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能力者のいる普通の日常  作者: 片隅 銀
10/37

真実


「これが、俺達の過去だ」


俺は長里に一通りの説明を終え、手元にあった麦茶を飲む。


長里はこの話を聞いている間、ずっと驚いたような……

いや、まさに驚いた顔をしていた。


(そりゃそうか。

目の前にいる男が「実は殺人者でした!」的なこと言われたら誰だってビビる。

俺だってビビる。)


「じゃあ、雪成君の「天」への望みは……」


「そう、この世界から「能力」をなくすこと」


「それって、静さんを殺した自分の「能力」への恨み?」


長里が慎重に聞いてきた。

(今までの不気味な笑顔はどこいった?)


「いや、それもなくはないけど、大部分は……」




……俺と同じ思いを、もう誰一人として感じて欲しくないから……




「偽善者と言われてもいい。それでも俺は、


能力者同士の不毛な争いで悲しむ人が出て来て欲しくない。


心からそう思っている」



これが俺の、この望みを持つ最大の理由。





しばらく沈黙が続いた。


だが、相変わらず学校自体は騒がしい。



「そろそろ戻るぞ。時間がヤバい」


二人はそれぞれ肯定の意思表示だけをして、静かに弁当箱片付けて、教室へ戻る。


そして、午後の授業に取り組む。




なんだか、憂鬱だ。


後であいつの墓参りでもするか。






「手紙?」


現在下校時刻にあるこの学校、の靴箱、

そのふた(戸?)を開けた途端に出てきた言葉が先程の台詞である。


「え、手紙?もしかしてラブレターとか?」


別の場所にいた雫が俺の声に気づいて近寄ってきた。


(お前は馬鹿か?)


いちおう開けて確かめておく。


そこに書いていたことは、なんとも面倒な呼びつけだった。


「これは……決闘の申し込み?」


「それ以外にこの文章の解釈があるか?」


手紙の内容はこうだった。



四月二十二日の午後十時三十分

お前の学校の屋上にて待つ



とのことらしい。



さあ、いったいこの状況をどう形容すればいいのだろうか?

俺にはさっぱり分からない。


(まあ、四月二十一日が今日、

つまりその翌日である明日の夜十時半にこの学校の屋上に行けと?

まったく面倒な要求をしてくる奴だ)


「まあまあ、せっかくだし気分転換に暴れてくれば?」


(お前はのんきでいいなあ)


まあ、気分転換にはちょうどいいかな?

という意見は確かにある。

(具体的に何の?と、聞かれたらどうしようもなくなるのだが)


まあ、行ってやるか。なるようになれだ。

後は野となれ山となれ!



と、そんなこんなで当日の午後10時。


「寒い!」


春とはいえ夜はいつでも寒い。


(もう少し着込んで来ればよかった)


などと、気の抜けたことを考えていると、




「結構早く来てるじゃん!」




と、少し高めの女の声が聞こえた。


俺はとっさにその方向に目を向けると、



体格的には中学生と言えそうな少女が、うっすらと微笑みながら、

給水管の上に立っていた。






(暖かそうな服着やがって!)

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