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竜と遊んでたって、マーニャたちいったいなんでそんなことを・・・。
私は、無鉄砲なマーニャたちに頭を抱えたくなった。
でも、どうやら安全なようで安心はしている。
どうして、ダンジョンで竜と遊んでいるのかなぁ。
「ああ、遊んでたなあ」
「竜の頭から滑り台のように首を滑って地面に着地してたりしたなぁ」
「ああ、キジトラの猫様な。クロトラの猫様二匹は竜に寄りかかって寝てたな」
「すやすや寝てたな」
口々にマーニャたちの話をする冒険者さんたち。もう、どこから突っ込んだらいいのかわからなくなっている。
竜を滑り台にするってどうなのよ?
竜を枕に寝るってどうなのよ?
「まあ、迎えにいけないんだから気長に待つといいよ。きっと帰ってくるよ」
「・・・そうします」
脱力しながら私はなんとか頷いた。
なんだか、私が心配していたのが無駄だったような気がしたのだ。
私がこんなに心配しているのにも関わらず、猫様たちは無邪気なので。
それにしても、迎えにいけないようなところに行かないで欲しいなぁ。
私は、冒険者さんたちにお礼を言うと、後ろで待っていたマリアの元に向かった。
「マーニャたち、ダンジョンの10階層で竜と遊んでいたらしいわ」
「聞いていたわ。流石マーニャ様たちね」
流石のマリアもマーニャたちの行いに苦笑いを浮かべている。
私たちはマーニャたちが無事なことを確認すると、食堂の椅子に座り込んだ。
「とりあえずご飯を食べましょう。マーニャ様たちもそのうち帰ってくるわ」
「そうね」
私たちはサラさんに今日お勧めを頼み食事が来るのを待つことにした。
「でも、なんで竜に会いに行ったのかしら?」
「マユ、なんかいつもと違うことをマーニャ様たちにした?」
いつもと違うこと?
マリアの言葉に数秒考えてから、「ああ!」と閃いた。
「ダンさんが作った猫用のご飯をあげたわ」
いつもと違うのはそれだけ。
まさか、ダンさんのご飯が原因?
「きっと、それね。すごく喜んでいたでしょ?」
「うん。かなり喜んでいたわ。ご飯食べ終わった後マーニャが外に飛び出して、その後をクーニャとボーニャが追っていったわ」
私はその時のことを思い出しながらマリアに伝える。
マリアはクスクス笑っていた。
「嬉しかったのね。マーニャ様たち。だからきっとお礼の品を用意しようとしているのよ」
マリアがそう言うと、食堂の入り口がざわつき始めた。




