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「ピンクの卵?」
突如話しかけて来たのは、見たこともない金髪碧眼の美青年だった。
マリアも不思議そうな顔をしているところを見るとこの村の人でもないのかな?
「ああ、僕はハーメル。ピンクの卵を探し求めて旅をしているんだ。病気の妹が見たいというのでね」
「ピンクの卵なんて、市場でも滅多に出回りませんね。こんな田舎にはないと思いますよ?」
「でも、ピンクの卵は鶏が低確率で産むんだろう?鶏を飼っていればお目にかかることもあるのでは?」
へぇ。
突然変異の卵的なものなのかしら。
「そう聞いています。うちの村でも50年前に一度だけピンクの卵が見つかったと聞いていますが・・・。病気の妹さんということは、できるだけ早く見つけなければいけないんですよね?」
この村でも見つかったことあるんだ。
もしかすると、うちで飼っている鶏からも産まれる可能性があるのだろうか。
「そうだね。妹は余命1年と宣言されている。もし、見つかったらここに連絡をくれないか?」
そう言って青年は、名刺サイズの紙をマリアに渡した。
マリアは、それを受けとる。
「見つかったら連絡するわ」
「ありがとう。見つかったら、お礼は弾むよ」
青年は、そう言って食堂を出ていった。
これから他の人にもピンクの卵を知らないか聞きに行くのだろう。
「ピンクの卵って、希少なの?」
「珍しいけど、希少ってほどではないわ。一年に1つは必ず見つかっているみたい。ただ、ピンクの卵を見た人には幸せが訪れると言われているわ」
「そっか、それで探している人もいるのね」
「マユのところの鶏が産んだりしてね」
そう言って「ふふふっ」とマリアは笑った。
幸せになれるのなら、見てみたい気もするなぁ。
でもあの人、妹さんの側にいてあげればいいのに。とも思ってしまう。
「話は替わるけど早速明日、森に行ってみない?化粧水を作ってみましょう?」
「ありがとう。でも、マーニャたちがくれた種や購入した苗を植えてからにするわ。」
「それもそうね」
マリアと、そのうち森に採集にいく約束をして、私たちは家に帰った。
もちろん、マリアは私についてくる。農業初心者の私にいろいろレクチャーしてくれるためだ。




