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「うわぁ・・・」
アンナちゃんが「おいでー」と言うと、店の奥から手袋たちが、こっちに向かって一斉に飛んできた。
思わず、マリアを盾にしてしまった。
「あはははは。マユさんビックリしてるー」
きゃらきゃらと、アンナが笑う。
その手には、大量の手袋が巻き付いている。
「手袋いっぱい来たよ。どれがいい?」
「どれがいいってどんなのがあるの?」
見た目じゃわからないので、アンナちゃんに説明を求める。
「んーとねー、こっちのが手にぴったりと合う手袋で300ニャールド。これが、水に濡れない手袋で500ニャールド。これは、頑丈な手袋、少しぐらいの力じゃ破れない手袋で1000ニャールド。こっちのは、これは、熱さを感じにくい手袋で同じく1000ニャールド。最後にこれは、何を触っても手が汚れない手袋で1000ニャールドだよ」
うーん。
いろんな手袋があるみたいだ。
どれがいいんだろう。
「マユ、迷っているなら頑丈な手袋から、手が汚れない手袋がいいよ?畑仕事って結構手が汚れるから」
「へぇー、そうなんだ。じゃあ、手が汚れない手袋にしようっかな」
「ありがとー」
私は、アンナにお金を払うと手袋を受け取った。見た目は普通の手袋に見えるけど・・・。
「あと、これあげるー。お兄ちゃんがマリアちゃんに買ってきたんだけど、ずぅーと渡せずにいて埃被ってるからあげるー」
いや、あげるって。
お兄さんからマリアに渡す予定のものでしょ。そんなものをマリアがいる目の前で受けとる訳にはいかない。
「それは、お兄さんに聞いてみてからにしようね。もしかしたら、王都からお兄さんが帰ってきてから渡すかもしれないし。そのときに、知らない人の手に渡ってたら嫌だとおもうよ?」
「そうかなー?」
「そうそう」
「そうねぇ。アンナちゃん、それはそっとしまっておきましょうね」
マリアったら、当事者なのにのんびりしている。動じていない。
もしかして、お兄さんの気持ちを前から知っていたのかなぁ。
「じゃあ、これあげる。これはさっきのと違って効果はあまり強くないけど、力が2倍になるっていう魔道具。腕輪になっているから腕につけてね」
「ありがとう」
そう言ってアンナちゃんは私にシルバーのブレスレットを渡してくれた。
見た目は普通のシンプルな ブレスレットに見える。




