限りある永遠と、永遠の誓約
私は男で
ボクは女
私は限りあるただのヒトで
ボクは限りなき血吸いのオニ
夜の闇と月明かりの下
ふたりで歩こう 夜の園
私の血の入った葡萄酒と
ボクが淹れた紅茶で乾杯を
あなたが作った歪な形のクッキーと
君の味のする真っ赤なケーキをお茶菓子に
繰り返される月見の宴
時に縛られ、逃れられない私と
太陽に縛られ、暗き夜に閉じ込められたボク
同じでいられないならせめて 私を時から解き放ってくれ
イヤだよ だって限りあるものはそれだけでボクにとって太陽なのだから
あなたにとって刹那の間しか一緒にいられない私なのに?
一瞬だけど太陽よりも輝く君だから ボクはその後の狂おしい孤独に耐えられる
――――私はあなたのために限りある生を懸命に生きて
――――ボクが君の生命の 刹那の輝きを永遠に抱える
あなたは限りなき生と 有限の世界の狭間をたゆたい
君は刹那の生を終えて 限りある永遠になる
『でも、せめて別離のその日まで 共にこの狂おしい夜を歩こう』
あなたは私の証人で
君はボクの道標
これが 私たちの
これが ボクらの
『たった一つの契約にして誓約 約束にして盟約』
『いつか『さよなら』の日までよろしく』
―――私の愛しい、妖しきオニ
―――ボクの恋しい、儚いヒト
END