破壊工作
そして当日、隕石落下日。
人類終焉だ!赤飯でも鯛でも鰻でも鯨でも好きなもの食えー!
……と考えてられる俺はやはりおかしいのだろうか?
現在6月30日午前10時半、
隕石は学校の真上数十キロの辺り。
「あっつ……」
岩と大気との摩擦熱がこんな所にも届いているのか、
30度近くはあるように思える。
「……そろそろ行くか…」
額の汗を拭い、腕を前へ突き出し、手を開く。
天は赤く染まり、地は黒く割れる。
是は森羅万象を破壊し、花鳥風月を生み出す矛盾の剣。
世界を創り出す剣は、同様に世界を破壊する。
生み出すは我が後悔、造るは我が憎悪、力は我が絶望より。
顕現せよ。我が心喰らいてその刀身を示せ。
神様に言われた詠唱を律儀に言ってみた。
やはり詠唱は中二心を揺さぶってくれる。
言わなくてもいいことは本人も言っていたが……
そしてまたunknownを取り出す。
(これで二回目か)
俺はもう一度隕石を見る。
デカすぎて距離感が掴みづらいが、もう目の前も同然だ。
これくらいならお構いなしに撃っても大丈夫だろう。
そして俺は身構える。
途端に剣から何本か光の筋が溢れ出す。
光の筋は波打つようにほぼ360度流れている。
俺は隕石を見つめる目を細めてしっかりと距離・角度を捉える。
そして……
「フッ!」
思いっきり振り上げると同時に光の筋は隕石に流れていった。
そして岩の塊は少しずつ小さく割れていく。
最初は真っ二つに、次はその半分、次はその半分と、
まるで細胞分裂のように消えてゆく。
最終的には砂の雨が降っているようになり、
気付けば曇り気味の空から青空が広がっていた。
「ふう……」
と息をつくのと同時に俺は腰を下ろした。
俺の疲れを表しているのか、unknownはいつの間にかその姿を消していた。
「なんとかは、なった……」
俺は暫くその場に座っていた。
神様に鍛えては貰ったが、ほぼ初見で隕石粉々はドッと疲れが込み上げる。
座っているのも疲れてきて、屋上で寝っ転がっていたら、入り口の扉が開く音がした。
俺は首だけをそちらに向けやってきた人物を視認する。
「あんたか、瀬西さん……」
「あぁ、君の活躍をこの目で観させてもらったよ」
『活躍』と言っても俺は剣を振り上げた程度なのだが……
と、少し尖らせた視線を送る。
「そんな顔をするな。言わば君はこの地球の救世主だ」
「そんな大それたものじゃない」
「さすがに今日は疲れているだろう?帰ってゆっくりと休んでくれ」
「あぁ、そうさせてもらう」
瀬西さんはそのまま屋上を後にし、
そして俺は家に帰……りたかったのだが、生憎と体が疲れと眠気を訴えてくるので、
ケータイでなんとか長里を呼び出して家まで運んでもらった。




