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朝、学校に登校すると僕は大きなあくびをした。
昨日の夜は妹が何故怒っていたのかが分からずに寝ようと思っても寝れなかった。そのせいでかなり寝不足だ。
「大丈夫か?眠そうだけど?」
要が僕を心配してくれているようだ。
「ちょっと昨日色々な事があってな。バイト先に面倒な客が来たんだよ」
「へぇ~、それは大変だったな」
要は完全に他人事のように言ってやがる。張本人が知らないのはかなりイラっとするな。しかし、ここはそこを気にしても仕方がない。そうだ、要に昨日の夜の事を相談してみよう。
「そういえば、昨日は妹の様子がおかしかったんだ。ちょっと話を聞いてくれないか」
「あぁ、いいぞ。まぁ、俺に手伝える話だったらいいけどな」
僕は昨日の夜の話を要に話した。
すると、要は哀れみの目で僕を見つめてから僕に言ってきた。
「徹、今日はお前も入部している我が部活動に来い。そこでじっくりとお前に妹ちゃんが何で怒っていたか説明してやる」
要と僕が所属している部活動?あっ!ギャルゲー研究会の事か!
部活動を作るためには三人の部員がいるらしく、僕は要と朝霧が作ろうとしていたギャルゲー研究会に頭数として入れられていたのだった。まぁ、バイトなどがあるので僕は幽霊部員なのだが。
しかし、僕はその後にさっきの仕返しではないが要の事を哀れみの目で見た。
「何だよ!今日も何か用事でもあるのか?それに何で俺の事をそんな目で見ているんだよ!」
「いや~、要。明日は何の日か知っているか?」
「明日?明日は4月の22日だろ。あっ、ショートケーキの日だ!」
「知らないよ!そうじゃなくて。明日からテストだろ!」
僕がそう言うと要はその場に倒れこんでいた。
「テ………………ス………………………トだと!」
要は今にも死なそうな弱った声を出して落ち込んでいた。
「そういえば、最近みんなが勉強してるなと思ってたんだ。何だか学校全体が真面目な雰囲気に包まれてると思っていたらテストなのか」
「要、僕は昨日もテストの話をしたよな」
「知るか!俺の頭はテストという悪魔の三文字を拒絶するように出来ているんだよ!」
「ずいぶん便利な頭だな。まぁ、頑張って今日の夜にでもテスト勉強するんだな」
「うるさい!俺は勉強なんかするわけないだろ!」
要よ、少しはするべきだと思うぞ。
僕たちがそんな風に話していると朝のホームルームの時間になった。
担任と後一人別の人が入ってきた。
確かあの人は………………………。
「皆様、ごきげんよう」
黒髪ポニーテールの品の良い人が教室に入ってきた。ウチの巴さんとは違って、あの人は本当にお嬢様の雰囲気を醸し出している。あの人は生徒会副会長 北条院 沙羅さんだ。
あの人、学園の中でもかなり人気があるんだよな。でも、何であの人がこんな所に?
「すみません、皆さんに今日は残念な報告があって参りました。実はこのクラスの出し物が生徒会の会議で不適切な出し物だと言うことで却下されたのを報告にきました」
クラスメイトはかなりがっかりしていた。みんな乗り気だっただけにショックなのだろう。
「何でですか!何でコスプレカフェがダメなんですか!」
「そうだ、そうだ!コスプレの何が悪いんだ!」
朝霧と要はまだ副会長に歯向かっていた。おそらく、二人はかなり熱が入っていただけに諦めきれないのだろう。
「副会長、私も理由が聞きたいですね。何故ダメなのか。一応、ちゃんとした理由があるんでしょうね」
「もちろんです。生徒会で話し合った結果が不適切だったんですよ。コスプレなんてあんな恥ずかしい格好をして、お客を呼ぶのは生徒会としても認められませんでした。あんなはしたない」
副会長はみんなに大してトドメを指すようにキツく僕たちに言った。
しかし、それは逆効果だ。
「ふざけるなよ!コスプレが恥ずかしい格好だと!はしたない格好だと!コスプレのコの字も分かっていないようなお嬢様や生徒会の石頭共がふざけるなよ!コスプレを馬鹿にするのは僕が許さない!石頭共の偏見によってコスプレカフェがなくなるなら僕は文化祭の日に解散選挙権を使わせてもらいますよ。そうなれば困るのはどちらですかね!」
副会長はあっけにとられていた。委員長以外は僕の言っている事の後半も分かっていないようだ。
「そんな事出来る訳が………………………」
副会長がそう言って絶句していると教室のドアを蹴りのよって何者かが吹きとばしたのだった。
その光景はかなり異様だった。
かなり可愛い人が教室のドアを蹴りで吹き飛ばしたのだからな。
「失礼するぜ、やっぱりそうくるか、徹は。だから言っただろ沙羅。徹を相手に迂闊な事をすれば寝首をかかれると。言っておくがそこの徹達と解散選挙を戦えばおそらく私達は負ける。それだけじゃなく、文化祭も厳しくなる。それでも奴らの出し物を却下するのか?」
「くっ………………、あなたが会長がいつも言っている黛 徹ですか。なるほど、会長が毎日生徒会に奴を欲しいとぼやく
訳ですね。さっきの一瞬で解散選挙権を出してくるなんて。普通の学生なら知りもしないような校則がよく簡単に出てきましたね。なるほど、確かにあなたは脅威になりそうだ」
クラスメイトがちんぷんかんぷんなので委員長が分かりやすく説明してくれていた。
「徹君がさっき副会長に言った『解散選挙権』って言うのは。すごい昔に一度だけ使われた校則で。生徒会に不満があるときに全校生徒の前で演説をしてからアンケートをとって生徒会に5分の1以下の票数が入らなかった場合は生徒会をすぐに解任させるという校則なの。良く知ってたわね」
「まぁね。さぁどうしますか?生徒会の方々は」
「そうだな。じゃあ、ここは会長として生徒会の決定を簡単には覆したくはない。だから、こちらから課題を出そう。それをクリア出来れば君たちのクラスの出し物を認める事にしよう」
「その課題はなんなんですか?会長!」
「そうだな。明日のテストで学年1位をこのクラスの誰かが取ることだ」
学年1位だと!
僕は会長の案を否定しようと思ったが周りはそれを許しそうな雰囲気ではなかった。
「上等だ!俺達が全員1位になるくらい良い点を取ってあんたらに一泡吹かせてやるよ!」
要達はそう言って生徒会長達を教室から追い出した。
僕も自分がコスプレをしているためにコスプレを馬鹿にされたので頭にきていたように、クラスの連中は頭に血が昇っているようだ。
実は学年1位は無理に等しいのだ。何故ならば毎回オール100点を叩き出す天才がいるからだ。
はぁ、どうなるんだろう。僕たちの出し物は。
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