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保管庫の前で朝食をどうしようか迷っていると、「にゃぁ」という鳴き声とともに、足元にふわりとした感触が。
足元を見ると、マーニャが足にすりよってきていた。
「おはよう。マーニャ。お腹すいたの?」
見上げてくる目が可愛い。
ちょっと首を傾げて催促してくるところが、また可愛く感じる。
保管庫から取り出した餌の1/3を取り出して、器に移す。
「ほら、お食べ」
マーニャの前に器を置くと、ありがとうとばかりに「にゃあ」と鳴いてから食べ始めた。
食べてる姿もまた可愛い。
小さな口でもごもごと口を動かしているところも可愛い。
時々食べるのをやめて、口の回りをベロでペロッと舐めとっているのも可愛い。
猫ってこんなに可愛かったんだ。
じぃーっとマーニャを見ていると、後ろから二つの視線を感じて振り替える。そこには、クーニャとボーニャがいて、じっとこちらを見つめている。
「クーニャ。ボーニャ。おいで、ご飯食べよう」
クーニャとボーニャの分のご飯を器に移して名前を呼ぶと「にゃあ」と声を合わせてトコトコとやってきた。
そして、そのままご飯にかぶりつく。
クーニャはガツガツと。ボーニャはおっとりと。
姉妹猫って言ってたけど、性格が違うのね。
見てると飽きない。
しかし、美味しそうに食べる子たちね。この子たちを見てると私もお腹がすいてきた。
ここにいてもしょうがないから、マリアのところにでも行こうかな。
マリアにご飯を食べられるところを教えてもらおう。
あと、10万ニャールドを支給してくれるって村長が言っていたけど、10万ニャールドはどこにあるんだろう。
それにどんなお金の種類があるのかもわからないから、これもマリアに聞かなければ。
猫様たちが食べ終わるのを待つ。
ご飯を美味しく食べ終わった猫様たちは、思い思いの場所で毛繕いをしたり、水を飲んだりしている。
それにしても、毛繕いしているところを見ると、この子たちは体がすごく柔らかいんだなぁと改めて思う。
すごいなぁ。
お腹がいっぱいになったからなのか、それぞれ寝心地のいい場所を探してねっころがっている。
「今度は私がご飯食べてくるからね。いい子で待っていてね」
猫様たちに声をかけて家をでる。そして、歩いて5分のところにマリアの家がある。
「おはよう。マリア。朝早くからごめんね」
「おはよう。どうしたの?」
マリアの家に行き、声をかけるとマリアがすぐに出てきた。ちょうど食事中だったのか、家の中からは食欲を誘う匂いがしてくる。
「朝食をね。どこか買えたり食べたりするところはないかしら?昨日のうちに買うのを忘れてしまって」
「あら。私としたことが案内をするのを忘れていたわ。ごめんなさい。後で案内してあげるわね。今日はよかったら私の家で食べていって」
「ありがとう」
マリアに誘われて家の中に上がり込み、朝食をいただいた。
マリアの作ってくれたご飯はとても美味しかった。
「美味しい」とマリアに伝えると嬉しそうにマリアが微笑んだ。そして、
「私、料理のスキル持ちなの。Lv99なのよ」
ん?スキルってレベルがあるの?
というかLv99ってカンストしてる?
「Lv99!?すごいね。レベルって最大いくつなの?」
「今知られているのはLv1000まであるってことかな。でも、Lv1000の人はほとんどいないけどね。普通の人はLv100で満足してるから」
「そうなんだ、なんかすごいね」
それからしばらくしてから、マリアに村の中を案内してもらうことになった。