10
種を購入したらちょうど12時になっていた。
「せっかくだから、お昼一緒に食べよう」
マリアに言われて、村で唯一の食事処に入る。ここの店主は調理のスキルが300を越えているとのことなので楽しみだ。
「ダンおじさーん。お昼食べさせてー」
「おう!マリアじゃねぇか。好きなとこに座りな!あれ?となりの姉ちゃんは?」
「マユです。昨日からこの村にお世話になっています。」
「ああ、迷い人の。うちの飯はうまいからゆっくり味わってくれよ」
そう言って熊みたいに大きなダンさんは厨房にひっこんでいった。
もっと、こうスレンダーな男性を想像していた私は今にもはちみつを抱えてでてきそうな人だとは思わなかった。
「大きい人だね」
思わず感想が漏れてしまう。
「ダンおじさんは心も大きいのよ。今日は一日この村を案内するわね。ところで、猫様たちは今どうしているの?」
「朝、ご飯をあげたら思い思いのところに行って寝てしまったわ。たぶん家の中にいると思うんだけど」
「そうなの。猫様たち、家とお外自由に行き来できるようにしておくといいよ。流石に嵐の日とか天候の悪い日は家の中に入れておいた方がいいけど、それ以外は自由にさせておいて」
「自由に?お外に出しても大丈夫なの?」
畑ばかりしかない村だし、車のようなものもこの村に来てからみたことがない。
村の皆も知り合いみたいだし、猫にとっても安全なのかな?
「レコンティーニ王国はね、猫に優しい国なの。猫に害意がある人はこの国に入ってくることはできないの。また、もし入ってきても猫に害を加えようとした瞬間に、他の国に飛ばされるわ。だから安心して大丈夫よ」
他の国に飛ばされるって比喩表現だよね?
「外に飛ばされるって・・・?」
「猫様たちには魔法がかかっていてね、ピンチに陥ると自分をピンチにした人間をこの国の外に出すっていう魔法が働くんだ。この国の初代の女王が無類の猫好きで、猫のために魔法に目覚めて、猫のために様々な魔法を駆使して猫様たちを守っているの」
「魔法ってすごいのね。」
「初代様は特別よ。あ、ご飯が来たわよ。暖かいうちに食べましょう」
目の前にはホカホカ湯気をたてている料理が運ばれてきた。
これはなんだろう?
定食なのだろうか?
薄切りにされたお肉とウインナーらしきものが乗っている。その横には別の器にパンと思わしきものが乗っている。そしてスープがついている。




