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サマーメモリー  作者: ぴぃ夏
5/10

対策

5話目です。

いきなり展開がよくわからない方は一話から読むことをお勧めします。

 絢斗達は悩んでいた。相手が人間ではない者にどう対処していいか思いつかないからである。

「向こうはなんか能力とかあるのか?」

 敦司が楓に質問する。

 一番大事なことはそれだ。向こうが人間離れした攻撃をしてくるのなら敵うわけがない。

 しかし、楓は首を横に振った。

「そこまで特殊な能力はありません。強いて言うなら身体能力が高いくらいです。体の耐久度などは普通の人間と大差ありません。」

 それを聞いて皆は少し安心した。

「身体能力が高いだけか。」

「他には五感が鋭いことですね。」

 楓が補足して説明する。

「五感が鋭いって、よくさっき見つからなかったな。」

「あの時は結界を張ったので。」

「結界!?」

 皆おどろいた表情を浮かべる。

 いきなり結界を張ったという現実離れしたことを言われれば無理もない。

「はい。短時間なら存在をすべて隠せる結界が作れます。」

「だいたいどのくらい?」

「三分が限界です。」

「短いな。」

 敦司は額に手を当てて考えた。

「真っ向勝負も逃げるのも俺らには無理か……詰んでるな。」

「いや、案外そうでもないかもよ。」

 そう言ったのは譲だった。

 皆は一斉に譲の方を向く。

「何か方法でも思いついたの?」

 穂奈美が少しテンションが上がった口調で訊いた。

「五感が鋭いんだったら臭いと音は俺ら以上に効くと思うんだ。」

「なるほど。臭いはともかく、音だったら携帯して持てるものもあるしな!」

 敦司も勢いが出てきたようだ。

「そうゆうこと。実際どれくらい効果があるかはわからないけど、音が大きめの防犯ブザーとかさ。」

「臭いもいけるだろ。ビンとかに異臭の液体入れればそれをまけばいいだけだし。」

 絢斗も案を出す。

 こうゆう時、この二人はとても頼りになる。ゲームとかの攻略も、敵の弱点を見つけて確実な攻め方をするし。

 二人とも眼鏡をしているので、いつメンのメガネ男子は伊達ではないと敦司は思っていた。

「異臭の者って例えばなに?」

「香水混ぜ合わせとか」

「うわっ!それはキツそう!」

 奈恵子は思わず鼻をつまんだ。

「音も防犯ブザー以外にもこの時期なら爆竹も売ってると思う。」

「うわ~楽しくなってきたね!」

 穂奈美はもうウキウキしている。

「ちょ、ちょっと待ってください。かくまってくれといったのは私ですが、皆さん怖くないのですか?」

 楓は驚いた表情を浮かべている。

 だが、それに対して絢斗達はキョトンとした顔をしている。

「え?なにが?」

「なにがって、相手は人間じゃないんですよ?それなのに皆そんな楽しそうに…。」

 楓には理解できなかった。

 普通は敵わない相手を前にしたら絶望するか、自分を見捨てるかのどっちかだと思っていたからだ。

 しかし、この人たちはむしろこの状況を楽しんでいる。

「こんな面白そうな状況楽しくないわけがない。」

 敦司は笑顔を浮かべながら言った。

「いままで退屈だったから、面白くなりそうだ。」

 絢斗も便乗していう。

「うちらはこうゆうの結構好きだよ。」

 穂奈美も二人に続く。

 奈恵子も譲もうんうんと首を縦に振る。

「あと、いつメンのメンバーを見捨てるわけにはいかないしね。」

 絢斗がそう言うと、皆は強くうなずき、楓の方を見つめた。

「皆さん…。」

 その時、楓は頬に暖かさを覚えた。

 それは自分の涙がこぼれていたのだ。

 なぜ涙がこぼれているのかは楓自身にもわからない。

 しかし、その涙は暖かく、止められなかった。

「ほら、泣くなって。皆で守ってやるから。」

 その一言を聞いて、楓は顔を上げ、笑顔で答えた

「はい。ありがとうございます!」

 楓は、この人たちなら信じられると確信した。

 そして、湧き上がる喜びで涙はなかなか止まらなかった。

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