表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サマーメモリー  作者: ぴぃ夏
7/10

作戦

どうも。

今回で7話目です。内容が被ってるんじゃね?と思った方はその辺はスルーでお願いします。

「本当にそんな作戦で大丈夫なんです?」

 楓は不安そうな表情を浮かべた。

「むこうは楓が俺たちといることを知らないんだろう?」

 絢斗が楓に確認する。

「はい。あと、私のことを普通の人間と変わらない状態というのは知っています。」

「それでいい。それなら向こうは確実に油断する。」

「そこで俺たちが攻めればいいって話だろ?」

 敦司が絢斗の後に続いて言った。

「でも、相手はあくまで狛犬。人間ではないんですよ?力の差があるのにこちらから攻めるなんて。」

 楓は心配で仕方がないようだ。

「向こうの弱点を利用すれば何とかなる。一人一人に別れさせればもっと楽だけど。」

 譲が言った。

「楓ちゃんは心配しすぎ。」

「私も心配だけどね…。」

 奈恵子がそう言うと、皆一斉に笑った。

「大丈夫。今回は楓は連れていかない。」

「え?呼び出したのにですか?」

「失敗した時の保険だよ。」

「なるほど。」  

 楓は理解したようだ。

「近くの廃工場に呼び出して、できるなら二人を倒す。できなきゃ普通に逃げるだけ。」

「罠とか張るからそうゆう作業は手伝ってもらうよ。」

「え~、うちもやりたい。」

 穂奈美は頬を膨らませていった。

「やりたい人はやってもらうよ。流石に男子三人じゃキツイ。」

 敦司は苦笑いを浮かべながら言った。

「罠ってどんな?」

 奈恵子が言うと、敦司は皆を外の物置小屋に連れていった。

「ここに入っているものを使えないかな?」

 中にはネット、ライト、テントのシーツ、コンロなどキャンプ用品が詰まっていた。

 もともと、敦司の父親がキャンプ用品に興味があって、気になったものはほとんど買っていた。

 ちなみに敦司は家族でキャンプなんてしたことない。宝の持ち腐れというものだ。

「何とかなりそうだな。」

 絢斗が感心したように首を縦に振った。

「問題はどんな罠を作るかってことだな。」

 譲の言葉に皆考え込んだ。

 廃工場といっても、中は何にもないところだ。かろうじて電気が通っているだけで、あとは文字通り何もない。

「とりあえず入り口に作ろうぜ。」

「どんな罠を?」

「ドアを開けると上からバケツが降ってくるとか。中にはめっちゃ臭いのきついのを入れて。」

「なるほど、それいいな!」

 敦司は自分の意見を褒められて少し照れていた。

「曲がり角でいきなり照明オンは?暗いところでやれば目がやられる。」

 譲も調子が出てきたようだ。

「採用。他は?」

 絢斗は皆の顔を見回した。

「そういえば、あそこ屋根裏に入れるよね?上からなんかできない?」

「何かとは?」

「上から爆竹投げるとか。」

「穂奈美、それ結構危ないからな?」

「流石に当てないよ…多分。」

「後半の言葉何!?」

 笑いながら危ないことを言う穂奈美と、それに突っ込みを入れる敦司。

 もともとそうだが、皆は緊張感がないというか、楽観的というか。とにかく楽しそうなのだ。

 まだ皆は18歳と19歳だ。大人になりつつある言っても器がでかすぎる。まるでゲーム感覚だ。

「皆さんはなぜそんなに楽しそうにできるんですか?」

 楓は顔を伏せながら言った。

 その一言に絢斗達は訳が分からないような顔をした。

「まだわかりません。こんなことに積極的になるなんて。」

 楓はまだ顔を伏せている。

「さっきも泣きながら言ってたねそれ。」

「な、泣いてません!」

 譲が言うと、楓はやっと顔を上げた。

「あのさ、俺らは楽しそうなら何でもいいんだよ。」

「そうだよ、しかも楓ちゃんは追いかけられてるのに、ほっとけないよ。」

 絢斗と穂奈美が続いて言う。

「私は少し不安もあるけど、楓ちゃんのためだから大丈夫!」

「いつメンに入ったんだから見捨てないってさっきも言っただろ?」

 奈恵子と敦司も皆に続く。

「でも…。」

「その話はもう禁止だ。いいな?」

 敦司は強引にその話を終わらせた。

「罠を作るために、あとで皆に連絡しとけ。」

「はいよ。」

 絢斗が敦司に言うと、皆は再び罠を考え始めた。

「………この人たちは絶対死なせちゃいけないです。」

 楓はこれから待っているであろう展開に、静かに決心した。

 絢斗達はそのことに気付かず、目の前の作戦に心を躍らせていた。

意見やアドバイスがあればコメントお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ