８
「そういえば、マリアさん。お金ってどう使ったらいいんでしょうか？」
今、私は手にお金をもっていない。
元の世界から持ってきたお財布はあるが、中身は普通の日本円だ。これが使えるとは思えない。
かといってまだ、こちらの世界のお金を見たことがない。
いったい、どういう種類があるのだろう。
「お金？ああ、ごめんなさい。当たり前すぎて伝えるのを忘れていたわ。マユの世界ではどうやって使っていたの」
そう聞かれたので、鞄の中にしまってあったお財布を取り出した。そして、中から数枚の紙幣と硬貨を取り出す。
「これが１万円札でこれが１０００円札です。こちらの硬貨が５００円と１００円になります。これらを組み合わせて指定の金額を相手にわたします」
私が取り出したお金をもの珍しそうに、マリアは覗き込む。まるで、初めて見たというような表情だ。
こちらのお金はもっと違う形をしているのだろうか。
「へえー。マユの世界って面白いわね。でも面倒じゃない？こちらの世界ではね、お金を相手に渡したいと思えばその金額が相手にわたるの。マユ、自分のステータス見れる？そこに、所持金って欄ない？」
言われて私はステータスを見ることに集中する。
【所持金’１０００００ニャールド】
あった。
所持金の欄。
「ありました。１０００００ニャールドって書かれてます。」
「そう、それ。相手がお金をいくら渡したいと思って、自分が相手にお金を渡したいと思って、相手が受けとりたいと思ったらお金が動くの。マユに１０００ニャールド渡すわ。ステータスをみてみて」
「ええ」
ステータスをもう一度みる。
【所持金’１０１０００ニャールド】
「１０００ニャールド増えているわ」
「では、今度は私にお金を渡してみて」
「マリアに１０００ニャールド渡すわね」
そう言ってからまたステータスをみる。
【所持金：１０００００ニャールド】
「あ、減った」
「こっちは増えたわ。こんな感じで、お金の受け渡しをするの。マユの世界みたいにお金を持ち運ばなくて便利でしょ？」
「ほんとね」
不思議だわ。
どうなっているんだろう。
でも、同意がなければお金を渡せないってことは、泥棒やスリにはあわないってことね。
安心だわ。
