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私とアリアは、猫たちを十分に誉めちぎってから魔道具屋に向かった。
そういえば、魔道具屋には保管庫も売っているって話だったなぁ。値段だけでも見てみようかなぁ。
まずは、農具を購入しなきゃね。
「こんにちはー。リュリュいるー?」
マリアが元気に声をかける。
どうやら、魔道具屋の人はリュリュという名前らしい。
しばらく待っていると、寝癖がついた金色の髪をかきながらひょろりとした男の人がでてきた。
よくみると、来ているシャツもよれよれだ。
「あー、マリア元気ー?昨日徹夜してて眠いんだよねー。遊びの話ならまた後でねー」
徹夜していたのか。
確かにその顔の目元には大きな隈があり、疲れがうかがえる。
「また、徹夜してたの?今度は何を作ったの?」
「よくぞ聞いてくれました!今度は変幻自在な魔道具を開発していたんだよ。クワになったり、カマになったり、オノになったり、ハンマーになったりスコップになったりするんだ。一つの魔道具で複数の道具が使える!便利じゃないか!!」
ああ、どうやら研究者タイプらしい。
マリアは呆れながらも「すごいねー」なんて棒読みで答えている。
「それよりね、昨日から異世界の迷い人であるマユさんがこの村に住むことになったの。それで、農機具を買いに来たのよ。いいものない?」
「ああ、君が噂のマユかい。僕はリュリュ。ここで魔道具を開発しながら、魔道具を売って生計をたてているんだ。まあ、魔道具を作るのが趣味なんだけどね。趣味と実益を兼ねた商売をしているんだ。」
「マユです。よろしくお願いします。このお店にはリュリュさんが作成された魔道具のみが置かれているんですか?」
店の中を見回しながら訪ねる。
何に使ったらいいのかわからない魔道具から、使い方がなんとなく想像できる魔道具まで様々だ。
「いいや。僕が作ったものもあるけど、大半は仕入れた品だよ。なぜか、僕の作る魔道具は売れ行きが悪くてね。僕が作った魔道具だけじゃ生計が成り立たないんだ」
「そりゃそうでしょ。リュリュってば、変わった魔道具ばかり作っているんだもの。」
そうか。
本当に趣味で作っているようなものなんだね。
「しかし、農機具か。ちょっと待っててね農機具の在庫確認してみるから」




