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「マーニャたちったら・・・」
「ふふふっ。猫様たちって可愛いわね」
自分たちが気に入らない化粧水をプーちゃんが好んでしまったことがどうやらマーニャ達は気に入らなかったようである。
しきりにプーちゃんに向かって威嚇をしている。
なんだかなぁ。もう。
というか、プーちゃんたちが騒がしくてオークションの中継が全く聞こえないし見えない。
そろそろ落札が確定するかと思うんだけどな。
「プーちゃんっ!お座りっ!!」
オークションの結果も気になるし、一回プーちゃんたちを静かにさせようと声を張り上げた。
って、マリアが笑ってる・・・。
「お座りって何!?お座りって・・・」
どうやら『お座り』という言葉がマリアのツボにハマってしまったようである。
って、とっさに出てきてしまった言葉なんだよねぇ。
プーちゃんとマーニャは私の声でピタッと止まった。それまで、喧嘩していたのが嘘のようである。
マーニャとクーニャとボーニャはそれぞれ、大人しくなり私の傍に寄ってきて寄り添うように座った。
プーちゃんは何がなんだかわからないようでキョロキョロとあたりを見回している。
「プーちゃん、小さくなってくれる?ボーニャと一緒に作った化粧水が今、オークションにかけられているの。その中継を見ているところだから」
プーちゃんの後ろを指差しながら告げる。
プーちゃんの後ろには、オークションを中継しているテレビがあるのだ。
私の指差した方を見るプーちゃん。そこにはテレビがある。
それに気づいてシュルシュルシュルと小さくなっていくプーちゃん。
そして、プーちゃんはテレビに飛びついた。
『なんだこれはっ!?薄っぺらい板の中に大量の人間がいるではないかっ!』
どうやらプーちゃんはテレビを見るのは初めてだったらしい。
驚きながらテレビの横や後ろを調べている。
でも、人間はいないのでプーちゃんは混乱しているようだ。
それにしても、プーちゃんが小さくなってくれたのでテレビが見れるようになったが、どうももう化粧水のオークションは終わってしまったようだ。
テレビには違う商品が映し出されている。
「あら、マユの作った化粧水は終わってしまったようね」
「うぅむ。そのようじゃな」
「いくらで落札されたのかなぁ」
マリアも村長さんも化粧水のオークションが終わってしまったことに気づいたようだ。
それぞれ結果がわからなくて残念がっているのが手に取るようにわかる。
まあ、一番残念だと思っているのは私なんだけど。
チラッとプーちゃんの方を見る。
プーちゃんはまだ不思議そうにテレビを見つめていた。




