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能力者のいる普通の日常  作者: 片隅 銀
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帰路

「アーハッハッハッ!それは大変だったね!」


「笑い事じゃねえよ」


俺は今、自宅への帰路についていた。

あの後、俺や長里に話し掛ける者はいなかった。それはそれでよいのだが、

何故か男子からの視線がやけに痛かった気がした。気のせいか?


ちなみに今隣で笑っているのは、隣のクラスで俺の幼馴染の、

一雨ひとあめ しずく」だ。ちなみにこいつは能力者ではない。

だが、俺はこいつに自分の能力のことを教えている。


この世界には「自分の能力を他人に知られてはいけない」というようなルールが

ないからだ。

「皆にしゃべって自慢する者」「一部の人にだけ話す者」「誰にも話さない者」といろいろといるだろうが、その中でも俺は「信頼出来る者にのみ話す」という

恐らく一番無難なスタンスをとっている。


そして俺は、今日の一件をこいつに話してみた、

その結果があの笑い声だ。少し不愉快である。


「ていうことは、その長里さんて人も、能力者ってことでいいのかな?」


「いいんじゃないか?あの速さはプロボクサーでも驚きそうだったからな」


恐らく肉体強化系能力と見て間違いはない。

速度上昇系能力だったら、あの壁をぶん殴って、手を少し気にする程度じゃすまないはずだからな。


「そういえば、その人に『天』の事は聞いたの?」


「いや、聞いてない。聞く気すら起きなかった」


「ふうん……」


先程彼女が言った「天」(てん)というのは、いわゆる楽園のようなものであり、

世界で一番最初に辿り着いた者の願いを叶えるという何ともテンプレートな場所のことだ。

願いには、いろんな種類がある。「お金」「権力」「世界平和」など、

中には「世界征服」なんて野望じみた者もいるだろう。

だが俺はどれにも属さない願いがある。


それは、「能力者のいない世界」だ。


確かに能力があるというのは非常に便利なものだ。だが、能力を持っているからこそ、人間関係がズタズタにされたという者もいるだろう。

俺は自分がこの「能力」がいらないと思っているのと同時に、そんな人達を救ってやりたいという思いもあり、この願いを持っている。


だが、100人の能力者、もしくはその関係者に聞けば、

95人以上はその存在を「知っている」と、答えてもおかしくない「天」と言われる場所は、

その行き方を全く周知されていないのだ。

無論、俺もその行き方を知らない者の一人だ。


恐らく雫は、

「長里 冷実安なら、もしかしたら「天」への行き方を知っているかもしれない」と思い、聞いてきたのだろう。


だが、今俺のクラスはあの状態だ。

あの雰囲気でのうのうと聞き出せるわけがない。


それに、あの長里 冷実安がまだ十分な協力関係にない状態でそう易々と口を割るとも思えない。


「長里と十分に信頼が出来合うくらいじゃないと。聞き出すにはまだ早い」


「そうだね~、そのあたりはゆっくりと時間を置いて仲良くなっていけばいいよね?」


「それでいいだろ。というか、お前が仲良くなる意味があるのか?」


「いいじゃん。友達は多い方がいいもん!」


「ああ、そう……」


いくら信頼されていても、どれだけ友達がいても、

あいつが言い出してくれるとは限らないのだが……


まあ、同じクラスであり、同じ能力者である以上、少しはお互いの事を知っておく必要があるだろう。


「軽いコミュ障はどうにかしないとな……」


「ハハハ……」


その後は、二人で自分のクラスの事などをを話し合ったりして、

そのままお互い帰宅していった。


今日は疲れた。早めに寝よう。明日も学校がある。



……くどい様に言うが、ため息しか出てこない……

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