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誰にだって不得意はある!

 セバスチャンに連れられ、別の部屋へ移動する。

 お城とまではいかないが、中々にだだっ広いお屋敷なので、道案内がいなければ迷子になってしまう所だ。

 歩く度に自動で点く照明。隅から隅まで敷き詰められた柔らかな絨毯。こうやってよく見るとお金持ち臭が半端ない。


「では、こちらのお部屋にてお待ちください。少し様子を見て参りますね」


 と言われ、部屋で一人ポツンと待ちぼうけになった。

 部屋の中心の大きなテーブルには、これまた大きなお皿の上に銀の被せ物があり、美味しそうな香りが溢れている。


「うーん、なんだか怒涛の展開だよ。エラのお家は面白そうだなぁ」


––––

––––––––


「おほん、お待たせしましたねエーフィー。折角の料理が冷えてしまう所でしたわ」


「アンゲルさんはもう大丈夫なの?」


「ええ、いつもの事ですから。全くもう、基本的に完璧に仕事はこなすのに、一度ミスをしたらもうあとは欠陥工事並みにボロボロになるのですもの」


「へ〜、最初の印象だと確かにそう感じるけど、あれを見た後だとねぇ」


「ふふふ、なら尚更ですわね。さ、席に座ってお食事にしましょう」


 椅子に座ると、どこからともなく執事の皆様が部屋に入って来、銀の被せ物を取り、空いたグラスに飲み物を注ぎ始めた。

 逸品物のお肉料理が皿に盛り付けられ、小さな深めのお皿には熱々のコーンスープが添えられている。


「え、すご! このソースの香りって不思議だし、凄く食欲を刺激するね」


「ええ、これらは先程のアンゲルが作られたのですよ?」


 早速柔らかな肉にナイフを入れ、口の運ぶ。

 ソースはキラキラとした宝石箱のように輝いており、肉に余す事なく練りこまれた塩っ気が絶妙に合うのである。


「んんんんんんー!! お口がとろけるー!」


「アンゲルは元は料理人の家庭の生まれでしてね、幼き頃からご両親にかなり仕込まれたそうです」


「すごいすごいすごーい! 一つの食材でも、きちんと美味しくなーれって愛情を感じるよ!」


 これは食が進みますなぁ。いいなぁエラ、毎日こんなの食べてるのかぁ。私も美味しいサンドイッチの作り方とか教えて貰えないかな?


「エーフィー、食べた後はきちんとお薬を飲むのよ? しっかり一週間分出てるんだから」


 しまった、そういえばそれがきっかけでエラのお家まで来てるんだったっけ。でも大丈夫、骨折の鎮痛剤を代わりに飲むから、それでなんとかごまかせるはず!


「はーい、きちんと呑みますよー!」


––––

––––––––


 その後、美味しい食事の時間は終わり、夜遅いからと寝ることになった。

 さぁ、これが私の運命の別れ道。


「さ、うふふ、一緒に寝ましょうかエーフィーひひひって誰かベッドで寝てるううううう」


 部屋に戻ると、美しいネグリジェ姿のアンゲルさんが、キングサイズのベッドで勝手に寝てるのだ。でも助かった。最初のセリフのひひひって所で背筋がぞくっと来たから、ああこれでおしまいなんだなって考えていたのだ。


「はぁぁぁぁ……もう彼女ったら本当に。あれだけ怒ってませんと言ったのにも関わらずですよ。すみませんねエーフィー、彼女を挟むように川の字で今日は寝るとしましょうか」


 そんなも申し訳ない顔しないでよエラ。申し分ない状況だよこれは。ナイスだグッとだアンゲルさん!


「よいしょっと。でも随分懐かれてるんだねエラ」


「アンゲルは少し依存体質ですから、仕方ないのですよ」


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