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元天才選手の俺が女子高校野球部のコーチに!  作者: 柚沙
第4章 高校1年秋
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秋季大会!



夏休みも終わり、秋季大会へ向けて土日は練習試合が多くなっていた。




毎日の練習はハードトレーニングからはかけ離れたもので、みんなが気持ちよく練習をしてモチベーションや調子が上がるような調整的な練習を行っていた。




凛も肉離れから復帰して、梨花も広島に帰ってリフレッシュ出来たのか、いつも以上に力が入ってるように見える。




雪山も前よりも真面目に基礎練習に励んでいる。


基礎練習組はこの大会はベンチ入りするのは難しいかもしれないが、来年の夏にベンチ入りやレギュラー争いにくい込んできて欲しい。




レギュラー争いはポジションによってはかなり過熱してきている。



ファースト、セカンドの桔梗とかのんは確固たる位置を手にしている。



1年生ながら3年生に交じってレギュラーを取った2人がレギュラー落ちするとは考えずらい。



ほぼレギュラーが決まっているのは、ファーストの桔梗、セカンドのかのん、ショートの大湊先輩、センターの瀧上先輩だろう。




「よぉ。9月って言っても夏じゃねーか。」




「梨花か。どうした?」




「提案したいんじゃけど、もしワシが背番号貰えるんだったら、背番号19にしてくれるように頼んでくれねぇか?」




「エースナンバー貰えるとしても19がいいん?」




「19がいいわ。小中どっちも背番号19だったし、誕生日も1月9日なんじゃ。」




誕生日は一応みんなの分は覚えておいて、選手の好きな物をささやかながら送ってあげている。



流石に梨花の背番号までは考えたことがなかった。


確かに女子高校野球では、セオリーを無視してエースナンバー18を付けている投手もいることにはいる。




「それでやる気になるならちょっと聞いてみる。」




「やる気というよりも、出来ればでいいから。」




俺は背番号にはこだわりはないし、逆に背番号2以外を貰ったことがなかったので、背番号2がしっくりはくるかもしれない。



流石に自分から背番号をこれにしてくれといわれるとは思わなかった。



当日までかなりドキドキしながら背番号をもらって、レギュラーに入ったりベンチ落ちしたりとそこらへんでもドラマがあるとも思っている。




女子野球は男子野球とは違って、1人のエース投手というよりも、長い試合を戦うために2人のピッチャーが交互で投げることで、半分半分を全力で投げられるようにしてるところも多い。




うちも梨花と海崎先輩とのWエースで、どちらがいいとか悪いとかはない。



左のアンダースローという希少性と、その完成度はエースにふさわしいが、梨花のまだまだ伸び続けるであろう、才能を感じる投球もまたエースだとも言える。




実際、チームでも1年生であれだけのストレートとスプリットだけで抑える選手はほとんど居ない。




逆に海崎先輩は、ほぼ無くなりつつあるアンダースロー。


小さい体と、見た目からは想像出来ないほどの鍛えられた体幹と、チームで1番の関節の可動域と体の柔らかさ。





「この2人がどれくらい抑えるかが勝ち抜いていく鍵になるかな。」




七瀬もいることを半分忘れていたが、やっぱりこの2人に比べると少し格落ちしてしまう。



余裕のある試合があれば、七瀬も登板することもあるだろう。




9月の中旬から始まる秋季大会は、春の甲子園を目指す大切な公式戦である。



夏まで強かったチームであっても、3年生が抜けて新チームになるとチーム事情がだいぶ変わる。




今年の夏、甲子園に出場した天神女学院、城西高校でも新チームになって強さがそのままかどうかは分からない。




俺と監督はチェックできるチームはチェックしておいたが、天神女学院は世代交代が上手くいっており、多分福岡県大会はあっさり勝ち抜くだろう。



白星高校と比べるとかなり差がある。


投手力だけはいい勝負できそうだが、総合力的な面で見ると10回やって1回勝てるくらいのレベルだろう。




城西はバランスがよく堅守のチームだが、ピッチャーの力不足が少しだけ気になる。


ロースコアの勝負になるとかなり強さを見せるが、早めに相手の投手を打ち崩せば勝てる可能性ある。




福岡の4強と言われる高校で、他に気になるのは柳生の姉のいる福岡国際高校。



福岡最大の女子野球部の人数で、やっぱり人数が多いのというのは色んな選手がいる事が多くなる。



打撃のスペシャリスト、守備のスペシャリストをスタメンではなく、ベンチに置いておいて使われるとかなりキツい。



ベンチいる選手に特殊な選手がいるとなるとデータもないし、対応が後手になった時には時すでに遅しということも考えられる。





選手同士の実力が拮抗していて、日によってスタメンがコロコロ変わるということは高校野球では少ない。



レギュラーというのはそうそう簡単に変えられないからこそ、背番号1桁としてチーム代表として選ばれるのだ。





うちのチームは他のチームに比べて、スタメンが結構変わることが多いかもしれない。



特に、1年生は美咲や月成などはスタメンでも途中交代でも場所を問わず活躍できそうだ。




2年生にもそういった選手が多いので、その日の相手を見てスタメンを変える可能性は大いにある。




「東奈くーん。ちょっときて。」




俺は昼休みに食堂でご飯を食べ終わった瞬間に監督に呼ばれた。




「蓮司、悪いけど片付けしといてくれ。」




「あいよ。」




蓮司に片付けをお願いすると、一切嫌そうな顔もせずに見送ってくれた。



監督について行くと、指導室に監督と二人きりになった。




「これがメンバー表。この前は全く教えてなかったけど、後2週間で大会も始まるし、スタメンの選手たちを見て欲しいから。」




俺は背番号が振り分けられたメンバー表を見てみた。



少し思うこともあったが、俺と監督とでは選手の評価も違うだろうし、選手のプレーの好みも違う。



監督と同じキャッチャーだが、これまでやってきた野球も違うし、監督は結構苦労して野球をやってきている。




「うーん。俺はスタメンとかを決めないと勝手に決めてるので、文句はないんですけど、スタメンはこれで基本固定で行くんですか?」




「いや、そんなことは無いね。試合によってはスタメンは結構変わると思う。だから、背番号は上級生優先にしてるだけだよ。」




それだったら俺もこのメンバーで特に文句はない。




「いいんじゃないですか?」




「それじゃ、これで行くよ。このメンバー発表は今週の金曜日にするから。」




「わかりました。それでは失礼します。」




「あ、そういえば梨花が背番号19がいいと言ってましたよ。」




「西さんが?うーん。一応わかった。」






俺はその場を後にして、教室に戻る間さっき見たメンバー表を思い出していた。



スタメンを変えるとは言っていたが、途中交代についてはどう考えているのだろう?



監督がこれからチームを引っ張っていくからこそ、俺があんまり口を出さない方がいいと思ったが、勝つ為ならそこらへんまで突っ込むべきかもしれないと思っていた。




俺はあと2年しかここのコーチをしない。



可能性として、卒業してもコーチとして雇われる可能性もあるが、俺がこの先どうするか決めてもいないし、卒業してもそうなる可能性は低いような気もする。




コーチはとてもやりがいがあるし、将来指導者になるのもいいかなと思っているが、やるなら大学に行って教員の免許を取って、教師と監督として両立していきたい。




これも例えばの話になるのだが。




今は俺の先の話よりも、チームの勝利と選手達の成長が重要なのだ。



まずは公式戦を一勝しないことには、白星高校としての本当のスタートを切れていない気がしていた。






「こらー!ちゃんとボール追わんかー!」




大湊先輩が打撃練習で飛んだボールを拾っている外野に喝を入れている。



外野のボール拾いも、外野守備と思ってやれば結構打球判断もよくなるから、しっかりやれと言ってはいるのだが、真剣にやればやるほどキツイからか流石に全力でやってる選手も少ない。




夏実、凛、氷には外野守備はノックを受けるよりも、実際にバッターが打った打撃練習の時に打球がどこに行くか予想して動くように言ってある。



打った打球に追いついて捕れるのが1番だけど、自分がその打球を見てここに落ちるという予測をして、実際に落ちたところとの差を少しずつ埋めていくことで、外野手の感覚というのは鋭くなっていく。




俺はこのやり方で外野手のフライをマスターした。



キャッチャーだったから外野守備を受けることが少なく、どうしたら外野守備を上手くなれるかと考えた時に、球拾いでしか練習出来ないことに気がついた。




それからは積極的に打ってない時は外野守備をするために球拾いをかって出た。




夏実が1番それを実行していて、大きく離れて氷が実行しているようだ。



みんな一応俺の言う通りに打球の予測はしているが、ボールを追おうという気持ち自体はまだ少ないようだ。




レギュラー争いから落ちたメンバーと違い、外野陣のレギュラー争いしてる選手たちはバチバチしながら本気で取り組んでいる。




「東奈コーチ。教えてもらいたいことがある。」




「瀧上先輩。なに聞きたいんですか?」




「相変わらず打撃があんまりよくないんだよ。打てる時は打てるけど打てない時は打てないだよー。」




瀧上先輩は打撃がイマイチよくない。


守備だけでいえば、他の福岡の高校の選手たちをこれまで何人も見てきた中でも断トツで上手い。




福岡の中でもトップレベルだろうが、九州内でも屈指の守備力があると思う。



センスはあるのだが、どうにも打撃にムラがありすぎる。


打撃練習はかなりやっているおかげで、長打力はここ4ヶ月で伸びてきているが、試合でそれがなかなか発揮されていない。




打てなくはないが、打ち損じがかなり目立つし、芯に当たった時はボールもよく飛ぶが…。




「やっぱり始動が早いですよ。変化球が来た時に溜めて打つことが出来てないですよ。」




「どうしてもタイミングだけは染み込んでるから…。どうしたらいい?」




「それじゃ…。」




俺はティーバッティングのいつもと違う練習方法を試すことにした。


変化球の対応や選球眼を良くするために、ボールをワンバウンドさせてそれを打たせるトレーニング。



バウンドしたボールが打てないコースなら振らず、ボールがワンバウンドして落ち始める時にボールを打つ。



変化球を打つのと同じ要領で打つ為、落ちるボールへの対応力が上がる。




それともう1つ、後ろからボールを投げてそれを打つ。



後ろからボールを投げて、正面のネットに向かって真っ直ぐ打ち返す。



これはなかなか難しい。



後ろから来るボールを焦って打とうと思ってもしっかりと捉えられない。


後ろから来るボールをしっかり止まって打つ瞬間まで溜めて、真っ直ぐのそのまま打ち返す。




ブンッ!




「流石にそれは待ちすぎですよ。自分が捉えたい位置まで待って、そこで捉えれるようにタイミングを測って下さい。」




「うん。分かった。」




俺はトスを投げている先輩に、ネットに向かって真っ直ぐ投げるようにお願いした。



後ろから来るボールを打つにはスイングスピードも慣れも必要になる。




俺はあまりみんなに打撃を教えていなかった。


守備は基礎さえしっかりしてしまえば、ある程度はどうにかなるが、打撃を1から作り直すとなると時間も足りない。




『これは今年の冬だな。』




俺はチーム力を底上げするために、冬のトレーニングは選手たちをしごくしかない。





そして、3日後に監督とキャプテンの大湊先輩は福岡県大会の予選の抽選会へ向かった。



福岡は九州大会への出場枠が多く、秋季大会はベスト8まで出場出来れば、九州大会への切符が手に入る。



福岡は隣の県の佐賀や大分の2倍以上の女子野球部がある。



他の地域も力をつけてきて、九州は福岡と沖縄と言われていたが、ほかの県も甲子園で段々と結果を出してきている。




佐賀では、虹ノ松原高校。


長崎は佐世保中央が強豪だが、姉妹校の友愛が物凄い勢いで追い付こうとしている。


熊本は阿蘇大観峰高校。


宮崎は東都城高校。


鹿児島は霧島女子高校。


沖縄は春の甲子園3度優勝の琉球波風高校。




どの高校もレベルが高く、県内の有望な選手たちが県内に進学したい場合はそこにいくことが多い。



県外から選手を取ってくるというよりは、県内の有能な選手を囲って、地元優先で大切にしようとする姿勢は好感が持てる。




福岡だけは他県から選手をかなり引っ張ってくる高校が多い。


特に、福岡国際高校と天神女学院は県外から有望な選手を取ってくると有名だ。



一応色んな高校を調べたりはしているが、この知識が生きるほどまだ勝ち残れるとは思えない。




「みんな集合!!」




練習前に監督が全員を集合させた。


今からなんの発表があるのか分かっているからか、全員かなりそわそわしている。





「秋季大会の組み合わせの発表するよー。それと、ベンチ入りメンバーも決めたからそれも発表するからね。」




この前の夏の大会と同じように、マネージャーが背番号を持って監督の隣に立っている。



俺はこの瞬間だけは近くにいるだけでなにもすることがない。



発表を聞いて、ただ選手たちの表情を見るだけだ。




「背番号1番、海崎詩音。」




「はいっ!頑張ります。」



野球をするには小さい体で夏に続き、エースナンバーを勝ち取った海崎先輩。




「背番号2番、柳生愛衣。」




「はいっ!ありがとうございます。」



1年生で1番最初に選ばれたレギュラーはキャッチャーの柳生だった。


いつもクールな柳生でも、受け取る瞬間くらいはニコニコとしている。




「背番号3番、橘桔梗。」




「はい。頑張ります。」




桔梗は相変わらずいつものように落ち着いて背番号を受け取っていた。




「背番号4番、四条かのん。」




「はいはーい!ありがとうございます!」




かのんはささっと背番号を受け取って、みんなに見せびらかしながら、列に戻っていった。




「背番号5、剣崎香奈。」




「うっす!ぶちかましたりますわ!」




サードのレギュラーの座を手に入れたのは、フィジカルエリートの剣崎先輩だった。


確かに持っているパワーは友愛の最上さんレベルだ。



最上さんとタイプはそっくりだが、野球のセンスや実力でいえばまだまだ遠く及ばない。




「背番号6番、大湊聖。」




「はい!頑張ります!」




元投手から野手への華麗な転向で、ショートのレギュラーを勝ち取った大湊先輩。


キャプテンとしても、内野の要としても活躍が期待される。





「背番号7番、時任氷。」




「はい。がんばります。ぺこり。」




天才的な打撃センスを持つ氷がレギュラーに抜擢された。


守備、走塁面ではかなり穴になる可能性があるが、それを加味しても監督は氷をスタメンで使うことに決めたんだろう。





「背番号8番、瀧上舞。」




「はい。頑張ります。」




あんまり嬉しくなさそうというか、何を考えているか分からない。


それでも誰よりも練習しているし、俺の背後から急に話しかけてきたりと、やや変わったところがある。




「背番号9番、遠山苺。」




「はい。」




受ける時に軽く頭を下げて、そのまま何も言うことなく列に戻った。


瀧上先輩も変わっているが、遠山先輩はかなり無口だ。


守備、走塁は普通だが、ケースバッティングも出来るし、長打も打つことが出来る。


2年生の中では最も安定した打撃が出来るのが特徴だ。




レギュラーはこの9人となった。


1年生が4人、2年生が5人という1年生達もかなり頑張っている。




背番号10番から20番は基本的にはポジション毎だけど、あんまりそこら辺は気にしなくてもいいと思っていた。




「背番号10番、進藤桜。」




「はい。ありがとうございます。」



レギュラーに入れなかった、学園のアイドルの進藤先輩。


桔梗が来るまではファーストのレギュラーで、本職のサードでもレギュラーを取れなかった。


それでも進藤先輩は選手として物足りないところも多いが、基本的に出来ないことがない。




「背番号11番、月成姫凛灑澄。」




「は、はい!ありがとうございます!」




ピッチャー以外の全てを守れるという超のつくオールラウンダー。


俺もそういうイメージだったが、試合では高打率をマークしている実践に強いタイプだ。


個人の見解では、月成はレギュラーを取ると思っていた。





「背番号12番、七瀬皐月。」




「はい。頑張ります。」




今年は投手に専念しながらも、捕手としても成長する為に頑張っている。


初のベンチで嬉しそうにするかと思えば、悔しそうな顔をしている。



ここらへんはとても七瀬らしい。




「背番号13番、中田美咲。」




「はい!ありがとうございます!」




元気よく挨拶しながらマネージャーから背番号を受け取った。


美咲は投手でありながら、内野手としてかなり高い能力を持つ。


大湊先輩と同じルートを辿って、投手から野手への転向でいい選手になれると思っている。




「背番号14番、一場直美(いちばなおみ)。背番号15番、中西優里(なかにしゆり)。背番号16番、佐藤真紀子(さとうまきこ)。」



2年生の目立たない3人だが、ベンチ入りに滑り込んできた。


一場先輩は2年の投手で、中西先輩は第3の捕手で七瀬とレベル的には変わらない。


佐藤先輩は外野手で、打撃に自信がある選手だ。




「背番号17番、円城寺緒花。」




「は、はい!頑張ります!」



選ばれたことにビックリしているのか、円城寺らしくなく少し狼狽えていた。


円城寺は足がチーム1遅くて、代走や守備では使いづらいが、ここぞという時の一か八かの一撃を期待できる選手ではある。




「背番号18番、王寺凛。」




「はいっ!頑張ります!!」



凛は選ばれたことに驚くことなく、堂々と背番号を取りに来た。


肉離れも治り、チームでもかなりの瞬足とそこそこの守備力で途中交代で使われることもあるだろう。




「背番号19番、西梨花。」




「はい。頑張ります。」




背番号を呼ばれた時に俺の方をちらりとみて、軽く頭を下げたような気もする。



梨花はレギュラーメンバーではないが、下手するとエースナンバーをもらった海崎先輩よりも出番が多い可能性もある。




「背番号20番、江波夏実。」




「え、あ、はいっっ!!」




選ばれると思っていなかったのか、完全に油断していた。


みんなから少し笑われながら、急いで背番号を受け取りに来た。



夏実は入らないと思っていたが、夏の合宿に調子が良く、ベンチの中にいると声出しも誰よりも率先しているし、試合に出てるメンバーにも気を使える。



試合に出れる可能性は低いだろうが、チームのためになる人柄を買われてのベンチ入りだと勝手に思っている。





「この20人で秋季大会に挑みます。ベンチ入り出来なかった人も、しっかりとサポートして下さい。次の大会ではメンバーに入れるように頑張りましょう!」




「「はいっ。」」





「ベンチ入りしたメンバーは、ベンチ入り出来なかったメンバーの分も全力で挑んでください。九州大会進出、春の甲子園出場を勝ち取りましょう!」




「「はいっ!!!」」




これで来週からの福岡県予選が始まる。

俺たちは新チームでまずはベスト8に入ることを目標にした。




「あ、注目!1回戦の相手は…。」




「おい!お前たち!監督の話が終わってないぞ!」




大湊先輩がいち早く気が付き、みんなに一喝するとすぐにまた列を作り直して、監督の話を聞く姿勢になった。




「1回戦は、竹葉学園に決まったよ。今年の夏負けた高校とまた1回戦で当たることになった。」




「竹葉ってカットボールの右田さんだよね?」


「1年生だったからまた右田さんが投げてくるよね?」




みんな竹葉と聞いてザワザワし始めた。

俺も今1回戦の相手を知って少し驚いていた。



かなり苦戦した右田さんのカットボールに、こんなに早くリベンジ戦をすることになるとは思わなかった。




右田と二ノ宮の実力のあるバッテリーとの対決は大変かもしれないが、ここを乗り切らないことには九州大会なんて夢のまた夢だ。




「竹葉だろうがなんでも勝つぞ!今年の夏の敗北を今年中に返せるんだ!ついでに先輩達の雪辱を晴らしに行くぞー!」





「「おぉぉぉ!!!」」




大湊先輩のついでという言葉には気になったが、チーム一丸となって気合が入ったから別に気にしないことにした。




白星高校は新チームの公式戦初勝利を目指し、竹葉学園との試合に臨むのであった。






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