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何かの予兆?
長里の家に向かう道中、一つの端末が振動する。
「瀬西さんか?」
「そろそろ君もさん付けは疲れてきただろう?」
「……何要だ?」
「いや、一つ、初任務お疲れ様。とね」
「さっさと用件を話せ切るぞ」
流石にこの人の思考回路は読めるようになってきた。
「……賞金については、」
「もう知ってる」
「……話は以上だ」
「ネタキャラにでもはしるつもりか?止めとけ似合わんぞ。というか用件を速く言え」
「私は君に第二位の座を与えたのだ。早く自分のやりたいことをやってしまえばいいんじゃないか?」
「……よけいなお世話だ」
それだけ言って通話を切る。
「まずは邪魔なあいつを片付けてからだ」
「あら、帰ってきたのね」
「ああ」
雫を引き取ろうと長里の家に戻ってみると、どうやら雫はまだ夢の中らしい。
「相手はどうだった?」
「ただのくずだった」
「そう……」
お互い興ざめと言わんばかりに溜息をつく。
「雫はまだ寝てるよな?」
念のために確認しておく。
「ええ、まだ熟睡中」
これから何を言われるかを察しているような口調で長里が答える。
「なら、あの自称神様を黙らせてくる」
そう言ってまた長里の家を出る。帰って三十分も経ってない気がするが、そのあたりは今はどうでもいい。
瀬西さんの言う『自分のしたいこと』の一過程である邪魔者の排除のために。




