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鶏を畑に放つと、草むらからガサガサと音を立ててマーニャが顔を出した。
「にゃあ♪」
と言いながら低姿勢になる。
そして、お尻だけ持ち上げてふりふりしだす。
一体何をしているんだろう。
マーニャの顔は雄の鶏の方を向いていて、目が爛々と輝いている。
「けけけけけけ・・・」
マーニャがクラッキングして鳴いている。
一体どおしたものか・・・。
いつものマーニャと違う様子に見守るしかできない。
すると、クーニャとボーニャがマーニャの近くに現れた。
しかしながらマーニャはそれらを気にすることなく、鶏に集中している。
そして、
「こっこけーーーーーーーーーーっ!!」
雄の鶏に素早く飛び掛った。
鶏は逃げるまもなくマーニャに捕まってしまい、羽をバタバタさせている。
マーニャは鶏の首を「はむっ」と噛み、そのまま暴れる鶏を私の元に持ってきた。
すごい顎の力・・・。
関心して、マーニャを見てしまう。
ポテッとマーニャが私の前に鶏を落とした。
そして、顔をコテッと横に倒してキラキラとした目で見つめてくるマーニャ。
こ、これは・・・。
「褒めて欲しいみたいね。鶏捕まえたから・・・」
マリアが「あはははは」と笑いながら告げる。
いや、笑えないって。
鶏と猫の同居まずくない?
とりあえず、「褒めて♪褒めて♪」という顔でワクワクしながら見ているマーニャの頭を撫でる。
褒められるのを待っている表情がこれまた可愛くて、思わず笑顔でわしわし撫でてしまう。
マーニャも喜んでいるのか喉をゴロゴロならして、こっちも撫でて?とおねだりするように身体を動かしてくる。
なに、この可愛い生き物。
わしゃわしゃわしゃ。
マーニャを撫で撫でしていると、
「こ、こ、こ、コケコーーーーッ!!」
「コケコッコーーーーーー!!」
鶏たちが叫びだした。
どうやら先程マーニャが捕まえた鶏はマーニャが撫でられている最中に逃げたらしい。
声の聞こえてきた方を見ると、クーニャとボーニャがそれぞれ、雌の鶏と雄の鶏をくわえてこちらに歩いてきた。
クーニャ・・・。
ボーニャ・・・。
マーニャの真似しなくていいのに・・・。




