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ピチチチッ。
ピチチチチ。
「う~ん。むにゃぁ・・・」
白いカーテンの隙間から朝日の柔らかい光が室内に降り注ぐ。
その光の眩しさに私の意識が覚醒を促される。
「ふわぁぁ~~~」
大きな欠伸と供に両手を上に伸ばして背伸びをする。
軽く柔軟体操をしてからベッドから降りる。
マーニャもクーニャもボーニャもまだ、私のベッドの上ですやすやと眠っている。
・・・寝相すごいな。
警戒心をどこに置き忘れたんだってくらい安心しきった寝姿を披露するマーニャたち。
猫も大の字で寝るんだなぁ。人間みたいでなんだか可愛らしい。
ほっこりしながら、マーニャたちを起こさないように足音を極力たてないように部屋をでて、外に出た。
「今日もいい天気だ・・・」
空にはキラキラと輝く太陽。
空気は少しひんやりとしているが気持ちがいい。
「プーちゃん本当に来るのかなぁ?」
なんて思いながら、プーちゃんお気に入りのトマトを見る。
・・・っと、なんだかトマトの周りにドロドロとした黒いオーラの塊が・・・。
恐る恐る近づいてみると、なにやらへたっている竜がいた。
「・・・プーちゃん?」
何があったのだろう?
プーちゃんに近づいて、プーちゃんが握り締めている手元を見るとどうもトマトが握られていた。
そのトマトを見つめながらプーちゃんが何やら涙を流している。
「どうしたの?」
あまりにも悲壮感が漂う姿に「何ごとっ!?」と思いながらも声をかける。
プーちゃんはこちらに気づいたのか、ノロノロと視線を持ち上げ私を確認するといきなり飛びついて私の身体に巻きついてきた。
「マユっ!!」
「えっ!ちょっ・・・!」
プーちゃんに巻きつかれて身動きが取れなくなった私はプーちゃんと一緒に畑にダイブした。
うう。部屋着が泥だらけだよ。
「マユ・・・っ」
プーちゃんは泥だらけになることも気にせず私に巻きついて泣いている。
「何があったの?」
プーちゃんが巻きついているから身動き取れないし。
力いっぱい巻きついているから身体痛いし。
放して欲しいなぁ。
「マユっ・・・!トマト・・・トマトがっ!」
「トマトがどうしたの?」
プーちゃんに巻きつかれて体が固定されているから肝心のトマトを見ることも出来ない。
「トマトにヒビが入っているっ!しかも甘くない!味が薄い!!」
「えっ?」
一体トマトに何があったっていうの?




