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皆さん、初めまして。
私の名前は四条 巴と申します。
好きなものは名誉と注目をあびること。
嫌いなものは地味な事。
そして、好きな殿方、黛 徹。
私は自分で言うのもあれですが、かなり完璧な人間です。
テストの点は学年一位。
スポーツも万能。私は剣道では全国大会でも優勝したことがあります。それに見た目だってスポーツをやっているおかげで引き締まった体に、この自慢のFカップ(まぁ、運動しているときは邪魔ですが)。その完璧な私の魅力にウチの学校でもほとんどの男子が私に好意を抱いているのですわ。
しかし、一人だけの。しかも肝心の人が私の事を好きになってくださらないのですわ。
愛しの徹が。
黛 徹。私の大好きな人。
ウチのクラスの中ではかなり人望があり、色んな生徒が彼を頼りにしています。
彼は二人暮らしでいつも妹さんと楽しそうに暮らしています。
えっ、どうしてそれを知っているかですか!別に家の中を覗いた訳ではありませんわ。ただ盗聴器を使っただけですわ。これでも私の家はかなりのお金持ちだと自負しているので、まぁ、金を出せばかなりの人間が働いてくれるのです。
おっと、話がそれてしまいましたわね。私の大好きな徹様はみんなにも信頼されて妹思いな素晴らしい人なのです。
ですが、私は知ってしまったのです。徹様の秘密を。
それはいつも通りに徹様を尾行ゴホン、ゴホン。間違えましたわ。
帰り道が一緒なので後ろをついていった時でした。
徹さまは驚くべきところに足を踏み入れました。
なんと、それはコスプレカフェだったのです。
そんな徹様はコスプレをしている娘が好きなんて………………………。
でも、落ち込んでいるわけにいきません。徹さまのためにも少し勉強しようとコスプレカフェにドアを開けて足を踏み入れようとしたときに体が凍りつくような感覚に陥りました。
そこにいたのは長く黒い髪をした、どこかや姫というよな印象をもつ、ウチの制服ではない服を着た徹様でした。
「おっ、今日は黒雪●先輩のコスか。可愛いねともえちゃん」
客の一人がそういうと徹様は少し恥ずかしそうに笑っていらしゃいました。
私はすぐにその場を逃げました。
色々と予想が出来なかった事が起きて私の頭はパニックになっていました。
家に帰ってからベットの上でとりあえず状況を整理しました。
えっ………………と、つまりはこういう事ですわね、
徹様はあのコスプレカフェで偽名かもしくわ源氏名を使って働いていると。そして、その名前が『ともえ』だと言うこと。
私はとても嬉しかった。何故ならば私の名前を徹様が使っていらっしゃる。もしかしたら私に好意を見せなかったのは恥ずかしかっただけなのではないかと。まったくシャイなひとなんですから。
そして、私の中にはとある願望が生まれました。
徹様を私の嫁にして、いつでもコスプレをしてもらう。
だって。あのコスプレをしていた時の徹様、女の私が見ても可愛くて食べちゃいたいくらいでしたもの。
徹様は私の嫁!
「あの~。大丈夫ですかお姉さん?」
「あぁ、大丈夫だよ咲。この人は僕の知り合いでね。たまにこんな風になるんだよ。そうだ、ちょっと、レタスを取り忘れていたから咲が新鮮なのを選んで来てくれる?」
「わかった!」
咲はそう言って野菜売り場の方に行った。
さてと………………………。
「こんな所で何をしてるんですか四条さん!」
僕はそこで妄想にふけっている金髪ツインテールのお嬢様に声をかけた。すると、四条さんはようやく気がついたようだ。
「あら、黛君、奇遇ですわね」
「何が『奇遇ですわね』ですか!あなたはいつも買い物なんか自分で行かないでしょ!また、ストーキングしていたんですか!」
「失礼な。たまたま私がスーパーに用事が会って来たらたまたま黛君がいただけですわ。勘違いしないでください!」
「その言い訳はもう何十回も聞きました。いい加減それは通じませんよ!」
「そ、そんな事を言われましても、たまたまですわ!偶然ですわ!それでは私は買い物が終わりましたのでここで失礼しますわ」
そう言って四条さんは走ってスーパーを逃げ去った。
ちなみに彼女は何の買い物もしていない。
「お兄ちゃん、あのお姉さん帰ったの?」
「うん、帰ったよ。とりあえず買い物を終わらせようか」
僕と妹は買い物をさっさと終わらせたのだった。