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正義の勇者と星と魔術師(パシリ)

ブクマ頼むぜ!

「エーフィー! 次なる任務は街の大掃除よ!! いってらっしゃい!! 夕ご飯はご馳走してあげるからそれまでには戻ってくるように!!!」


 久しぶりに呼び出しを喰らったかと思えば、いきなりの大仕事である。だって街の大掃除っていくらなんでも規模が曖昧すぎるじゃん? 向こう三軒両隣とかなら分かるけどさってまたお酒飲み始めてるうううう。


「私はこの通り修行に明け暮れてるから。ん? 暇だと思ってるんでしょう。でも読書は大事な業務なのよ。何せ評価表を送らないといけないんだから! ああもうめんどくさいったらありゃしないわよね!」


 とか言いながらルンルン気分で蒸留酒を一気に喉に流し込むシャーリーさん。そこのおつまみのサンドイッチは私の仕事なのだが、それに関しての感想は何もない感じ?


「ほらほらエーフィー! ぼーっと突っ立ってないで早く現場に行ってきなさい!」


「はぁい」


 外に出て箒に跨り、目的地の場所まで足を運んだ。

 今回はエーレのベッドタウン、リーぺでの仕事である。以前住んでいた、今となっては実家になっている家はリーペにあるので、地理に関しては熟知しているつもりだ。


「ぷハァ! おやおやエーフィー、来て早々雑用を任されなんてついてないね!」


「ま、でもそれくらいにしか私には出来ないしさ。仕方ないよ」


「何を言ってるんだい! 無限の可能性をエラッソから学んだんだろう? 君ならもっと色んな事が出来るはずだよ!」


 目的地の市役所まで辿り着いた。今回の依頼者は市長のヘンティーさんだ。シャーリーさんとは昔からの付き合いで、度々依頼を出しているらしい。


「はーい、じゃあホッシーは鞄から出ないでね」


「はーい! ホッシー了解したよ!」


 受付の綺麗な女性に事情を話し、まずは秘書さんを呼んでもらう事にした。基本的な住まいはコリーさんと同じでお城なのだろうけど、仕事の時はここに出勤しているそうである。


(うわぁ、市長さんとお話しするなんて初めてかも! 緊張してきたなぁ)


「ん? あれ? エーフィーじゃないか。こんな所で何をしているんだい?」


 いきなり横に現れたのはジャスティー・マンス。勇者である。


「うわぁ! びっくりした。市役所で勇者と出会うなんて聞いた事がないよ! 魔王は良いの?」


「ぐぬぬ、ほったらかしにしてるみたいな言い方をするじゃないか。まだまだ仲間すら出来てないのに、魔王討伐になんて行ける訳ないじゃないか」


「ぼっち?」


「ちがーーーーー……わないかも」


「可哀想に……。あ! この前のお引っ越しはありがとうね!」


「良いってことよ。最初の一言さえ無ければね!」


 丁度良い機会なので、最近の魔物事情を聞いてみる事にした。

 突発的な争いは起こるのだが、大きな戦いにはなっていないみたいで、膠着状態が続いているそうだ。

 向こうも、統率の取れる大きな存在が居ない事もあって、中々に纏まらないらしい。


「それってつまり、魔王は不完全って事でしょ? 復活はしているけどさ」


「うん、だから本来なら今からでも討伐隊を組んで突撃するべきなんだろうけどさ。如何せん僕の実力が足りないのと、骨のある仲間が見つからないから動きようにねー……。皆んな死にたくはないらしい。それは僕も同じなのにな」


 何となく、ジャスティーって今までの猛者に比べて変だなっては思ってたけど、分かってしまった。彼は人間臭いんだ。感情を外にきちんと出しているんだ。


「ごめんね、私が大叔母様の血をしっかり受け継いでいればこんなに苦戦せずに済んだかもしれないのにさ」


「な!? そんな事誰も思ってないよエーフィー。意外と責任感あるんだね君」


 意外とって何だ意外とって! 適当な奴だと思ってたのかな!? ……いや、案外適当だな私って。


「否定はせぬ」


「せぬー」


「御意」


「って今なんか星混じってたけど、連れてきたのかい?」


 鞄に視線を合わせるジャスティー。


「何だい? 私が居たら何か不都合な事でもあるのかい? エーフィーを独り占めしようたってそうは行かないね!」


 まぁ二人いるし、周りに誰も居ないから喋っても問題ないか。


「君はいつも一緒にいるだろ……というか、自分の事思い出したのかい?」


「全然! まったくさ!」


 あれから砂時計が光る場面を見ていない。もっと人の願いを集めなきゃいけないみたいだ。そういえばそれっぽいことをしてないし、生活も安定してきたし、そろそろ本腰上げて大叔母様の宿題に取り組む事も視野に入れないと。


「ま、まぁいいや。にしても、毎日楽しそうで羨ましいよ」


「ん? ジャスティーさんは楽しくないの?」


「全然! まったくさ!」


 それはそれで本当に可哀想だ。

 何たって勇者である。彼の精神は結構世界を左右すると言っても過言ではない。


 しばらく談笑していると、奥の方からいかにもな秘書っぽいお姉さんがこちらに歩いてきた。色っぽいには市長の趣味なのだろうか。


「こんにちは、初めまして。ジャスティー・マンスにエーフィー・マグさんですね? 奥にて市長がお待ちです。付いて来てください」


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