二人の過去
さて、どこから話そうか?
そうだな、まずは俺の家の事から話すとしよう。
俺は2,3歳頃に両親を失っている。
父親は通勤中に交通事故、
母親はその数ヶ月後に家が火事になり亡くなった。
俺は近所の人に何とか助けてもらったが、
火元である台所にいた母親は即死だったらしい。
そして、俺は住む場所も、育ての親も失った。
恐らくこの時のショックで原子操作能力が出てきたのではないか。
と、俺は考えている。あくまで俺の推測だが。
そして行くあてもなくなった俺を、ある家が引き取った。
その家が一雨家だった。
その家には、俺と同い年の双子の娘がいた。
雫はどちらかと言うと、妹になるらしい。
そして姉の名前は
「一雨 静」
性格は雫と違い、名前と同じく静かな奴だった。
そして、俺はそいつを、世界で一番大切にしていた。
どういう因縁か。
一雨家は能力者の家系だった。
平均階級が二という、少々弱めな家系だったが。
俺は自分の能力を小3で認識し、一雨家で修行を積み、
小5で十分使いこなせるようになった。
嬉しかった。心から喜んだ。一雨家の両親から誉められた。
そして、俺は一雨家に溶け込んでいき、平和な時間を過ごしていた。
だが、これも運命というものか。
一雨家に、階級四~五の集団が襲ってきたのだ。
俺と雫と静は、一雨家の母親と一緒に逃げていたが、
母親が追っ手に殺され、
逃げることもできず、俺が応戦していたが、
敵の策略にはまり、3人とも敵が作り出した霧の中に閉じ込められた。
恐らく1時間程、防衛戦をしていたが、
満を持して、俺が攻撃を仕掛けたのが、
角度的にちょうど敵の盾となっていた、
一雨 静だった……
彼女の胸には、俺が作り出した剣が突き刺さっていた。
俺は急いで剣をしまい、倒れ込む静を抱えるようにしゃがみ込んだ。
それで傷が塞がるはずもないのに
静の体は、とても冷たかった。
呼吸はせず 脈も打たず その目が開くことはなかった
俺は泣いた。叫んだ。そして、絶望した。
この世界に。この日常に。
それから後のことは、あまり覚えていない。
雫に聞いた話だと、
その後、大爆発があったらしい。
確かにあの後、水素を取り出した覚えがある。
何故、雫が無事だったのかを聞くと、
ずっと俺のそばにいたら無事だった。
とのことらしい。
それからしばらく、俺は静を抱えたまま、泣き続けていた。
俺は初めて人を愛して その人を殺した
中1のある雨の夜の話




