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能力者のいる普通の日常  作者: 片隅 銀
14/37

行き方

「己ノ……剣……?」


次から次へと新しい情報が入ってくることは嬉しいことなのだが、

一気に言われるとさすがにきつい。


神と名乗る女性は「そんなことお構いなし」と言わんばかりに言葉を繋げる。




 己ノ剣



 それは、

 「物体」ではなく、

 「エネルギー体」でもなく、

 「思念体」でもない。


 この世界から「物」とすら扱われない謎の剣。



 その刀身は半透明に輝き、

 そして、

 誰ひとりとして破壊することも創り出すこともできないと言われています。



「と言っても、その存在を創り出したのは私なんですけどね。

 それでも、あの剣には私の能力は通用しません」


(つまり、自分で創り出した剣のことを「謎」と呼ぶおかしい人ということ?

 いや、神か)


「それでも、あなたを倒すことはできないんじゃ?」


長里が震えた声で聞いた。


「長里、落ち着きな。

 神さんは「寿命」を破壊しただけで「自らの死」を破壊したとは言ってない」


「そのとおりです」


「ところで神さん?

 その「己ノ剣」とやらはどうやったら手に入るのかね?」


「己ノ剣の入手法、ですか?……それは……」




 一、階級五であること。



 二、自らの命よりも大切な者がいること。



 三、その者を自らの手で殺すこと。




「この三つでございます」



それらを聞いた瞬間、俺は意識が吹っ飛びそうになった。



「ちなみに、この条件に順番はありません。

 ですから、大切な人を殺した後に階級五に入っても変わりません」


「……じゃあ……なんで……?」


「私もそれを疑問に思っていました。

 「なぜあなたが己ノ剣を持っていないのか」を。

 己ノ剣はこの世に二本しか存在しません。私が持っている分をいれても。

 ですが、今のところ他に所持している人はいません」


「なんで……なんで……?」


俺は頭を抱えて唸るように言い続けた。


「ですが、最近になってやっとその理由が分かりました。

 それは……」




 あなたが彼女の死を受け入れてしまったからです



「っ……?!」


本気で意識を失いかけた。




 己ノ剣は、


 大切な人、愛した人。その人の死に対する

 怒りや悲しみ、後悔といった、

 いわゆる「負の感情」を原材料とし、


 世界の理不尽さや残酷さ、

 そういったものへの「絶望感」を糧としている。



「あなたはその規模がとても多かった。

 ですが、あなたはその剣を形成する前に、

 その事実を受け入れてしまった」


「それじゃあまるで……静が無駄死にしたみたいじゃないか……」


「そうなってしまいますね……」

 


俺はそれ以上思考が追いつかず、その場に倒れて気を失ってしまった。


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