襲撃
憂鬱だ。
襲撃されることくらいは予想の範囲内なのだが、
(所詮は階級二のやることか)
もう少し上品にできないものか?
足元には沢山の瓦礫。左手には物騒な形をした矢。
(これを誰が片付けろと?
まあ、俺か……)
敵の能力は魔力付与の能力で間違いはないだろう。
俺は持っていた矢を投げ捨てて、
崩壊した壁の方を見た。
遠い場所に山が見える。恐らくあそこから撃ってきたのだろう。
「あの山から撃ってきたんじゃないの?」
長里が指を指す。その方向と俺が見ていた場所が見事に一致する。
「だろうな。ダイナミックに壁破壊しやがって」
「所詮は階級二だね」
同じことを考えていたらしい。
まあ、それ以外考えることがないんだが……
そんなことを考えていると、
「また撃ってきたよ!」
「分かってる」
矢が4本飛んできた。
「……仕方ないなぁ」
と言いながら、俺は指を鳴らす。
ピンッ と……
その直後、俺の周りに4本の剣が並んで出てくる。
そして、俺が手を前に突き出すと、
剣が順番に飛び出していった。
4本ずつの剣と矢はお互いぶつかったと同時に壊れていった。
そう、これが俺の基本戦術。
空気(主に窒素)を、適当な金属(主に鉄)に無理矢理変えて武器を作り出し、
それを相手に向けて射出する。
今やったのが、まさにそれだ。
「さすが。原子使いは強いね」
「そんな大したことじゃない」
長里のお世辞を丁寧に受け流す。
先程の射撃から大体の相手の位置を掴んだ。
後はその辺りの空気の動きを読めば……
……ミツケタ……
「武器精製:弓矢」
俺は手元に大きな弓と長い矢を作り出し、
静かに構え、無言で照準を合わせ、
少しだけ空気の動きをずらして、
そして、
放った。
放った矢は真っ直ぐに飛んでいき、
迎え撃とうとする相手の攻撃を、意図もたやすくはねのけて、
そのまま、
相手の胸に突き刺さった。
こうして、高校生活最初の戦闘は終わりを告げた。
(あっけないものだ……)
俺達は原子操作で瓦礫をくっつけたり繋げたりして壁と窓を直して、
そのまま帰った。
学校側が「謎の爆発事故」として、しばらく学校を休みにしていたのだが、
結局原因を掴めず、一週間程度で学校を再開。
そりゃそうだ。分かるわけがない。
いきなり教室の壁が崩壊したと思ったら、
その数分後には直っていて、目撃者も今まで誰も出てきていないのだから。
今更だが、能力者は今まで公に載ったことがない。
故に、「能力者同士の戦闘が起こっていた」
なんてことを頭の隅にすら置く者はいないだろう
まあ、今回は何とかなったのだが、
次回からはできればもう少し穏便に済ませたいものだ。
というか、誰も戦おうとしなければ、それ以上に面倒なことはないのだが……




