうですかね。基本的に堅実なプレーをする大湊先輩と、感覚と閃きでプレーするかのんとでは比べづらいですね。」




「監督としては、聖みたいな選手は計算出来るし、努力でここまで来てるの知ってるから、私は聖の方が上手さで言えば上手いと思うけどね。」



「俺も上手さでいえば大湊先輩だと思いますよ。かのんは上手さというよりも上振れした時の爆発力があるって感じですかね。」




その後も監督と大湊先輩との軽い会話が続いて、たまに俺がそこに入る形になっていた。



大湊先輩は監督とよくコミュニケーションをとっているし、俺とも技術的な面では話すことも多い。



なので、俺自身は今更改まって話すことはなかった。




「それにしても聖は野手転向して1年半でよくここまで来れたね。元々野手に転向させるつもりでスカウトしたけど、投手から野手になった時もそうたけど、すぐに決断してくれてありがとうね。」




「私も投手としてスカウトされて嬉しかったんですけど、監督から野手の才能があるって言われた時に、信じてみようって思えたので。」



「大湊先輩って元々どんなピッチャーだったんですか?投手としての適正1って元ピッチャーとは思えないんですけど…。」



「はは。聖はそうだねー。ノーコンの中田って感じかな?気持ちは強いし、キャプテンシーもあるけど、試合をぶち壊すことが多いっていう空回りしてる感じ?」



「もー!それはもういいでしょ!私だって好きでノーコンだった訳じゃないですよ!」




大湊先輩の昔の話をもう少し聞いていたかったが、話をぶった切られたのでまた今度聞いてみよう。



「私からは一つだけ聞いておきたいことがあるんですけどいいですか?」



大湊先輩はさっきまでと様子が少し変わっていた。


多分、真剣に聞きたいことがあると言った感じだ。




「私たちはこのままで甲子園に手が届くと思いますか?」



「うーん。どうだろうね。」



監督は少し考えて、監督とは思えないくらいに曖昧な返事をしていた。




「今のままだと無理じゃないですかね。大湊先輩もそう思ったから聞いてきたんじゃないんですか?」




「よく分かったね。私はこのままじゃ甲子園は無理だと思う。」




何故そう思うのかを聞いたら、友愛の試合をずっと見ていてそう思ったらしい。


夏合宿の時は最初の1年生試合以外は、1勝もすることが出来なかった。



あの合宿はフルメンバー同士の試合がなかったので、フルメンバーなら勝てる可能性があるとずっと思っていたらしい。



けど、近くで友愛の強さを目の当たりにしてその認識が甘かったと気付いたみたいだ。


九州大会の準々決勝では、福岡商業を12-3の4回コールドであっさりとねじ伏せていた。



その他にも2回戦では筑後地区の強豪、西日本大学付属にもコールド勝ちして、準決勝の波風に負けるまでは全ての試合をコールド勝ちしていた。



準決勝で負けたのに、波風に続いての得点2位という全国レベルの打撃能力は、あっという間に世間に広まっていった。



そんな友愛の闘いを見ていたからこそ、2年生は危機感を覚えた選手もそこそこたらしい。




「この冬次第じゃないですかね?死に物狂いで練習すれば、差は縮まると思いますけど。」



「私は監督と東奈くんが決めた練習なら、どんなにきつい練習でもついて行くからよろしくお願いします。」




最後にそれだけを言い残して大湊先輩は部室を後にして行った。


俺は大湊先輩に信頼されているのが大きいと思っている。


大湊先輩は2年生からも1年生からも信頼が厚いし、そんな選手から信頼されていると何か問題があった時に助けになってくれるはず。



大湊先輩と話していると、面談中なのを気にすることも無く、次の先輩が入室してきた。



「聖終わった?もう入っていい?」



「舞…。時間が来たからってノックもせず入ってくるのはどうかと思うよ…。」



「ひじりん…ごめんね?ダメって言ったんだけど、舞が大丈夫って言って押し切られちゃて…。」




瀧上先輩がずかずかと部室に入ってきて、その後ろに小動物のように小さくなって、様子を伺いながら進藤先輩も恐る恐る部室の中に入ってきた。




「あれ?桜?明日の1番目だったはずだけど…。」



「ごめんなさい!明日どうしても用事が出来ちゃって、曜日変更をお願いしようと来たんですが、舞が一緒に面談しようって…。」




「はぁ…。舞らしいっちゃらしいけど、ちょっと桜の分も用意するから、東奈くんとの面談を始めておいてくれる?」




選手二人と俺という想定していない三者面談になった。


面談の終わったはずの大湊先輩もどこからか椅子を持ってきて、なぜか参加する気満々でいた。




「キャプテンとして、選手たちの声を聞くのは当たり前だろ?舞達も別にいいよね?」



「聖なら別にいいかな。」


「そうだね。ひじりんなら大丈夫。」



大湊先輩は下級生だけでなく、同級生からもしっかりと信頼されているみたいだ。


監督はここまで見込んでスカウトした訳ではないだろうけど、2年生で1番の掘り出し物は間違いなく大湊先輩だろう。




「お二人はあんまり仲良くしてるイメージないんですけど、今日はたまたま一緒になった感じですか?」



「うーん。仲良いんだけどねー。私たち2年生って練習中とか基本的に喋らないようにしてるの。」




2年生は結構おしゃべりな人が多いイメージがあるが、練習中にふざけていたり、雑談しているところをそんなに見ないなと思ったら、意識して話さないようにしているみたいだった。



けど、別に練習を真面目にやっていたら普通に話してもいいと思う。




「それはいいとして、まずは瀧上舞が東奈くんに質問しまーす。」



瀧上舞

7月21日生まれ

右投右打

身長159.7cm

体重53kg

趣味 読書

特技 漢字検定準1級



公式戦成績



出場試合数6

打率.250

出塁率.294

得点圏打率.400

打席数17

打数16

安打4

本塁打0

打点1

得点1

四死球1

盗塁1

犠打&犠飛0

失策0



スイングスピードB

50M走B

一塁到達スピードB

ベースランB

遠投B

ゴロ捕球能力&判断能力A

フライ捕球能力&判断能力S


投手適性2

捕手適正3

一塁手適正5

二塁手適正8

遊撃手適正7

三塁手適正7

左翼手適正9

中堅手適正10

右翼手適正9




完全に守備型の選手で、スイングスピードも足もそこそこなレベル。


スイングはそこそこ速いけど、やっぱり確実性がないのが打率や出塁率に出ている。


高校野球で高性能のバットを使っていれば、最低でも3割くらいは打って欲しいところではある。



練習試合の成績と合計すると3割をギリキリ越していたけど、三振も併殺打もそこそこ多いので、もっと確実性のあるバッティングを身につけて欲しい。



守備に関しては、完全に美咲の上位互換な感じだ。


外野守備はセンターが本職だけど、チームの誰よりもライトもレフトも上手い。



外野の層が薄い白星の守備の要として、来年もスタメンとして試合に出ているだろう。




「打撃の指導をしてもらってから、ずっと練習してるけど、イマイチ試合で結果を出せないんだけど、このままで大丈夫?」




「大丈夫です。取り組み始めて、しっかりと変化は俺の目で確認してます。ただ、瀧上先輩はこれまでの感覚と、矯正したフォームでの()を意識してますか?」




「差?差ってなに?」



「これまでのフォームと変わっているのに、これまで通りに振っても意味ないですよ?感覚のすり合わせがまだ上手くいってないんだと思います。これもこの冬で詰めていきましょう。」




「なるほど。今年の冬は打つ方を頑張らないといけないね。」



瀧上先輩は俺の言うことに納得したようで、それ以上は俺に聞きたいことがないのか、大湊先輩と話し始めた。



「あ、あの…。東奈くん。私も一つだけ質問してもいいのかな…?」



「もちろんですよ。なんでも聞いてください。」



「私ってどのポジションを守った方がいいんと思う…?」



進藤先輩は1年生に泣かされている選手の1人で、自分のポジションには入ってきた選手がレギュラーを取っている。



元々のポジションはサードで、元キャプテンの末松先輩が不動のサードだったので、追いやられる形でファーストにコンバートした。



ファーストにしては身長が低いけど、ハンドリングが上手いのでいいファーストだと思っていたが、レギュラー争いの相手が桔梗なのは流石に厳しかったみたいだ。



セカンドも守れたが、そこにもかのんというライバルがいて元々のサードに戻ったが、1年では月成や美咲がいて、剣崎先輩ともサードのレギュラー争いをしないといけなかった。




「ごめんごめん。桜のやつ出来たから、東奈くんと桜の話に役に立ててみて。」





進藤桜

12月24日生まれ

右投右打

身長157.3cm

体重49.2kg

趣味 裁縫

特技 華道




公式戦成績



出場試合数4

打率.250

出塁率.333

得点圏打率.000

打席数9

打数8

安打2

本塁打0

打点1

得点0

四死球1

盗塁1

犠打&犠飛0

失策0



スイングスピード C

50M走 B

一塁到達スピード B

ベースラン B

遠投 C

ゴロ捕球能力&判断能力 B

フライ捕球能力&判断能力 B


投手適性0

捕手適正2

一塁手適正6

二塁手適正8

遊撃手適正5

三塁手適正7

左翼手適正7

中堅手適正5

右翼手適正7



公式戦では出場機会があまりなかったので、そこまで成績はよくなかった。


進藤先輩のようなタイプのバッターは、レギュラーでフル出場することで真価を発揮する。


小技が出来て、球数を稼ぐためにボールをカットも出来る。


この成績には相手にどれだけ球数を投げさせたかとかがわからない。



俺は毎回スコアブックをつけているので、そういった成績には残らないけど、確実にチームの為に献身的にプレーしているのを俺は知っている。



野球頭脳もあるし、走攻守にセンスも感じられる。



それでも自分の殻を破ることが出来ない感じがしている。


いい選手になる素質を持っているのに、どうしたらいいかをずっと迷っているのかもしれない。


男性恐怖症なので、監督に指導を仰いでいるが、監督の指導があまり進藤先輩には合っていない可能性もある。



逆に一年にも俺の指導が合わずに、成長しきれていない選手もいる可能性は大いにある。



それも進藤先輩が俺の事を受け入れてくれれば、判断出来るがそれを乗り越えるのも進藤先輩次第だろう。





「これが私の評価ですか?」




「ま、一応ね。」




「これを見ると私ってセカンドが1番適正があって、ライトレフトも結構適正がある感じですかね?」




「これだけを見るとそうですね。後は進藤先輩のこだわりとかが重要になってきますね。」




「私がどうしてもレギュラーを取りたいって言って、層の薄そうな外野にまたコンバートしたいって言ってもいいのかな…。」




「俺はいいと思いますよ。それが出来るだけの適性はあると思いますし、どうしても試合に出たいならコンバートはありですよ。外野の層は今のところ薄いですしね。」




進藤先輩は綺麗な髪の毛を指で弄りながら、かなり難しい顔をしていた。



多分、またコンバートすることによってどのポジションも中途半端になってしまうと分かっているんだろう。



オールラウンダーというのは、どんなポジションでも出来るのが最大の利点ではあるけど、各ポジションにスペシャリストがいると守るポジションが無くなる。



レギュラーが怪我したり、途中交代をしたり、とてもありがたい選手だけど、レギュラーを取るにはそれ以外にも更にひとつ能力が必要となる。




進藤先輩、美咲、月成はオールラウンダーでみんな似通った選手だけど、試合での結果が1番いい月成が1歩リードと言った感じだ。




「冬トレの時間は長いですし、もし本気で挑戦するなら、外野をある程度マスター出来るくらいにはコーチ頑張りますよ。」




「ありがとう。よく考えてみるね。」




丁寧に俺にお辞儀をしてくれて、そのまま監督と女性3人で仲良さそうに話を始めた。



やはり、監督は現二年生のことを気に入っているようだ。


それでも贔屓せずに試合には実力重視で使ってくれている。



俺も先輩だからと尻込みせずに、頼られたら一年生と同じように全力で指導しないといけないと改めて思った。




「東奈くんどうする?私たちは少し話していくけど、ここにいてもいいし、帰るなら帰ってもいいけど。」




「それなら先に帰らせてもらいます。先輩方も監督も今日はお疲れ様でした。それでは失礼します。」




「お疲れ様ー。」


「またねー。」




俺は悩むことなく、すぐに自分の鞄を拾い上げて足早に部室を後にした。


教室に戻ろうかと思ったが、またあの話の続きが待っているかもしれないので、オレはそのまま家に帰ることにした。



グランドの側を通って帰っていると、何人かが自主練に励んでいた。


二年生と一年生が一緒に混ざって仲良く練習しているのを見て、今日は楽しく野球をさせてあげようと思った。



俺は声を掛けず、見つからないようにそのままグランドを後にした。






三者面談は改めて選手紹介編みたいになると思います。

選手紹介編はとても書きやすいので、投稿スピードも上がりそうです。

なにか感想とかがあれば、たまには感想とかを書いて貰えるととても嬉しいです!

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