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「鞄の値段?いろいろあるよ。鞄の素材によってもデザインによっても違ってくるよ。安いものなら5000ニャールドかなぁ。高いものだと何百万ニャールドってのもあるよ」
「5000ニャールドかぁ。それくらいなら買えそうだわ」
「そう?まあ、最初は安い鞄を購入して資金が増えたら自分の気に入った鞄を買うといいよ?」
「そうだね」
どんな鞄であれ、一つは持っていないと森に行って採集してくるには必要だ。
これからも、鞄がひとつあれば重宝しそうだし。
私たちはリュリュさんのお店に行くことにした。ちょっと、気まずいけど・・・。
マリアはそんなこと全然気にしていないみたいだ。毎回のことなのかな?
「リュリュさーん。鞄見せてくださーい」
リュリュさんのお店に着くとマリアが声を張り上げた。
「いらっしゃい。今朝ぶりだね」
「えへっ。来ちゃった」
リュリュさんも何事もなかったかのように笑顔だ。そして、マリアは絶賛演技中らしい。
どうやら牽制をかけているようだ。
しっかし、リュリュさんも慣れたものだ。今朝のことなのに何事もなかったかのように笑っていられるなんて。
「鞄を見せてください」
「ああ、ちょっと待ってて」
リュリュさんは店の奥に引っ込んでいくとすぐさま3つの鞄を持って来た。
手に持っている鞄はどれも白い色の鞄で柄もないので見た目には違いがつけられないものだった。
「今、うちにあるのはこの3つ。他のがよければ取り寄せるよ。カタログ見る?」
どうやら、鞄のカタログがあるみたいだ。でも、取り寄せとなると明日には間に合わないだろう。今日中に欲しいから3つの中から選ぶことにする。
「今日は取り寄せはしないわ。その3つは見た目同じに見えるけど何か違うの?」
私が訪ねると、リュリュさんは一つ一つ丁寧に説明をしてくれた。
「この鞄は物がいっぱい入る鞄。重さも鞄自体の重さだけで、中に何をいれても重さはかわらないよ。こっちの鞄は更に冷蔵機能がついているよ。最後のこの鞄は保管庫と同じで中に入れたものは入れたときと同じ状態で保存されるよ」
「いろんな機能があるんだねぇ」
「うん。これに形状とか素材とか柄がついたりするけど、うちではそういうのは取り寄せになっちゃう。だからベーシックなものだけ置いているんだ。どれにする?」
「それぞれ金額を教えてくれるかしら?」
そりゃ入れたものが入れたときと同じ状態で保存されるっていうのが一番いいけど高いんだろうなぁ。
「最初のは5000ニャールド。次に紹介したのは50000ニャールド。最後に紹介したのはちょっと値がはっちゃんだけど150000ニャールドになるよ」
おおう。やっぱり今の資金じゃ一番欲しいのは買えなそうだ。一番安いのにするしかないみたい。




