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「ぴぎゃぁ~~~!!」
田舎の夜はとても静かだ。
虫の声が微かに聞こえる。それ意外は静寂が辺りを包み込む真夜中。
そんな静寂を破るように、耳をつんざくような悲鳴が聞こえてきた。
「にゃにぃ!?」
びっくりして、私はベッドから飛び起きた。
慌てて時計を見ると、午前2時を差していた。
こんな時間に何事!?と灯りを点ける。
ちなみに、この世界の灯りはもちろん魔道具だ。魔道具に魔力を込めて、光を灯す。
電気代かからないなんて、なんてお財布に優しい世界なのだろう。
「い、いひゃい!いひゃいのだぁ……」
声がする方を見る。
そこには、まだ小さくなったままのプーちゃんとマーニャ、クーニャ、ボーニャがいた。
3匹は動いているプーちゃんの尻尾に夢中なようだ。
痛みで尻尾を振り回しているプーちゃん。どうやらそれが気になるマーニャ、クーニャ、ボーニャが競うようにプーちゃんの尻尾に飛び付いている。
ああ、痛そう。
「マーニャ、クーニャ、ボーニャお腹空いてない?山に行って来てからご飯食べずにずっと眠っていたからお腹空いたでしょ?おいで」
そういや、マーニャたちご飯を食べていなかったなぁと思いだし、声をかける。
「「「にゃあ♪」」」
3匹は嬉しそうに返事をすると、パッとプーちゃんから離れて私に向かって飛び付いてきた。
なにやら、お腹が空いていたから余計にプーちゃんの尻尾に噛みついていたようだ。
保管庫に向かう私の後を3匹は大人しくついてくる。
そして、保管庫の前で並んでちょこんと行儀よくお座りをしている。
可愛いなぁ。
器に素早くマーニャたちのご飯を用意して、猫様専用テーブルの上に並んで置くと、3匹が勢いよくご飯に飛び付いた。
やっぱり沢山動いた後だからお腹空いていたんだね。
ご飯も食べずに疲れて眠っちゃったから余計だよね。
マーニャたちがご機嫌にご飯を食べている様子を椅子に座って眺める。
目覚めた時はとっても眠かったけど、マーニャたちのご飯を食べる可愛い姿を見ていると不思議と眠気が消えた。
不思議。
あらら。ボーニャがいち早く食べ終わったようで、クーニャの器に顔を突っ込んでいる。
クーニャは「いや!いや!」って言うようにボーニャの顔を自分の顔で押し出しながらご飯を食べている。
そんな姿すら可愛く思える。
よっぽどお腹が空いているんだね。
子猫だし、食べ盛りだし今日はもっとご飯を出してあげようかな。
空になったボーニャの器に新しいご飯をいつもの半分だけ出してあげた。
すると、ご飯に気づいたボーニャがすぐさま自分の器に顔を突っ込んだ。
やっと離れたボーニャに、クーニャは安心したようにご飯を食べ始めた。
「お代わりあるからね。ゆっくり食べてね」
にこにこ笑顔を浮かべてマーニャたちを見つめている。そんな至福の時間。
だから、マーニャたちから解放されたプーちゃんが寝室で泣いていることなんて知らないふりをする。
ご飯を食べ終わると、マーニャたちがそれぞれゴソゴソと自分たちの鞄をあさり始めた。
なんだろう?




