要件
「相変わらず君の情報収集能力はすごいね」
瀬西さんが薄く微笑む。
「まあそんな険しい顔をするな。私としても物騒なことをする気はないよ」
「なら要件はなんだ?」
「単純だ。君に階級五第二位の座を譲ろうと思っているのだが」
「は?」
まさに素っ頓狂という言葉が当てはまりそうな声だった。
「階級五第二位の譲渡?」
「ああ、今の君と本気で戦っても勝てる気はしないよ」
「随分と逃げ腰だな?たかがその辺にいる普通の高校生に対して」
「過去や未来を視る力を持ち、尚且つ世界を割く剣の持ち主が『その辺にいる普通の高校生』なわけがないだろう」
「よく知っておられる……」
俺は暫く考え込む。
認めたくないが、この男は信頼するに値する人物ではある。
俺は一つ大きなため息を零し、
「わかった。階級五第二位は受け取ろう」
それだけ言って俺が後ろの扉に向けて歩き出したとき、
「ああ、それともう一つ」
瀬西さんが俺の背に呼び止めの声をかけてくる。
俺は振り返り彼の方を見る。
「なんだ?まだ何か?」
「いや、少し長話になるかもしれんがいいかな?」
「ああ、問題ない」
俺は不機嫌めに答える。
家に帰ると雫がまだうちにいた。
そして開口一番、
「遅い!おなか減った!」
「知らん!」
即答で返す。
「なら自分でなんか作れ」
「やだ、ナガレンが作って」
「俺は疲れたお前が作れ」
「今の冷蔵庫の中じゃ何もできない。こういうときはナガレンの方が得意」
「食材無いなら買いに行け、もしくは調味料でやり過ごせ」
「こんな状況で開いてるお店なんてないし、調味料でおなかいっぱいにはならないよ」
ただの子供の口喧嘩である。
「とりあえず俺は疲れたお休み」
「あっ、ちょっと!」
確かに腹が減った。目が覚めたら何か食うか……




