表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています  作者: 葉柚


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/164

79


マリアは朝御飯も食べずにかけつけてくれたとのことだった。

なので、マリアに今朝買ったアンさんのパンを出した。


「これ、よかったら食べて?」


「ありがとう、マユ。ちょうどお腹が空いていたの」


『我の分はもうないのか?』


マリアが笑顔で受けとるとその様子を見ていたプーちゃんがジッとこちらを見てきた。

さっきまで、かなりの量のパンを食べていたかと思うが、まだ食べれるのだろうか。


「もっと食べれるの?」


『うむ。パンとやらは美味であった』


美味って・・・。

どうやらプーちゃんはパンがお気に入りのようだ。


「リュリュさんが持ってきたのでもいい?私が買ってきたのはマリアにあげたやつで最後なの」


『構わぬ。あやつは悪いやつではないからの。ただ変態ってだけでマユには極力近づいてほしくないが。パンが悪いわけではないのでな。我がもらう』


「そう、じゃあこれ全部食べちゃっていいよ」


私はそう言って、リュリュさんが買ってきた5個のパンをプーちゃんの前に並べた。


『このマユも買ってきていた外がカリカリしていて中にドロッとしたものが入っているのはいらぬ』


プーちゃんは前足(?)で、こんがり焼けて美味しそうな匂いを放っているカレーパンを指差した。

このカレーパン美味しそうなんだけど・・・。


「そう?じゃあ私がもらっちゃうよ?」


『マユの味覚がわからぬ。このような舌に刺激が走るもののどこがよいのか・・・』


「辛いのがダメなの?辛いものも慣れると癖になるわよ?」


『・・・我には不要だ』


どうやら、プーちゃんは辛いものは苦手らしい。

眉を潜めてカレーパンを睨み付けている。

私は、カレーパンを手にして一口かじった。

とたん口の中に広がる香ばしい香りとピリッとした程よい香辛料の辛さ。

中に入っている具はよく煮詰められていて原型を保っていないが、その分素材の旨味が凝縮されている。

まわりサックリ、中はトロリ。

絶妙な食感を私にもたらしてくれる、アンさんのカレーパン。

こんな美味しいものが苦手だなんて、プーちゃん損をしているよ!


『マユは美味しそうに食べるのだな・・・。我も食べたくなった。それをよこせ』


「あっ!!」


「プーちゃんってかわいいね」


プーちゃんは私の食べかけのカレーパンをひょいっと奪い取るとパクッと口の中に放り込んでしまった。

私が恨めしげな声をあげる横でマリアが笑ってその様子を見つめていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ