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マーニャは相変わらず、のんびりと毛づくろいを楽しんでいる。
身体柔らかいなぁ~と思うほど、ぐにゃ~と身体を伸ばして一生懸命毛づくろいをしている。
「マーニャ?ポチがマーニャを待っているよ?」
『ポチなどではない!』
「じゃあ、名前教えてください。私はマユです」
『人間なんぞに誰が教えるか』
「じゃあポチで」
『ポチは嫌だ』
嫌だって・・・。名前くらい教えてくれたっていいのに。
なんでそんなに名前を教えるのを嫌がるのだろうか。
「にゃあ?」
そんな硬直状態が続いていたら、いつの間にか毛づくろいを終えたマーニャがポチに向かって鳴いた。
首を傾げながら可愛く鳴いている。
それを聞いたポチは何故か慌てている。
マーニャ、なんて言ったの?
ほんと、ここにマリアが欲しい。
マーニャの言葉を通訳して欲しい。
『!!!?マーニャ様それは!!』
「にゃぁ~ん」
『マーニャ様がそう言われるのであれば・・・』
ポチはマーニャの方に向けていた顔をこちらに向ける。
その表情は憮然としていた。
『我のことはプーちゃんと呼べ』
「はぁ?」
プーちゃん?
何故にプーちゃん?
ポチもプーちゃんも差ほど変わらないような気がするんですが。
『我だってもっとカッコイイ名前がいい。だが、マーニャ様がプーちゃんが言いといって聞かぬのだ』
「はあ」
名付け親はマーニャでしたか。
しかし、プーちゃんって。
どこからプーちゃんって名前が付けられたんだろう。
マーニャに聞いてみたい。
本当、マリアにここにいて欲しい。
「プーちゃんはそれでいいの?」
せっかくだから教えてもらった名前を使ってみる。
あら、プーちゃんの眉間に皺が寄っている。
ほんとはプーちゃんと呼ばれるのは嫌そうだ。
しかし、マーニャの手前嫌だとは言えないのだろう。
『マーニャ様が言うのだ。仕方あるまい』
「まあ、いいけど。ところでプーちゃんはいつまでここにいるの?もうマーニャも私も起きたんだから私を拘束する必要ないし」
『マーニャ様が出て行けと言うまでだ』
私は、マーニャに視線を向けるが、マーニャはそ知らぬふりだ。
どうやらマーニャはプーちゃんを住処に返す気がないようだ。
こうして狭い家に同居竜が増えたのであった。




