真実
「これが、俺達の過去だ」
俺は長里に一通りの説明を終え、手元にあった麦茶を飲む。
長里はこの話を聞いている間、ずっと驚いたような……
いや、まさに驚いた顔をしていた。
(そりゃそうか。
目の前にいる男が「実は殺人者でした!」的なこと言われたら誰だってビビる。
俺だってビビる。)
「じゃあ、雪成君の「天」への望みは……」
「そう、この世界から「能力」をなくすこと」
「それって、静さんを殺した自分の「能力」への恨み?」
長里が慎重に聞いてきた。
(今までの不気味な笑顔はどこいった?)
「いや、それもなくはないけど、大部分は……」
……俺と同じ思いを、もう誰一人として感じて欲しくないから……
「偽善者と言われてもいい。それでも俺は、
能力者同士の不毛な争いで悲しむ人が出て来て欲しくない。
心からそう思っている」
これが俺の、この望みを持つ最大の理由。
しばらく沈黙が続いた。
だが、相変わらず学校自体は騒がしい。
「そろそろ戻るぞ。時間がヤバい」
二人はそれぞれ肯定の意思表示だけをして、静かに弁当箱片付けて、教室へ戻る。
そして、午後の授業に取り組む。
なんだか、憂鬱だ。
後であいつの墓参りでもするか。
「手紙?」
現在下校時刻にあるこの学校、の靴箱、
そのふた(戸?)を開けた途端に出てきた言葉が先程の台詞である。
「え、手紙?もしかしてラブレターとか?」
別の場所にいた雫が俺の声に気づいて近寄ってきた。
(お前は馬鹿か?)
いちおう開けて確かめておく。
そこに書いていたことは、なんとも面倒な呼びつけだった。
「これは……決闘の申し込み?」
「それ以外にこの文章の解釈があるか?」
手紙の内容はこうだった。
四月二十二日の午後十時三十分
お前の学校の屋上にて待つ
とのことらしい。
さあ、いったいこの状況をどう形容すればいいのだろうか?
俺にはさっぱり分からない。
(まあ、四月二十一日が今日、
つまりその翌日である明日の夜十時半にこの学校の屋上に行けと?
まったく面倒な要求をしてくる奴だ)
「まあまあ、せっかくだし気分転換に暴れてくれば?」
(お前はのんきでいいなあ)
まあ、気分転換にはちょうどいいかな?
という意見は確かにある。
(具体的に何の?と、聞かれたらどうしようもなくなるのだが)
まあ、行ってやるか。なるようになれだ。
後は野となれ山となれ!
と、そんなこんなで当日の午後10時。
「寒い!」
春とはいえ夜はいつでも寒い。
(もう少し着込んで来ればよかった)
などと、気の抜けたことを考えていると、
「結構早く来てるじゃん!」
と、少し高めの女の声が聞こえた。
俺はとっさにその方向に目を向けると、
体格的には中学生と言えそうな少女が、うっすらと微笑みながら、
給水管の上に立っていた。
(暖かそうな服着やがって!)




