12
僕はバイトに行ってから家に帰った。
今日も1日頑張った!
テストで学年一位も取った事だし今日は何か晩御飯を奮発しようかな~。
僕はそんな事を考えていたが、今日は晩ごはんを奮発するのは止めておく事にした。
何故なら、ウチの家計もあまり余裕があると言うわけではない。
まぁ、月に4回くらいは奮発して大丈夫なくらいなのだが、せっかく奮発出来る時は妹の時だけにしよう。妹の笑顔を見ればきっと僕の我慢も報わうれるだろう。
僕は今日の献立を考えながら帰っていた。
そして、我が女神(妹)が待っている我が家の扉を開けた。
すると、そこには超絶可愛い魔法少女が立っていた。
「お帰りなさい、お兄ちゃん!」
僕は無意識のうちに神経を集中させていた。
体のあらゆる神経回路が脳に集まっているような感覚だった。
そして、その体の全能力を集中させた脳に妹の姿をインプットしていた。
可愛い過ぎる。僕は鼻から赤い歓喜の涙が溢れでようとしているのを必死に押さえた。
どうやら妹の為に我慢したのが報われたようだ。ありがとう神様!僕はあなたを崇拝します。ですから、これからもお恵みを!
僕がそんな風に感極まっていると妹が僕の腕を引っ張ってリビングに連れていった。何かあるのかな?
僕が妹に連れられてリビングに行くと、机にはかなり豪華な食事が並んでいた。
ハンバーグにおにぎり。みそしるにぬか漬け。トンカツやフライドチキンなどだった。
「咲、これって一人で全部作ったのかい?」
「うん、お兄ちゃんの為に一人で作ったよ!お兄ちゃん、今日学年で一位の点数を取ったんでしよ」
僕は妹に言われると一瞬目をそらしてしまった。
さすがに一位になった勝因がシスコンだからとは口が裂けても言えないからだ。だってそうでしょ。もし、妹にシスコンだって事がバレたら…………………。
「お兄ちゃん、私をいつもいやらしい目で見てたんだね。最低だね!実の妹に手をだそうとするなんて!お兄ちゃん何か大嫌い!いや、貴方なんかお兄ちゃんじゃないわ。家族の縁を切らしてもらいます!」
「待ってくれ、咲!僕は別にお前の事をいやらしい目で何か見てないよ!」
「嘘です!みんな知ってるんですよ!貴方が洗濯物を畳む時に私のシャツの匂いを嗅ぎたくて仕方ないけど我慢している事とか、貴方が紙粘土で私そっくりの人形を作った事とか、貴方が『咲の成長日記』なるものを作っていることや運動会の時に私のブルマの姿を連写で400枚ほど取って『咲の輝く瞬間』なる動画を作っていることなど全て知ってるんですよ!」
「それは!死んでしまった両親の代わりにお前の成長を僕なりに見守ろうと………………」
「嘘つかないでください!死んだ父さんと母さんが悲しみます。貴方の言い訳の口実に使われるなんて!貴方なんか大嫌いです!」
「待ってくれ咲ーーーーー!」
咲は家の扉を勢いよく開けて外に飛び出して行った。
僕にはそれを追いかける事が出来なかった。
大好きな大好きな妹に拒絶されたからである。
いかん、変な想像をしてしまっていた。
でも、あんな事が現実に起きると恐ろしいな。
僕はこの時に妹にだけはシスコンだと言うことをバレないようにしないといけないと思った。
「お兄ちゃん、どうしたの?何かぼっーとしてるけど」
「大丈夫だよ、ちよっと疲れててね」
「そうか、頑張り過ぎるのはダメだよお兄ちゃん。今日はいっぱい食べて疲れを吹き飛ばしてね」
僕と妹は晩ごはんを食べることにした。
まぁ、僕も目の前に並ぶ咲の手料理を我慢するつもりはなかったのだが。
「お兄ちゃん、おいしい?」
「おぉふぃいぞ、ふぁきのふくる料理はふぁいこうだな」
「食べながら感想言わないの!何言ってるか分からないよ」
僕は口の中の物を飲み込んでから晩ごはんを味わいつつ、妹との至福の駄弁りをしようと思って何から話そうと話題になるものを考えていたら妹が先に僕に話しかけてきた。
「お兄ちゃん、私のこの服似合ってる?」
僕は妹に言われてすぐに脳内メモリーに保存していた画像を脳内で再生していた。
砲撃が得意で前に僕がコスプレした金髪の子といちゃいちゃしている某魔法少女のコスプレをしていた我が妹の姿を思い出していた。
あれは最高だったな~。これから店長に頼んで妹には家ではコスプレしてもらおうかな~。おっと話がずれそうだ。
でも似合ってるいる事には変わりない。
可愛い過ぎて生きるのがつらいくらいに可愛いかった。
まぁ、僕はあの某魔法少女の話では関西弁の子が好きなのでそのコスプレの方が嬉しかったりもする。本当に今度店長にコスプレの服を借りようかな。そして、妹に来てもらって『兄ちゃん、晩ごはん出来たよ。ほな一緒に食べよか』とかやってほしいな。
あれ?何か今日は妄想が多い気がするな?疲れているのかな?
まぁ、一言でまとめれば妹にはその魔法少女のコスプレは似合っている事は確かだと言うことだ。
「似合ってるよ咲」
僕がそう言うと咲は顔を赤くさせて
「ありがとうお兄ちゃん。勇気を出して着てみて良かったよ」
と照れながら言っていた。
可愛すぎるわーーー!
僕は感動の涙を流していた。こんなに成長するなんて、今日まで頑張ってきたかいがあった。
僕は明日からも頑張ろうという活力が身体中に流れていた。
次の妹の言葉を聞くまでは。
「でもお兄ちゃんも今度のクラスの出し物でこれを着るらしいよ」
妹の言葉によって僕は明日への絶望を抱いていた。