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「いらしゃいませ~」
僕は今バイト先のコスプレカフェにいます。
今日も元気にウェイトレスとして仕事に励んでいます。
今日は某ライトノベルのヒロインのコスプレです。
主人公が性的興奮によって覚醒して人間離れした技をやってのける某武偵が出てくるあのお話です。まぁ、僕はアニメより原作の方が好きかな。
僕はコスプレのために朝霧から色んなライトノベルやアニメのDVDを借りて見たり、ネットを使ってアニメをみたり等して、コスプレのために勉強しています。ちゃんとそう予備知識が無いとお客さんの急なお願いに答えられませんからね。
「おっ、ともえちゃん。今日はア○アのコスプレかい」
「はい、今日はアリ○のコスプレです。最近はオリジナルアニメのコスプレばかりだったので、たまにはライトノベル原作のアニメのコスプレをしようかなと思いまして、ちゃんとモデルガンも用意してますよ。しかも、彼女が劇中で使っていた拳銃そっくりですよ。ちょっと、見てみますか?」
僕は常連の南さんに本物そっくりのモデルガンを見せた。
「はぁ~。本当に本物そっくりだな。これも店長さんが作ったの?」
「はい、店長が作りました。やっぱり店長さんすごいですね。こんなの作ってしまうんですから!」
「まったくだ。あいつには敵いそうにもないな」
僕と南さんが同意して互いに深く頷いていた。
「お~い。そんなに誉めても何も出ないぞ!」
奥から声が聞こえてきた。
その声の主は厨房でチキンライスを作っていた。我らが店長だった。
店長は昔は同人サークルをで同人誌を書いていたらしいが、元々好きだったコスプレに力をいれるためにこの店を開いたらしい。
店長は自分で色々なコスプレの衣装や小道具を作れるのだが1つだけ問題があったのだ。
女の子の店長が着れないことだった。
店長は30代後半でかなりイケメンなのだがかなり背も高いので女の子のコスをするのにはあまり向いていなかっのだ。
そんな時に店長は自分の知り合いに頼んで人を探せた時に見つかったのが僕なのだ。
実はもう一人ウチの店には女の子のコスが出来る人がいるが、今日はお休みなのでいないのだ。
まぁ、結構この仕事も楽しいので不服は無い。
かなり時間も経ってきたと思った時だった。
新しいお客さんが来たようだ。
「いらしゃいませ~」
僕は挨拶とお辞儀をしてから、頭を上げてお客さんの顔を見た。
すると、よく知っている顔がいくつか目の前にはあった。
いつも女の子の事ばかり考えている親友と、今日のホームルームでコスプレカフェを提案し、それをクラス全員を言いくるめて自分の案を通した男と、その他の男子が目の前にいた。まぁ、簡単に言えば要と朝霧とその他大勢(3人くらい)だ。
マズイ、さすがに目の前で見ればバレるぞ。さすがにそこまでこいつらが鈍感ではないだろう。
しかも、今の格好はマズイ。スカートをはいて、ピンク色のカツラをかぶっているのはマズイだろう。
どうしよう。このまま奴等にバレたら。
僕が女装癖の変態扱いをされるのは別に問題じゃない。事実、僕はコスプレを楽しんでいるのだから、そう言われてもおかしくはない。
しかし、妹が不憫な思いをするのは可哀想だ。咲にはずっと笑顔でいてほしい。
前の両親が死んだときのような涙をポロポロと流して悲しんでいる咲の顔は見たくない!
あの時のような辛い気持ちにはなりたくない。
何とかバレないようにしないと。
しかし、そんな考えは杞憂だったのだ。
「おぉーーー!すごく可愛い子だな。君どこら辺に住んでるの?俺はいつでも24時間空いているからいつでも電話して。はい、これ電話番号」
僕に対して早速要は僕に対してナンパをしてきた、
親友よ、がっつき過ぎたろ。これじゃ相手の女の子も警戒するだろうな。
僕は親友がいつも準備している携帯電話の番号を書いた紙を受け取った。
はぁ、親友にもバレないのか。何だか嬉しいような悲しいような。
僕はため息をついた。
「ともえちゃん。早くそのお客さんをテーブルに案内して!」
店長がそう言うので僕は営業用の笑顔でクラスメイトを席まで案内した。
「ご注文は何に致しますか?」
僕はウェイトレスらしく注文を聞いた。すると、奴等は僕に凄まじい攻撃を仕掛けてきた。
「じゃあ、俺はメイド姿で『御主人様あ~~~ん』セットのオムライス!」
「じゃあ、僕はアニメのコスプレで『別にあなたの為に作った訳じゃないんだからね!』セットの肉じゃが!」
「なら、俺はアニメのコスプレで『あなたがこれを食べてくれないと私。あなたと一緒に死ぬわよ』セットの鯖の味噌煮!」
「ふん、お前らは素人だな。ここは『どう、おいしいかにゃ?おいしい!なら良かったにゃ!』の猫耳メイドでお願いします!」
「全く、君達は何もわかっていない。これだけの人が目の前にいるのにそんな注文しか出来ないのか!!ここは『○○君、私………………………』のポッキーのセットに決まっているだろう」
とりあえず、3人がさっさと注文をしたあとに通ぶって要と朝霧が注文した。
まず、何からつっこむべきなんだ!
とりあえず、今、僕の手元にあるモデルガンが弾を撃てる状態だったらこいつら全員を撃っていたな。
まぁ、安全の為に弾は一発も入っていない。
仕方ない、ここは我慢しよう。
相手はお客様なんだから。そして、明日の学校で今日の恨みを晴らそうではないか。
僕はそう覚悟を決めて、ウチのクラスメイトが頼んだメニューを店長に伝えた。
すると、店長は大喜びでビデオカメラを片手に料理を始めた。
あの人、僕が辱しめられている所を録画する気だ。
しかし、このときまで僕があんな事になるとは予想外だった。
一応、次回に続きます。
感想などありましたら、よろしくお願いします。