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家までマリアがついてくることになった。
昨日あまり詳しく説明できなかったから少し説明してくれるとのことだ。
わからないことだらけでありがたい。
特に、種や苗を買ったけれども、畑を耕すクワもなければ、水をまくジョウロもない。
それに肥料もない状態だ。
家に着いて、ドアを開ける。
猫たちはどこかなぁと家の中に入り、狭い家の中を探すが猫たちは見つからない。
「どうしよう!マリア。猫たちがいない!!私、ちゃんとに鍵を閉めて戸締まりしたのに!!」
猫たちが見つからなくて半狂乱になっている私に、マリアは優しく諭すように、私の背を撫でる。
「大丈夫よ。猫様たちはここが家だと決めたら必ず帰ってくるわ。この村の家はね・・・というよりこの国の家はね、猫様専用の出入り口があるのよ。そこから出ていったんじゃないかな」
専用の出入り口そんなところが・・・。
するとマリアは玄関のドアの横を指出す。
「ほら、ここ」
そこには小さなドアがついていた。
指でつんつんすると確かに開閉する。
「そっか。よかった。」
「今、一生懸命遊んでるんだと思うよ。マユが帰ってきたってわかったら跳んでくるかも。マユ、外にでて猫様たちの名前を呼んでみてくれる?」
「ええ、わかったわ」
私たちは家の外に出た。
見渡す限りは庭と荒れ果てた畑が見えるだけで、猫たちの姿は見えない。
本当に、呼んだら来るのだろうか。
村長の家に帰っていたりしないのだろうか。
不安は残るが、マリアの言うとおり名前を呼んでみることにした。
「マーニャ!クーニャ!ボーニャ!」
すると庭のあちらこちらから「にゃあ!」という元気な返事が帰ってきた。
「え?どこ??」
返事は帰ってきたのに姿が見えない。
じっと目を凝らしてみると、草がガサガサと揺れ、小さな耳が除く。
「あ、マーニャ」
あの虎柄の模様はマーニャだ。
続いて、隣の草むらがガサガサ揺れ、ボーニャとクーニャが顔を見せた。
それから競い会うように、3匹がかけよってくる。
よかった。
「ほら、ちゃんとに帰ってきたでしょ。頭のいい子達なのよ。撫でて誉めてあげてね」
マリアのいうとおり、近寄ってきた猫たちの頭を順番に撫でる。すると、ゴロゴロと気持ち良さそうに喉をならす3匹の猫。
撫でていると、ふと何かが手にあたる感触がした。
なんだろうと、手にとって見つめてみる。




