崩れかけてゆく日常(後編)
現在の状況をお伝えします。
一雨 雫が教卓の前に立ち、少々ムスッとした表情をしておられます。
そして俺と長里 冷実安が教室のど真ん中であり、一番前に位置する席に並んで座っており、
俺が呆れた、長里がニッコリとした表情を見せる、
なんともシュールな状況にあります。 以上
そして雫が口を開く。
「それで?どうして雪成君は「荷物を置いたらそっちのクラスに行く」という宣言を無視して、長里さんとイチャイチャ話してたのかな?」
ドストレートに誤解されていらっしゃる!
「その台詞を無視したことは謝る。
だがな、長里とイチャイチャしていたことは大いなる誤解だ」
「あっ誤解?じゃあいいや」
雫はハッとしたような表情をした。
(いいのか?)
「でも、先程の約束を破るのはどうかと思うんだけど?
それに対してはどう言い訳する?」
一点の曇りも無い笑顔を雫は浮かべる。
その中に込められたら怒りがとてつもなく怖い。
「仕方ないだろ!
長里の方から「天」への行き方を教えてくれって言われたんだから」
そうしたら雫はとても驚いたような顔を見せる。
(そりゃ、驚くか)
「長里さんの方から?本当に?」
「ええ、私から彼に聞いたのです。
もし私がお二人の邪魔をしてしまったのなら謝ります」
「えっいや。そんなに邪魔ってわけでも……」
雫は大変慌てておられる。
そして、長里の表情は謝罪の意志を表している。
だが、そんな簡単に人を信じれない自分が少し嫌いになりそうだ。
「別に真に受けなくていいぞ、雫。
あと、お前の言葉に罪悪感は感じないよ、長里」
「持って欲しかったの?」
首を傾げる長里。
「いいや、別に」
否定を表す俺。
「え、えっとー」
困惑する雫。
不思議な空間だ。
「つまり、長里さんも「天」への行き方は知らないと……」
「ええ、すみません」
あの後、どうにか重たい空気を押しのけて、お互いに軽く自己紹介を済ませて、
そして先程までの俺と長里の会話まで行き着いたところである。
だが、雫はその話を目を点にしながらギリギリついてきている。
(こいつは物覚えが悪いな。
能力者のことを話し出したの小6なのに、覚え切れたの中3だった気がするし。
どうやって高校入ったんだ?)
それからしばらく今後のことを相談していたのだが、結論は……
「まあ、しばらくは特に何もせず、お互いに協力関係を維持するということで」
「そうだね。でも、階級五の雪成君と階級四の私が揃ってるんだから、
襲撃とかには気をつけないと」
「確かになー、もっと穏便に済ませようとはしないのかな?」
その瞬間……
教室の窓側の壁が崩壊し、
代わりに、
膨大な魔力を帯びた矢が飛んできた。
そして、俺は、
「……こういう奴らは……」
それを片手で止めていた。




